小説で浪費する女 #『悪友 浪費』

劇団雌猫さんの『悪友 浪費』を知っていますか。

「インターネットで言えない話」をテーマとして、様々なジャンルにハマっている女の人達のエッセイ集みたいな同人誌。『浪費』をはじめとして『恋愛』『美意識』『東京』・・などなどのテーマがあります。商業本も出していて、最近は『恋愛』のリメイク版『誰になんと言われようと、これが私の恋愛です』が出ました(もちろん買った)。オタクは全員読んで欲しい。

エピソードそれぞれが好きすぎて、もし自分が載るなら・・・という妄想で書きました。最初は『浪費』です。

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小説で浪費する女


本が好き。小説が好き。漫画もアニメも好きだけれど、一番好きなのはやっぱり小説。字も読めない時から絵本を眺めて、小学生になったら図書館に入り浸った。近くもない図書館に毎週車を走らせてくれて、毎晩本の読み聞かせをしてくれたお母さんありがとう。あなたの英才教育のおかげで娘は他の何物よりも活字が好きな、立派なオタクになりました。

私には偏愛している作家さんがいる。辻村深月さん。この人が書いてるものは全部読みたいし、影響を受けているものもなるべく同じく摂取したい。

小説って、基本単行本→数年経って文庫化、っていう流れが結構多いんですよね。中身は同じ作品。単行本って嵩張るし高いしあらすじとか書いてないし、本読まない人とかからみたら本当に馴染みがないと思う。

一例を出すと辻村さんは『光待つ場所へ』っていう作品で単行本(2010年)・ノベルス(2012年)・文庫(2013年)っていう3パターン出している。

でも、表紙も違うしあとがきだって変わってる。文庫化するにあたって辻村さんがこだわった所とかもあるだろうし、なにより印税が入る。だから買う。辻村さんは形態が変わる毎に新章を追加してくれるので実質タダ(オタクはすぐこの言葉使う)。

というか、辻村さんの小説だけじゃなく、辻村さんが推薦文を書いた漫画とか、インタビューが載ってる雑誌とかも買う。だって出版社の人とかに「やっぱ辻村さんが絡むと違うな~」って思ってほしい。ジャニヲタの友達だってセブンでくじが出てた時、トイレットペーパーやら卵やら日用品全部セブンで買ってるって言ってたもん。推しが出てるCMの商品は基本全部買うって言ってた。それと同じ。

辻村さんが推薦文を書いてたから『3月のライオン』を読み始めたし、アーバンギャルドのCDも買いました。今井キラさんも『少女の国』で辻村さんが寄稿したから知ったし、夜想『少女』を買いにパラボリカ・ビスまで行った。ペンネームの由来の綾辻行人さんだって全部読んで、選考委員をしてた酒折連歌だって応募した。もはや関係ないけれど、小説の中に出てくるミキモトのボールペンが欲しくて親に20歳の誕生日プレゼントにおねだりをして、いつかカルティエの黒い文字盤の腕時計を自分で買うって決意している。

『3月のライオン』は辻村さんきっかけで入ったけどドはまりして、同じ作者のハチクロもスピカも全巻揃えた。酒折連歌繋がりで短歌とか俳句も好きになって三橋鷹女っていう歌人について今は詳しく調べている。興味の幅がどんどん広がって、その全部が私の糧になっていると実感できる。

ハマっているコンテンツが小説なので、かなり露出は低い。国民的アイドルが推しの友達はツアーで北は札幌から南は福岡まで飛び回り、雑誌にラジオ・毎日のテレビ録画とかなり忙しそう。けど、ちょっと羨ましい気持ちもある。だってこっちはブームが過ぎ去った後にハマってしまい、夜な夜なインターネットを駆使して情報をかき集める、みたいな愛し方に近いんだもん・・・。情報が少ないからこそ、露出はなるべくすべて押さえたい。載っているのが1ページしかなくても、内容は同じの小説がカバー違いで出ても、全て買う。それが私の浪費であり愛だ。


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