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白いもやとかになりたい。


夏が死ぬほど嫌いだ。
それは暑がりだからとか、肌が弱くてかぶれやすいとか、
虫がいっぱい出てくるのが嫌とか、個人的に嫌な思い出が纏わるからとか、
そういう理由も色々あるんだけども。

何より夏を構成する全てのものが熱を帯びていて非常に有機的なのだ。
これが何よりも気持ち悪い。
私は、生き物らしい生っぽい感じが死ぬほど嫌いらしい。

20代を半ばも過ぎると、みんな何かしら昔に懐かしさを覚えるもので、かつ10代の頃の無敵感とかも置いてきてしまうみたいで、やたらと「人と人との繋がり」みたいなことを主張する。気持ち悪い。


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小学生の頃からインターネットは触れてて、まあ、学校で流行ってるおもしろフラッシュ倉庫の動画とか、個人サイトに置いてる二次創作のイラストとか、そういうものは見ていたけれど、実際にのめり込み出すのは2009年ぐらい、中学2年生からだった。

当時はニコニコが動画サイトとしてすごく力を持っていたり、
初音ミクがリリースされたり、Twitterやpixivがサービスを開始したり、
元々2chなどの匿名掲示板は存在していたけど、もっとハッキリとインターネットの中にプラットフォームができたような時期だった。

自分の中でそれは革命的なことだった。
その中にいる人は性別・年齢どころか実在してるかどうかも分からなくて、そもそも実在していないVOCALOIDという存在が歌っていたし、制作側もコミュニティを作らなくてもPCやら知らない誰かが勝手にパーツを作ってくれていた。
コンテンツのカテゴライズはあれど、人に対する様々な所属を排されるほどにその場所での個人性は高まっていく。
名乗らないことでその人の概念だけが浮遊していた。

逃げ場がなく、実名と実体で存在し、暴力的なまでに画一的な価値観で、伝えたいこと以外の情報がバイアスとして挟み込まれてしまう現実世界の方が、当時の私にとってはひどく耐え難かった。

そもそも、肉体がある世界の方を勝手に「リアル」「現実」と定義づけるのもおこがましくないか?


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小さい頃、男になりたかった。とにかく女であることが嫌だった。
でも、それは今になって考えると、決して「女体」に違和感を感じていたわけでも、「男の体」になりたかったわけでもなくて、というか本質的に「男」になりたかったわけではなくて「主体」になりたかったのかもしれない。

女であるだけで従属的だ。それは、男性個人・女性個人がどう考えているとかではなく社会構造として事実そこにべったりと横たわっている。
さらに言えば男性すら従属的な瞬間は多々ある。
私たちは簡易的にカテゴライズされ、その中に主観すら内包される。
苦しい。人権を奪われるような気分になる。

「嫁」という呼び方が死ぬほど嫌いだ。
その一文字の中に色んな意味が込められているからだ。
「奥さん」も嫌いだ、「旦那」も「主人」も。
極端な話をすれば「夫」「妻」すら嫌なのだ。
個人的には「配偶者」が一番しっくり来ている。
とにかく、役割の中にそれ以上の意味を込められるのが嫌なのだ。

それでも、私が誰かと結婚したら"家の奥の方でにっこりと構えていて、この家の主人である男性パートナーに申し伝える女性"というレッテルをつけられるのだろうか。
例え、発言した当人にそんな他意がなくても、私に向かってその名詞を使うだけで私の尊厳は削られていくのだ。未来永劫。


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極端に「個人主義」だ。どこまで行っても私に干渉できる人間は私しかいない。それなのにどいつもこいつも喧しい。
私がフェミニストなのも、政治に関心があるのも、とにかく自分の「主観」を守るためだった。全員が私のことをほっといてくれるように余計な要素を排していくために立ち上がっていた。
とにかく個人の尊厳を踏みにじられることを許せはしない。

「個人主義」だから基本的に存在するもの全ての存在自体は認めてはいるが、それと個人の好き嫌いは話が違う。

にこにこと値踏みしてくる人間がいけ好かない。
そういう奴に限って感情論でベラベラと話してくる。
お前の感情には1mmも価値がない。私は私の感情に1mmも価値がないことを知っているから、関わりたくないのに。

博愛主義者みたいな顔して排他的。
話し合う気もないくせに薄く他者を下に見て。
それでも誰かといないと死んでしまうんだろう。
本当に死んでくれ。
二度と私の世界に現れないでくれ。


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大事な人ぐらいいる。家族も友人も元彼も今、好きな人も。
でも、それは関係性として好きなのではなく、それぞれ個体として存在している中で波長が合うだけに過ぎない。
それでいいと思っている。

この世はやたらと有機的な物を好んでいる。
熱を帯びた、自然由来の、生身の、感情的な、身勝手なくせに社会ぶった
気持ち悪い、吐きそうだ。ノイローゼになる。
ずっとこういう身に絡ってくる情報群に目眩がしていていつか死ぬかもしれない。

早く白いもやとかになりたい。

基本的には無料記事の予定ですが内容によっては有料にするかもしれません。 ご厚意でいただいたお金は多分食に使います。食は生命なので…生命が無いと文章も書けないので…