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長編文学小説・MとRの物語

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Mというのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。
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【まとめ】長編文学小説「MとRの物語」

前書き  タイトルの「M」というのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。  三島さんが死の直前に書き上げた、「豊穣の海」全4巻の大長編小説は、実は全5巻となる予定だった、またエンディングは実際に発表されたものとは違う予定だったという、わりと信ぴょう性の高い噂があります。本小説は、作者である私(超プリン体)が三島由紀夫さんになりきり、三島さんを現代によみがえ

49「MとRの物語(Aルート)」第三章 12節 脳内会議(1)

うわーー、こわーーい! アイデアとしてはあったんだけど、あまり使い道のなさそうだった伏線が、 突如その狂暴な口を大きく開けた! おい、どうするんだよこれ……。 と、悩み中。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 12節 脳内会議(1)  布団に横になり、目を閉じるR。Mと女神は、無言でRを待っていた。今Rの心の中では、二人がソファーに座り、テレビを見ていたが、自分の心の中を覗き見ることが出来ないRには、その姿は見ることは出来ない。  Mさん? 終わった

70「MとRの物語(Aルート)」第五章 2節 3つの願い

今回も推敲なし。できは二の次。いえーい。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第五章 2節 3つの願い  少年の頃のMと手を離したRは、次の瞬間、自分が薄暗い部屋の、赤く火のおこった火鉢(ひばち)の前の、座布団に座っていることを認識した。がら、と板戸が開いて、少年がお茶を運んできた。 「どうぞ」 「ありがと」 Rは温かいお茶をふくみながら思う。これもすべて夢。でも過去を書きかえることの出来る、重要な夢。私は現代のRの身体の中で夢を見ながら、過去のMさんの

71「MとRの物語(Aルート)」第五章 3節 銀色の青い雪の下で

まるでサイコロを振るかのように。 脳内でふったサイコロの、出た目に従い執筆するように。 執筆をつづける私。それはディーン・R・クーンツに学んだ手法の拡張版。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第五章 3節 銀色の青い雪の下で 時の流れを下るRは、周囲に目を向ける。きらきらと光る波や水筋(みずすじ)、荒々しい水の流れによって生じる気泡に、何かの映像が映っている。ゆらめくそれらに目を凝らすと、それは波間に繰り広げられる誰の人生が、反射し、屈折してRの目に届いたも