枝豆バンザイ

 聞くだけだけでも、心愉しくなる言葉に「五穀豊穣」がある。同時に厳かな気持ちにもなる。大地を祝福し、神への感謝も湧き上がるのである。太陽暦ではあるけれども、太陰暦的な文化から断絶できるわけではないから、暦にはごく簡単な補助的記載がある場合もある。

 「一粒万倍日」なんかは子供時分でさえも、その字ずらから縁起の良いことが起こりそうな気がしたものである。一粒のコメから一万粒と言うのは実際には無理なようで、本当の所は200粒と言うところだという。

 母親の里では田んぼの端の方に大豆を植えていたそうで、殊更めいた植栽はしなかったと言う。殊更めいた水やりも不要だし、肥料も不要。却って窒素固定をしてくれるから、稲の為には有益とさえなり、究極はお父さんたちのビールのあてにもあるのだから重宝されたであろう。

 うちの先祖たちが見れば失笑するであろうが、令和の阪神地区の集合住宅の家庭菜園で、殊更めいて大豆を植栽してみた。特別な肥料も与えないが、それでも一粒から200粒ほどは採れた。美味い、ウマイとお世辞半分にも言って貰えた。調子に乗ってまた来年もと思ったが、連作は上手くゆかぬという。ネット上で検索したところ、後作はホウレン草がよいと知った。

 二宮金次郎にでもなったつもりなって、たった2月半で一粒が200倍ぢゃ、ありがたいありがたい。君もお前さんも皆空き地に植えよ、枝豆植栽!と勧めている。

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