はんぺん
私は、はんぺんだ。
そう、おでんの中でグツグツ煮込まれているダシが沁みたはんぺんだ。
面白い事なんてないし、ひたすら煮込まれ続けるだけだ。
誰かに美味しく食べられるかもしれないし、ひょっとしたら古くなって捨てられてしまうかもしれない。
グツグツ煮え滾る鍋の中で、ふと気がつくと、そこそこ可愛い女の子に生まれ変わっていた。理由はわからない。
わかる事と言えば、道端ですれ違った男が振り向く程ではないが、クラスメイトにちょっかい出されるぐらいには可愛い女の子であると言う事。
だから、地下アイドルになる事にした。
それでも私は、はんぺんだった。
そう、芸能界の底辺でグツグツ煮込まれている心無い言葉が沁みたはんぺんだ。
面白い事なんてないし、只ひたすらに煮込まれ続けるだけだ。唯一違うといえば愛想笑を覚えたぐらい。
うまくいけば、誰かに美味しく食べられるかもしれないし、ひょっとしたら古くなって捨てられてしまうかもしれない。
うーん。ドッスン