待機
待っていれば、彼に会える。
18歳の頃に抱いた恋心が28歳になる今でも持ち続けられることが、
彼から貰った一番のプレゼントかも知れないと思う。
恋愛経験が豊富とは言えない人生だが、
片想いは沢山経験した。
そして両想いも数回経験した。
片想いに至っては、長い時間をかけて好きという気持ちを募らせて、
気持ちが抑えられなくなったら想いを告げる、を繰り返すような人生だった。
(ちなみに人生で告白されたことが一度もない)
それに倣って彼にも同様、好きだと思ったから振られても構わない、告白してしまえという気持ちだった。
ただ一つこれまでと違ったのは、初めて”結婚したい”と思ったこと。
結婚なんて重苦しくて、ましてやこれから大学生、彼は社会人になろうとしている若者からすると非現実的だった。
なのに、彼に対してはそう思うことが自然なものと感じられた。
私のことを後輩としてしか見ていない彼に、
振られる覚悟だったとしても、結婚したいなんておこがましい。
今思えば、あの時そう感じていたことが有難い。
思い切りの良さと、振られ慣れている度胸が功を奏した。
メイクも知らない、ファッションも知らない、好きな人を惹きつけられるような仕草も知らない。
そんな私でも、好きでいてくれて、そばにいてくれる人が、
10年経った今も変わらず寄り添ってくれている。
長い恋人関係の中で、心の底から両想いだと思えるようになったのは、
つい最近のことのように感じることもあるけども、
焦り症の私に安心を与えようと努力してくれる彼が愛おしくてたまらない。
10年前も今も、彼からの連絡を心待ちにする時間。
もどかしくもあるけど、必ず来ると確信できる安心感がある。
早く彼に会って、彼に抱きついて、意外と細い腰に触れ、
仕事終わりでちょっと汗臭い彼の匂いに埋もれて好きだと伝えたい。
18歳だった私と、20歳だった彼。
28歳になる私と、30歳になる彼をその当時は想像できていただろうか。
どんな二人になっていると思っていただろうか。
彼のことを想い、彼の想いに生きる力をもらえる私は、
誰から見ようと世界で一番幸せな人間なのである。
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