ファタモルガーナの館 感想 ネタバレあり
スゴイという情報のみ入れた状態でプレイ。
始めてすぐこれはメモが必要だと察してメモ取りながら。
後半からはすごく分かりやすく伏線や設定や運命の回収をしてくれて、結局メモの必要があまり無かったんだけど、ここまでやったからにはと最後の方までメモ取りつつ、マウスを手放して呆然としつつ、色んな場面で身悶えつつ、結局総プレイ時間42時間。
まさかここまでのボリュームとは思わなかった。
メモ取りつつも、読み返すのが苦痛なほどの文量になってしまっていてぶっちゃけ今の時点では読み返してないのだが、それが不要なほどプレイ中の様々な時代や場面が印象的で、呼び起こすべき記憶をすぐに引っ張り出せる自分がいる。たぶん。
俺は文章が上手くないし構成とかも考えた事がないので、このゲームをどっからどう賞賛しようか本当にわからん。
この物語は本当に本当に多重の層で成り立っていて、どの層にも素晴らしい瞬間があり、全ての人物の人生が鮮明に描かれており、単純にめちゃくちゃ長大だったり、ぶっちゃけラストの剣を持った白髪モルガーナのシーンで集中力が切れて理解しきれてなかったりだが、とにかく書きたい事がたくさんあって困る。
だからプレイ順にそって思い出しながら思った事をなんとなく書いていくことにする。
最初の三人の物語、ヤバいのは、セッティングというか、主要人物の人となりや平穏な日々の描写が本当に丁寧で、たっぷり時間をかけて描かれていること。
その後彼らを襲う悲劇に、平穏だった頃の時間が重みとなってしっかりプラスされのしかかってくる。
その重みは半端なくて、その時間が尊ければ尊いほど、交わされる会話が愛おしいほど、強力な悲劇になる。
ミシェルやジゼルの永遠のように長い絶望も、一つ一つの描写が残酷なほど丁寧で、そん時思ったのは、、、すげー説得力がある。
ジゼルが悪魔的な女中に変貌する過程とか、彼らがあらゆる場面でやるべき事をやれなかった、向き合えなかった理由に、すげー説得力があるんだよ。
こんな緻密な構成の物語なのに、脚本上の都合合わせのような無理矢理感を俺は一切感じなくて、彼らは本当に必然的にそういう結末になってしまったとしか思えない物語だった。
すべての成り行きに説得力を感じる、人間がとても人間らしい丁寧な描写。
それが最後の最後まで徹底されてて、なんだかとにかく、俺はどんなに長くてもこのゲームと向き合って最後まで付き合おうと思った。
(最後集中力切れたが)
ちなみにジゼルが記憶を完全に取り戻したところが俺の一番の号泣ポイントだったな。
あんな明るい女性がこんな冷たい女中になってしまって、もう取り戻せないあの頃のジゼルを思ってボロボロ泣いてしまった。
ちなみにメモの序盤で女中の事を「おそらく悪魔の類、こいつがモルガーナだろう、館そのもの、ゴウンター・オーディム」等いろんな事書いてたわ。まあそんなに間違ってはないんだけど。
4番目の装飾された過去も面白かったな。
過去ログにミシェルとモルガーナの不気味な声が入っていて最初気づいた時はゾクッとしちゃった。
ここからメタ的展開も来んのか?とも思ったけど来なくて良かった。余計頭こんがらがる。
うすうす女中の語りは信用しきらない方が良いと思ってたから、ちょっと物語ぜんとしすぎ感は感じて警戒していた。
私に流れる血はお前たちの糧となり
お前たちの富となる
私の犠牲の上にお前たちは笑い合い
その生がいを終えていく
主は許さず
これこそが
私が天から授かった力
私に流れる血はお前たちの呪いとなり
星空を覆い隠す
私の名はモルガーナ
呪われた魔女
さあ始めましょう
この物語を美しく閉じるための物語を
今見返すとまるきりそのままの事を言ってたんだね。
このゲーム本当にすごくて、感じてた違和感とか、謎とか、全て回収仕切ったんだよね。
本当に全てといってもいいと思う。何から何まで決着をつけたなという感じだ。
さすがに最後の方はいつ終わるんだこのゲームとちょっと思ったが。
ミシェルの過去と真相の描きかたもキツい。
普通とされる事が自分にとって普通ではない辛さ、その場をやり過ごす嘘をつくと自分の中の何かが削られていくような感覚、妥協せざるを得ない夢、そんな事を気付いて貰えるはずもない諦め。
丁寧に丁寧に描いていてさ、すごくリアルで痛みを感じるんだよ。
死んでもなお辱められるミシェルの絶叫。
つらすぎる。
話前後したかもだけど、ジゼルの話も辛すぎる。
もう辛い辛いしか言ってないんだけど、ほんと説得力ある描写、っていうのに尽きるな。
ジゼルの視点とミシェルの視点を知りながら見ると、あらゆるシーンを見ると、ほんとにお互いそうせざるを得なかったんだっていう、話は最悪なんだけど、綺麗に繋がるというか。
そんで色々あってモルガーナの真相を知る。
なんだか神とか信仰というモノそのものが全部悪いだろって俺は思ってるよ。やっぱ神っていうのはサイアクだね。
彼女を解放する為には、三人の男の真相が必要でってなって、なんだかゼルダの伝説みたいだぞと思った。
モルガーナを救いたい気持ちと、真相を知りたい気持ち、ここに来て急にゲーム的なワクワクが出てきたな。
メルはなんとなく許されそうな未来が見えるけど、ユキマサとヤコポはどうにもならんやろあれとも思ったな。
んで折り返して?それぞれの真相編に入り、ゲームパートが変わったような印象。こりゃまだまだ終わらんぞと。
そっからはもう怒涛の謎解き。
もう、しらみつぶしに真相が明らかになっていく。
ミシェルとジゼルもそうだったけど、それぞれの視点と認識の齟齬の描きかたもほんと秀逸。
モルガーナと三人の男達もそうだけど、主要人物みんな、全体通して「向き合う事」が出来なかった事によって、認識の齟齬を解消する事が出来ず悲劇が生まれたんだろう。
現実でも考えてみるとそうだけど、このゲームのキャラ達を見てるとすげー思う。
向き合う事は苦痛を伴う。恥ずかしいし、立場を危うくするかも知れない。
向き合う事って、人によってはあまりにも困難な行為なのかも。
でも必ず現状を変化させるキッカケにはなるし、心や視界も晴れる。
向き合わなかった事による停滞こそが、館を覆う闇を生み出していたのだろう。
全てを終わらせるために、皆がモルガーナと向き合う事に集約していく運びがなんとも美しかった。
ただ、全て向き合えばオッケーというのではなく、ユキマサのように、でもこれだけはマジで伏せて置かなきゃダメって事もあるよねって現実も、なんだか苦味が残る話だわねと思ってすげーよかった。
あとは全ての真相を知ったあとで感じるのは、すげー作り込みというか、何から何まで筋が通っているというか、だって、一体いくつ物語があった?
各時代、それぞれの視点。
原点を基にそれらを思い返すと(うろ覚えだけど)、ほんとあらゆる場面やセリフがしっかり原点をなぞってるし、それらは館の理に則っている。
こんなだけ長大で緻密な設定の中、人間が人間らしい物語を描く中で、、恐ろしい構成力、、
クリアして、このゲームの結末を見届けてほんと良かった。めっちゃ良かった。
デザートにステーキが出てくるような悲劇のフルコース。終わってみると清々しい気分。
最後にミシェルとジゼルが再会出来て良かった。そこの理屈もちゃんと仄めかしてくれてるっていうね。
たった一つ気になった部分ーー
ユキマサがモルガーナの腕を切り落としたのはちょっと納得いってない。
切り落とした事でいよいよ後戻り出来なくなる必要な描写だったと思うんだけど、ユキマサの心情的にあの行為俺には依然として唐突に見えるし、「お前の取り分だ」ってセリフも何故出てきたのか分からない。
彼女の声によって鎮られててもおかしくない状況だったのに、なんでやろ。
あとはもうほんと雑記になるけど、後半のあまりの「まだ終わらなさ」にちょっと笑ってしまった。
最後のディディエ出てきた時とか、もういいからとっとと成仏してくれって思ってしまった。
多分あそこ、ジョルジュ回収してなかったらぶっ刺されてゲームオーバーだったんだろうね。
あと剣持った白髪モルガーナ、そこで謎理論説明が始まって完全に集中力が切れた。
なぜなら今日こそ終わらせるという気合いでやってて中々終わらんくて数時間ぶっ通しだったんだ。なんか追記するかも
いやー気が付けば全キャラ大好きになってしまったー ありがとうー マジで面白かったー
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