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ミトコンドリアの遺伝子編集 -前編-

※書いていたら長くなったので、今回は本編にたどり着けていません・・・


遺伝子編集って、みなさんご存知ですか?
近年では、ニュースなどでも耳にする機会が増えた言葉かもしれません。

今回ご紹介する論文は、細胞内に存在するミトコンドリアという細胞小器官の遺伝子編集に成功した、というお話です。

こちらも、世界的に権威のある科学誌、Nature誌に先月報告されています。


A bacterial cytidine deaminase toxin enables CRISPR-free mitochondrial base editing

Mok BY. et al. Nature. 2020.


今回のお話を説明するにはまず、遺伝子編集とは何か、をざっくり理解しなければなりません。


遺伝子編集とは、遺伝子を編集することです。

・・・はい。文字通りなんです。


遺伝子とは、生物の設計図とも呼べるもので、DNAから構成されています。
DNAというのは、突き詰めてしまえば、たったの4種類の分子から構成されており、それら分子が直列につながって、遺伝子を形作っています。
言ってしまえば、遺伝子とは、たった4文字(分子)から成り立つ文字情報なわけですね。

遺伝子が、両親から遺伝し、私たちの設計図となり機能することで、私たちは生命活動を維持していられるのです。

そして、両親から遺伝するということはつまり、遺伝子とは先天的に決まっており一生の間で不変であることを意味します。
(厳密にはこれは正しくないのですが、これはまた別の機会に)

また、先天的な疾患の多くは遺伝子そのものが変化している(=設計図レベルで変わっている)ため、治療がそもそも困難です。
だったら、遺伝子そのものを書き換えてやろう!というのが、遺伝子編集です。

代表的な遺伝子編集技術に、CRISPR/Cas9(クリスパー/キャスナイン)というものが存在しています。
この技術は非常に革新的なもので、今日の生命科学研究を何段階も先へ推し進めています(近い将来ノーベル賞を取ることでしょう)。

この技術では、遺伝子を切断するためのCas9タンパク質と、編集したい遺伝子部位を認識しCas9を運ぶためのcrRNA(クリスパーRNA; 目的の遺伝子部位に合わせて任意に設計できる)を使用します。

遺伝子を切断して大丈夫なの!?と思った方もいらっしゃるでしょうが、生き物には、切断された遺伝子を正しく修復する機能が存在しているため、普通は問題になりません。
ですが、CRISPR/Cas9による切断は何回も繰り返しおこるため、この修復過程で稀にエラーが生じます。このエラーによって、遺伝子を書き換えるのです。

これが、遺伝子編集の大まかな流れです。
この技術によって、ほぼすべての遺伝子を、自由に編集することが可能となったのです。

ミトコンドリアの遺伝子を除いて・・・


さて、意外と長くなってしまったので、本題はまた次回お話することにします。

それではまた次回!

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