パンクロックと箱根駅伝 1話

 小学2年生の時、大雪の降る日に自転車を漕いで隣の町へ行こうとしたことがある。当然母親は批判したがその忠告も虚しく俺は雪の降る街の中を駆け抜けていった、そんなことを何故したのか今となっては思い出せない。ただ。雪が降る街を色々な場所から眺めたかったからではないかと思う。雪化粧に染まる街を隅々まで点検するがごとく探索した。そして。お気に入りの場所を見つけた。それは丘の上に作られた団地の一角にある公園だった。その公園のブランコから団地を眺めると、いつもは冷たく無機質な団地が、なぜか雪のカーテンの中で急に鼓動を始め。灰色のコンクリートの壁が美しく輝き、暖かそうにみえたからだ。そんな景色に見とれているといつしか雪は自分の膝の手前まで降り積もってゆき、自転車を押しながら帰ったのにも関わらず何度も転び、何度も雪の中に埋もれてしまった。進まない道の中で悪戦苦闘していると、夕闇がすぐに襲ってきて家に着くとすっかり真夜中だった。当然のごとく母親にはカンカンに怒られた。その夜、熱を出した。そして耳が凍傷のようになりキンキンと痛んだ事はよく覚えている。大人になってそんなことはすっかり忘れていたのだが。今さっき思い出した。なぜなら、耳がとても痛かったのだ。まるで、あの寒い日に自転車に乗ったかのように、、。

 
「もうさ、街田来なかったら君たちのバンド生命おしまいだからね。」


 さっきイベンターの佐藤さんに冷たく言われた人とがずっと俺の耳の中で反芻いてズキズキと胸が傷んだ。俺は先輩を信じていた。だから確実にくると黴臭くて落書きだらけのライブハウスのソファーに腰かけながらずっと先輩をまっていたのだ。しかし、その先輩は現れるどころか、連絡すらよこしてはくれないではないか。もう、ドラムの井上さんは何本タバコを吸ったのだろう。タバコを吸っても落ち着かず貧乏ゆすりばかりをしている。ギターの星崎は机上に振舞っているが、落ち着かず手に持った何度もマスカラ指でクルクル回している。同じイベントに参加する他のバンドからも心配されたが、心配されたところでどうしようもないのだ。そのような、停滞しきった雰囲気支配された楽屋の扉が、バンと大きな音を立てて空いた。顔を真っ赤にしたイベンターの佐藤さんが扉を蹴っ飛ばして入ってきたのだ。


「おーい、アブラボウズのメンバーの人いるかー?」


 佐藤さんの声は殺気に満ちた不協和音を内包しており、俺たちは、はいっ!と大きな返事をして俺たちはソファーから立ち上がり直利不動で佐藤さんの前にならんだ。


「おい!牧田ぁ!さっきからずっと待ってんだけどさ?結局、街田くるの?こないの?どっちなの?」


 佐藤さんが先輩が本当にくるのか質問をしてきたが、どうしようも答えられず何も言えずにうつむいていたら佐藤さんは鼻息が聞こえそうなほど顔を近づけてきて俺の事を見上げるように睨む。


「あのよぉ・・・、俯いてても何にも始まらねぇんだよ。」


 いつもは優しいイベンターの佐藤さんだったが、元暴走族で一度キレると手が付けられないと他のバンドマンから噂を聞いたことがある。おまけに190㎝100㎏の巨漢だったので、怒りで顔を赤くさせると巨大な赤達磨のような強烈な威圧感があった。

「あ、あの、本当に、本当に、すみません。」


 俺は、しどろもどろに許しを請うしかなかった、それは飢えあまりにのパンを盗んだ事を謝罪する人のようにみえただろう。赤達磨ような顔をして怒り狂う佐藤さんは、すみません、すみません。と謝り続ける俺のことを、顔いっぱいに唇をゆがませながらにらみ続けていた。


「あ・の・な。すいませんじゃねぇよ!ボーカルがいねえんじゃ!パンクバンドはできねぇだろ!ふざけてんのか!今日の客はよ!みんな街田を見に来てんだよ!おまえらじゃねーんだよ!街田なの!カリスマは!」


 佐藤さんが、さらに顔を真っ赤にさせて腐る寸前のトマトみたい顔全体に血液を送り込んで、眉頭と目頭のなす角度は限りなく鋭角になり、眉尻はもうすぐで天をつきそうなほどだった。対照的に、どうしようも無くなった俺達は手負いの小鳥のように小さくなり、お化けのような真っ青な顔したロバが砂漠の真中で最後の枯れ草を探してさまよっているような気分だった。


「もうさ、君ら舐めてない?」


 俺は全力で首を横に振る。


「いいえ、舐めてなんかなんかいません。」


 佐藤さんは、これ見よがしに大きなため息をついてから、手のひらを首の横で水平にしてヤレヤレといった具合に首を振った。

「もう今日は中止にしようよ。俺がバカだったんだよ!」

 部屋から出ていこうとしたので俺は慌てて佐藤さんの手を引く。

「すみません。もう少しチャンスをください。」

 振り向いた佐藤さんは再び俺を睨みつける。

「チャンスだぁ?あのよぉ。俺は、散々チャンスをあげたよな?お前らが大物になるとか思って期待してたんだぞ!でもなぁ、俺が与えたチャンスも全部台無しだよ!街田はもう歌えます。って言ったのはお前らだからな!ふざけんなよ!!」

 佐藤さんはトレードマークのサンバイザーを地面に叩きつけた、あまりに強く叩く物だから「ベチン」メンコのような音が鳴り響いた。


「お前らは終わりだよ!もう終わり!全部おしまい!」


 何かを言おうと思ったが何も言えなかった。弁解したいやら悔しいやらで、とにかく何かを言うべきだと考えたが、先輩がどこで何をしているのかさえ分からなければ、俺には何も弁解の余地は残されておらず、本当にグウの音も出なかった。今までも、こんな窮地は山のようにあった、たとえば廃工場一杯に不良に囲まれたことすらあったがそれでも無事に乗り越えられてきた。しかしそれはあくまでも、先輩がいたから乗り越えられてきたと改めて気づかされた、先輩はいつだって俺にとって、いや俺たちにとって神のような存在だった。ところが、その神がやってこない上に、電話にすらでない、つまり俺たちは神に見捨てられた哀れな民と言っても差し支えないのだ。佐藤さんの今までに見たことがない激昂に、井上さん、星崎さんは勿論の事、今日のイベントに参加する同じ楽屋のバンドマン達も一様に萎縮していた。


「これ以上、お前らに怒っても虚しいわ。今日は中止ね。あーあ、いくら客に返金すりゃいいんだろ?ふざけんなよな。まじで。」


 佐藤さんは、胸からスマホを出して誰かに連絡しようとしていた。俺は、回らない頭をフル回転させて考えた。あっ、きっと彼がどこかへ連絡して、今日僕らが出演出ないことを報告したらきっと全てが終わってしまうに違いない。
そう思うと、佐藤さんの腕に飛びついた。その時に置いてあったパイプ椅子にぶつかったがそんなことは気にしなかった。俺は全身のガタガタくる震えと闘いながら、自分でもびっくりするぐらい大声でさけんだ。


「ちょ、ちょっとまって!!まって!まって!!まってください!」


 それはまるで駄々っ子のような情けない姿で。


「うぉ!んっだよ!びっくりしたなあ!」


 佐藤さんは急に俺が叫んだので目を丸くさせて驚いていた。


「佐藤さんすいません。本当にすいません。でも、ギリギリまでチャンスを下さい。あの、そうだ!駅前に行ってきます!先輩を必ず、必ず、必ず!ここに連れてきます!」


 佐藤さん口をあんぐりとあけながら、まじまじと俺を覗き込んでから、思いっきり嫌そうな顔をした。


「別にチャンスとかそういう話じゃねぇんだけど。あのさ、学生のノリやめてくれない?これ、マジのやつだから。マジでさあ。終わりなんだよ!」


 しかし、俺だってここで引き下がれない。俺だって狂おしいほどマジのやつなのだ。


「いや、お願いします。どうしてもお願いします。どうしても!!お願いします!」


 まるで、歌舞伎町の道端でホストに捨てれそうなキャバクラ嬢のように醜く全力で粘った、もう、なりふりなぞ構っていられないのだ。きっと、今の俺なら佐藤さんの靴からケツまで舐めてやれる。

「あのさ、もう無理だから。」

 もはやここまでと腹を決めて、俺は土下座をして靴を舐めてやろうと思った。一歩後ろに引いて、地面に膝をつけ三つ指をついた。いよいよ土下座するぞ、というところで。

「あーもう。やめろよ!土下座やめろ!マジで、お願いとかじゃねぇーんだよ。ったくもー。わかった!お前らの出番最後にするから待ってやるよ!」


「ほんとですか!ありがとうございます!」


「ただ、出番の30分前、19時45分。それがタイムリミットな!それを過ぎたら本当におしまい!」

 佐藤さんは、ふんっ!とバッファローのように大きな鼻息を噴射させ、叩きつけたハットを持ち上げてパンパンと叩いてからかぶり直した。そして、くるりと踵を返して「あー!くっそ!」と大声で叫んでから、楽屋のドアを横柄に開けステージ袖の方へ向けて歩いて行った。

「あっ、ありがとうございます!絶対に先輩を連れてきます!」


俺は、佐藤さんの去り際に大声でお礼を言うと、目をパチクリさせて狼狽している井上さんにこう告げた。


「井上さん、とりあえず俺駅前に行ってみます。ひょっとしたら前みたいに、駅前でさまよっているかもしれませんから。」

 前回ライブを失踪しかけたときは駅と駅ビルのほんの隙間のごみ溜めのような処で泣き崩れている先輩を見つけて事なきを得た事もあったので、今回もその可能性があった。そうとだけ告げると、雑居ビルの地下一階にあるライブハウス飛び出して、三段飛ばしで地上までの階段を駆け上がっていった、ライブハウスの前にはファンが屯していた、誰かが俺の姿を見つけて『あっ、アブラボウズのベースの人だ。』と言ったが、俺はそんなことは全く気にせず、冷たい秋の風が吹く夕暮れの街を、干し葡萄ほど大きい汗を搔きながら駅前まで一直線に駆け抜けていった。きっと、どれだけ速く走って駅前まで行っても結局現状は何も変わらない。しかし俺は胸いっぱいに焦燥が詰まって、ただ駆け出さずにはいられなかった。時間がゆっくり流れるているような夕暮れの下北沢で、ゼェゼェ言いながら目を血走らせ人波を駆け抜ける姿はまるで、狂人だった。駅前に到着するとすっかり息が上がってしまったので、倒れこみそうなのをなんとか膝に手をついて堪えながら、汗が滴る目を薄く開らいて駅周辺を見回した。


『先輩、先輩どこにいますか?先輩。』


 立ち止まって息が整えると後か後から汗がどっとでてきた。俺のパーカーは汗にまみれて塩分を含んだ濡れた布切れになり、風が吹くたびに猛烈な寒さを感じた。呼吸が落ち着くとどこかに先輩の姿がないかつぶさに探したが、どこに先輩はいなかった。何度も先輩に着信を入れたが反応はなく、いまから先輩の家に行くとしても時間的に間に合わないだろう。しかたがなく駅前に立ち尽くし、買い物袋を下げて帰宅する主婦、学習塾へ行く中学生、飲み会に向かうサラリーマン、劇場やライブハウスに向かう若者。それら労働から解放されて電車を降りる人々の波の中に先輩の姿が混ざっていないないか目を凝らした。駅から人の波が出てくるたびに先輩の姿をなんども探し続けた。が、どこにもいなかった。俺は白い息を吐きがらガチガチ震えていた。スマホで時間を見る、現在、午後7時48分。佐藤さんから示されたタイムリミットまでは後19分だ。

 大丈夫です!絶対に連れてきます。と言い切れたのは、先輩は必ず来ると信じていたから言えた事だったが、流石にこんな時間まで連絡すらない現状では、その信頼さえも崩れ始めていた。今まで先輩は、誰よりも早くライブハウスに来る人だった。今まで遅刻や寝坊は一回もしなかったのだ。もしかしたら、自殺しているのか?いや、まさか。くっそ、こんな事になるなら、昼過ぎに先輩のアパートまで迎えに行くべきだった。

 しばらくするとピピピと胸元のスマホが着信を告げた!先輩か?と思ったが、発信相手は井上さんだった。

「あ、もしもし牧田?まだこないの?冗談じゃねーよ。牧田が連れてくるって言ったんだろ、佐藤さん、まだ怒り狂ってるよ。もうさ、3番目のバンドが終わる時間だぜ。どうすりゃいいんだよ、」

 電話越し声に、彼の焦りと怒りと不安が入り混じっているのが嫌というほど伝わってきた。そんな事に構ってはいられない。いくら電話で相談されようと現状は変わらないのだ。『うるせー!井上!』と心の中で思いつつ彼をたしなめた。

「絶対先輩連れてくるから!だから待っててください。」

 挫けそうな心を我慢し、そう返事をして電話を切った。どうしても諦める訳にはいけない。何故なら、もし今日のライブをドタキャンしたら。もう僕らはきと業界から干されるだろう。そのぐらい今までのライブと比べて自分達にとっての重みが全然違った。もし、先輩が来なければ、一体何人の人に謝ればいいのだろう?いや、きっと何人に謝っても謝って済むことではない。この2年ずっと親身に面倒を見てくれた佐藤さんを今回裏切るような事があれば、もう俺たちにバンドをやるしかくは2度と与えてくれないだろう。駆け出したばかりのパンクバンドが出られないような大きなフェスにだしてくれたのも佐藤さんが俺たちを気に入って大分無理してくれたおかげだった。だから、先輩が来なければ佐藤さんに愛想をつかされて本当に終わりだ。

 そう思っているとその瞬間に、宗教のパンフレットを持った高級そうなストールぐるぐる巻いたのおばさんに話しかけられた。

「あなたは神を信じますか?」


 なんだ、こんな時に、やれやれと思いながら。

「ああ、信じてますよ。でも僕の神様はステージの上にしかいないんです。残念だけど俺はあなたと違う神を信じてますので、そのパンフレットはいただけません。」


 そのように丁寧に断るとおばさんはニコッと微笑んでどこかへ立ち去って行った。貴重な時間が刻々と過ぎていく中、半年前の先輩が変わってしまった事件を反芻してしまった。それは半年前、先輩が20歳の誕生日を迎えた後の事だ。

 「わしな、自分を捨てた父親に会いに行くわ。」


 そうバンドメンバーに宣言してから、京都の堂留市にある父親の家へ旅立っていった。俺は、めちゃくちゃに驚いた。あの殺したいほど憎んでいた父親に会いに行くなんて何があったんだろう。と考え込んだ。その1週間後、先輩に会った時。俺はビックリした。何かそれまで先輩を覆っていた狂犬のオーラがゴッソリ落ちていたからだ。顔は確かに先輩なのだが、全ての挙動がまるで別人を見てるようだった。そう、言うなれば先輩が「普通の人」に見えるのだ。

 初めて会った時から、先輩は「普通の人」ではなかった。「普通の人ではない人」が「普通の人」になって「普通ではない。」とは、難儀な表現だが、具体例を挙げるならば、ライブで「犬野郎」という曲を演奏する時、先輩はギターソロの間に山盛りのまずそうなドックフードを犬食いでペロリと平らげ何事もなかったように歌いだし、台風の日には暴風域直撃の中、渋谷で路上ライブやり放題だす。地元のカラーギャングの抗争に何故か巻き込まれるも、ラップのフリースタイルバトルで勝利し抗争を終結させる。モテるのに不細工な女としか付き合わない、気に入らない奴はヤクザでもプロレスラーでも喧嘩をする、高校の夏休みに原チャリでタクラマカン砂漠を横断する。などなど、超人エピソードを挙げれば枚挙にキリがない、野獣のごときクレイジーさ!常人には理解不能!奇妙奇天烈唯我独尊!そんな人である。ところが、京都に住んでいる例の父親に会って以来、先輩はすっかり普通の人になってしまったのだ。いや、普通の人ではいナイーブな狂人になってしまったのである。

 『お父さんと何かあったんですか?』と聞いても『別に父親の事はなんも関係ないで。』とボソボソ喋る以外は話そうとしなかった。それに関して井上さんは、「まあ、奇行が減って良かったよ!」などと、楽天的な事を言っていた。が。バンドの練習がはじまると、すぐ問題に直面した。なんと先輩がボーカルなのに、何曲か歌っていると、急に全く歌えなくなってしまう事が多発したのだ。一曲、二曲は歌えても、三曲目でピタリと歌えなくなってしまうと言った具合だった。本番になればどうにかなるだろうと思ったが、ライブハウス行く途中で先輩が急に失踪したりする事が相次いだ。

「悪いけど、これじゃあ、とてもステージに立つことは出来ませんよ。もう、全部予定キャンセルしましょう。」

 そう星崎さんが提案した。先輩と井上さんは拒否したが、俺は星崎さんに賛成し、活動を一時停止する運びとなった。田舎から上京し佐藤さんに目をかけてもらってインディーズレーベルからCDも出し、知名度も上がってきて、小さなフリーペーパーに特集されだし、やっと軌道に乗ってきた矢先の事。控えめに言っても活動休止は辛すぎる決断だった。


 気がつけば休止期間は5ヶ月以上になり、ファンからは自然解散したと噂が立つようになってしまっていた。田舎にいた時から数えて約5年間。毎日青春を燃やしたバンド活動が、なんの成果もなく消え去ってしまう。それは想像に容易かったし、耐えがたいほど辛かった。その五か月間何度なく先輩のリハビリを試みたが一向に改善されなかった。ところが最近、先輩が何事もなかったように歌えるようになったのである。

「心配かけたで、もう、もう問題ないわ。」

 ようやく復帰のメドが立ってバンドは復帰に向け準備をしていると、佐藤さんがすぐにチャンスを与えてくれたのだった。

「聞いたよー。復帰するんだって!俺はずっと言ってるけど、君らは本物だと信じてるわ!正直さー、急に活動中止しちゃうから、色々俺もヤバかったんだよ。でさ来月の土曜日、下北沢で勢いのある若手バンドが5組集まるギグするんだけど、ちょうど1枠まだ空けてるんだよ。良かったら君ら出なよ。活動再開するにはうってつけのイベントだよ!もう俺が全部お膳立てするから存分に暴れてくれよ!」

 俺たちにとっては願ってもない話なので快諾した。しかし、佐藤さんはこう付け加えた。

「でもさ、もし、これポシャったら終わりだからね。」

 その言葉はとても重かったが、しかし、ここで、ちゃんとパフォーマンスできれば見事に活動再開できる!ギグが決まってからの練習にはとても熱が入った。そして、今日、華々しく復活するはずの日だったのだが。
肝心の先輩が来ないのである。

俺は、ただただ、下北沢の往来の真ん中で大声を上げて泣きたかった。

うーん。ドッスン