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少しの後悔と、考察


こんにちはサリーです。
さて今回は、noteで記事を度々読ませていただいている方がいて、
自転車の不具合を投稿されており、都度コメントをしていました
最近、続報のnoteが更新され、見てみるとビックリ。
ホイールの初期不良として交換対応という事になっていました。
さて、その続報を受け少しの後悔と大量の考察をしていきます。

注意

ここに書く内容は、完全に車体の状態を理解したわけでも
ライダー、ショップメカニックの所見を直接インタビューしたわけでもありません。
私が通りすがりに、ふわっと耳に入っただけの情報で書いていきます。
つまりチラシの裏眉唾で読むという事をご了承ください。

まずは後悔編

さて、最大の後悔は「初期不良を疑えなかった」です。
これは暗にそのメーカーの品質を過大評価していた事、
ロードバイクに初めて乗る方であるという事で歪んだ認知をしてしまった事
これらが根底にあると考えます。
これらはメカニックとして、気を付けなければならないことであり
メーカーとライダーは双方独立して考えるべきであり、
双方を比べてはいけないという事です。
高品質というイメージにとらわれ、同時にライダーが初めて乗るからと、
「となると、良く起こり得る異音反応しているだけでは?」と
他の要因を発想することができませんでした。
結果不良という判断ができず、結果として状態の回復までの期間をいたずらに延ばしてしまいました。

ここから考察

さて、僕がふわっと聞いた話を並べましょう
まずホイール交換になりました。
原因として、フリーハブボディ(後輪のワンウェイ機構が収まっている)に搭載されたベアリングの錆
ここまでです。
ここからは前提の知識も含めて説明しますので適宜読み飛ばしてください。

構造を見る

メーカーホームページからホイールのハブがどこのホイールパーツメーカーなのかを調べて、そこのデータを引用します。

このメーカーの特徴 オーソドックス

ここで、おそらく”錆びた”とされたのが「シールドベアリング」です。
このメーカーがどのタイプを使っているかはデータが公開されていないので詳細は不明です。

シールドベアリングとは..の前に

さきにカートリッジベアリングがどんなもんかを伝えます。
ベアリングは何かの軸と回転する筒との間に入れるボールの事です。
このボールがコロコロ回ることで滑らかに回転が可能です。

こういう事

ここで問題になるのは、ボールをいちいち詰め込む必要がありますよね
ほかにも、外に出ていかないようにしなくちゃいけないし..…
そう、軸にも筒にも細工が必要になっちゃいます。
ここで登場するのが”カートリッジ”スタイル。
ボールのほかに外側の外輪内側の内輪と呼ばれるパーツを組み込み
軸とか筒に差し込むだけでクルクルできちゃいます。

これでワンセット まさにカートリッジ

シールドベアリングとは

さてここまできてやっとシールドベアリングのお話しです。
読んでそのままで、「シール(封)されたベアリング」です。
すぐ上のと比べてみてください

見てすぐ「蓋がある」ことが分かりますよね?
そうなんです。
外部からの粉塵や水からベアリングを守るために蓋がされているんです。
さらに、蓋をする前にグリスがしっかり充填されます。
グリスの流出を防ぎ、外からの異物も寄せ付けない。
それがシールドベアリングなのです。

シールドベアリングが錆びるという事

さて、ここまででシールドベアリングの構造が少しでも伝わったと思います。
ここで、考察に戻ります。
「これさ、錆びるかな?」
これが正直な感想です。
それくらいシールドベアリングの中のボールが錆びることは難しいのです。
もちろんカスタムとして、一度シールを開けたとかするとシールに変形が生じ、グリスの流出、そして水の侵入からの錆ってのはありますが、今回はそんなことをしたわけではありません。
また、購入してから間もないので、経年はまずありません。

それでも錆びたのか?

とはいえ、錆びたと言っているのだけどここにも疑問がある。
基本的にシールを開ける=取り外すっていうのはメーカーの想定外です。
つまり、お店としては特別なカスタムでない限りは、シールドベアリングのシールを開ける=交換前提という事です。
時間を戻しましょう。
不調のホイール。不具合はどうやらシールドベアリングの回転が悪いのだろう。どうかな?回転はしてるけど、少し動き悪いな
この状況でも開けません。
なぜなら、シールを開けて綺麗だったら?
100%の仕事するのならその時点で、シールの変形など考慮すると
やることは交換用シールドベアリングの手配です。
色んなチェックをして、間違いなくベアリングだ!
そこまで行ってやっと、開けてもOKな状態になるんです。
しかもその車体は購入して間もないわけです。
錆を疑いますか?僕はあんまり疑いません。(ゼロではないよ)
さらに、開けたら交換するまでお客さんには返せません。
そんな状態にするメリットが無いんです。
交換品のシールドベアリングが届いて、いざ交換!
その時初めて、取り外した不調のシールドベアリングをどうととでも出来るわけです。

回転が悪くなるほど錆びるとは

外野から色々突っついてきたわけですが、
錆びたもんは錆びた。
次の問題は、だとして回転が重くなるほど錆びるってなんだ?デス。
僕がそのような状態になる状況を考えると、
数年例えば5年とか、屋外かつ屋根なしで保管していて、直近1年以上車輪すら1ミリも動かしてすらないとしたら。
多分回転が悪くなる..…かも知れない。
上記の条件でさえ、「かもしれないレベル」なのだ。
ちなみにこのライダーさんは頻繁に乗る人だ。

動かさない状態で錆びること

これが重要だ。
自転車は乗っていれば正常に消耗し各パーツは寿命を全うできる。
ペダルをこげば、各部ベアリングボールは回り、チェーンは屈曲を繰り返しながら駆動を伝える。
この過程で、飛び出た部分は削り取られてゆくわけだ。
「アタリが出る」とはまさにこのことだ。
錆はもちろんゴリゴリに飛び出ているわけだ。
薄く錆びたとしても乗り続けることで、削られグリスに混ざったり、チェーンから黒い汁となり流れ出る。
もちろん錆は良くない。摩耗を劇的に加速させる。
どんなに過酷な保管場所であっても毎日乗れば動く状態として乗り続けられる可能性が高いのだ。
逆に、全く動かさなければ、どんどん錆が進行することになる。
錆の構造は複雑で隙間が多く水分を含みやすい。
それがさらなる錆を呼ぶ。
隙間があるという事はそのぶん”膨らむ”ことになる。
さて、この錆がどんどん成長するとどうなるか。
ボールはいつしか歪な形に膨れ周りを覆う金属すら錆びるだろう。
回るどころの話ではない。
回転に影響が出るだろう。

そもそも消耗って

こういったベアリングが消耗するとどうなるかといえば
ガタガタになっちゃうんです。
錆て削れてだけでなく通常使用でも少しずつ削れて行きます。
そうすると、ボールは小さくなりますよね?周りの金属も減っていっちゃいます。
ガタつく隙間がどんどん大きくなるんですね。
なので、少しずつホイールにガタつきが出てくるようになって、
それがあまりに大きくなるとシールドベアリングを交換してしまうんです。
この過程で、「回転が重くなる」はあんまり起きません。
むしろ逆の場合が多いでしょう。

ちなみに外からの異物に対する防御って

さて、シールドベアリングはそれ単体で外からの異物に対して防御する機能が備わっていました。
しかし、車輪に更なる防御機能が備わっているのです。

このシールパーツです。
このパーツによって、走行中や保管中の異物から守っているんです。
第一防壁というわけです。
なんてことはないフタではあるんですが、これによってシールドベアリングは外界に直接接することは無いんです。

唯一あり得る錆への道

いっぱい書いてきました。
なかなかシールドベアリングを錆びさせるのは大変であるという事が伝わっていれば幸いですが。
しかし、ここでは唯一ライダーがゴリゴリにベアリングなどの寿命を奪う事の出来る方法があります。
それは洗浄です。
その中でも超高頻度の洗浄高圧洗浄機の無配慮洗浄こいつらやばいです。
まずは高頻度過ぎる洗浄について
すごく少ないながら、スゴイ頻度で洗っている人います。
例えばさっと拭くとか、ちょっと蛇口の流水で洗うとかは別にOKです。
そうではなくて、本気の洗浄だけを高頻度にやるのはどうかと思います。

高頻度洗浄 棘の道

本気洗浄ディグリーザー(グリースやオイルを溶かす洗浄液)をしっかり使って、駆動系をバッキバキ洗います。
必然として、各部に必要な油分は殆どキレイさっぱり失われます。
後輪のチェーンやギアはそのままベアリングのご近所なのでディグリーザーの成分がバシバシとベアリングに訪問します。
多少ならいいんです、その後流水などで洗い流されますから。
とはいえ、隅々に浸透したディグリーザー。
洗い流されたオイルやグリスを同じように隅々にさせますか?
意識的に洗った部分はもちろん油を注すでしょう。
知らない間に流れ出た場所は...?
しっかり流してディグリーザーの成分も残さなかったとして
そこに残るのは油分のない金属表面でしょう。
なんとなく錆そうですよねぇ
洗うだけでなくその後の注油だったり乾燥だったりいろいろ気を付ける必要があるわけだ
なかなか面倒なのに、それを高頻度って…
そういう事。

高圧洗浄機、考え無しは修理直行便だぜ

洗浄に便利な高圧洗浄機。
あっという間に綺麗になります。
しかし、その矛先がベアリングに向いたら...…
そんな圧力は想定されてませんぞ
泥にまみれるMTBとかは、走ったあとに高圧洗浄機でバーッと洗う事はありますが、あくまで遠目から、ざっくり汚れを落とす程度です。
年間良く走るライダーなら、各部のベアリングなんかはシーズンオフにぜーんぶ交換しちゃいます。
とまぁ高圧洗浄機の圧力はいろんなシールを乗り越えちゃうので
そのへん分かってる人が使うといいですね。
じゃないと見た目は綺麗なのにベアリングはガタガタなんてね。

ま、今回のケースでは当てはまらないんだけど

この洗浄地獄逝きコース、今回はおそらく除外できます。
なぜなら洗浄は2回しかやってない。
ホースの水で。

じゃあ何が原因なんだ。

これが分からない。
症状は、ペダルを止めるとチェーンがたるむ これが最初でした。
そして尋常ならざる異音
確かにフリーボディに異常がある可能性は高そうである。
僕が疑っているのは、フリーボディの不良である(≠ベアリング)
フリーボディは、車輪が1方向にしか回転しないという機能をつかさどるパーツです。
これによってペダルを止めても車輪は回り続けるし、ペダルを逆回転させても問題ないわけだ。
(厳密にはペダルではなくクランクの回転ね…)

フリーボディ?一方向のみ回転するとは

これをどう実現するかだけど、フリーボディにバネで外に拡がる爪が付いていて、フリーボディが取り付けられるハブ本体には、その爪が引っ掛かる溝が掘ってあるわけだ。
ペダルをこぐと、フリーボディが回りだし、フリーボディの爪が溝に引っかかり、結果として車輪を回す。
ペダルを逆にこいだりすると、フリーボディが逆に回るのだが、爪は溝を掴むことができず、カチカチと滑ってしまう。結果として車輪にその力は伝わらない。
ペダルを止めるとカラカラカラと音がするが、それまさに爪が滑ってる音です。

左がハブ本体の溝 右は爪

このフリーボディの取り付けとかわるいんじゃね?

さて、このフリーボディ
メーカーによって取付方法は様々で、ただ刺さっているだけのもありますし、ネジで固定するタイプもあります。
このメーカーはネジタイプのようです

ネジ見えてる

このネジの生産誤差なんかで、いつもより深い位置に固定されたら。
フリーボディはハブ本体に強く接することになり、回転は重く
ペダルを止めても、ハブ本体の回転につられフリーボディも回ろうとしてチェーンを押し出そうとします。
もちろん適切な位置にいないので、爪にも負担がかかります。
余計な摩耗を生み、一部の爪は割れてしまうかもしれません。
一般的に3つ爪があるので1個機能停止してもそのまま使えることもあります。

ベアリングを除外した理由

これは、実は簡単な話です。
関係ないんです。
 
フリーボディのベアリングは、フリーボディが軸に対して自由に回転できるように存在しています。
そして、軸は車輪を貫通しフレームに固定されています。
つまり車輪が回ってもこの軸は回りませんし、
フリーボディが回っても、この軸は回りません。
さて、最初の症状とは「ペダルを止めたときチェーンがたるむ」です。
何が起きているか。
これはフリーボディが、車輪の回転につられて回ろうとすると、ギアまで回るのでチェーンが送られるわけです。送られてもペダルはライダーが止めているため、チェーンはたるむしかないのです。

リーボディのベアリングは”軸とは関係なく自由に回る為”にあります。
ここで、仮にフリーボディのベアリングが悪くなり回転しにくくなったとします。
ペダルをこぎます、フリーボディが回り始め、爪が引っ掛かり車輪を回し始めます。
勢いがついて、ペダルを止めました。
通常ならチェーンが動かないのでフリーボディは回転を止め、爪が滑り始め車輪は勝手に回り続けます
フリーボディのベアリングが悪いので、軸と同じ動きをしたくなります。
軸は.…回転していません止まっています。
つまり、フリーボディは止まります。ベアリングが悪くて軸から自由になれないからです。
 
ん?
そうです。通常と同じ動きです。
通常時、ペダルを止めるとフリーボディは回転を止めます。車輪は回転を続けます。
ベアリングが悪いとき
ペダルを止めると、フリーボディは回らない軸に引きずられ回転を止めます。車輪は回転を続けます。
関係ないはずなんです。
起こるべき症状は、
車輪は軽く回るが、ペダルがやけに重い
です。

最後に

ここまでとんでもない分量を読んでいただきありがとうございます。
目次から飛んできてもいいと思いますよ
外野から知り得た情報で考えるとあんまり納得できない状態です。
お店としても、最近のお客さんだと気が付いていれば
最初から初期不良として対応できたのかなと思ったり。
 
まとめると
今回の事象は、コメントでやり取りをした僕も責任の一端がある
その原因は慢心。メーカーもユーザーもすべてのメカも平等に疑い、そしてその分信頼すべきだった。
状況をちらっと読んだだけだと、少しというか大いに疑問が残る。
だって、提示した原因はおそらく関係ないんだから。

とはいえ…
ここに書いたものはすべて憶測です。
フリーボディの詳細なパーツリストも見つけられなかったので、完全に的外れな可能性すらあります。
また、断片のみから考えたものですので、全体の状態や経緯は分からず言葉のニュアンスすら取り違えていることもあるでしょう。
つまりここまでフィクションに限りなく近いと心得てください。

それではまた。

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