偶然の再開

今日から夏休みなので、難波にシンゴジラを見に行った。ちなみに2回目。映画を見た後、本屋をぶらぶらし、夕食を食べて帰路に就く。ごくごく普通の休日。どうせ大したことは起きないはずたった。

地下鉄に乗り帰るのだか、途中の駅で終点になってしまった。降りたときにホームにいる女性と目が合った。「あっ」と思った。思わず体が固まってしまった。

彼女で間違いない。あのときから全然変わってない。顔も背格好も何もかも。

もし彼女が10年前と同じ地域に住んでるなら、僕が思い浮かべているあの駅で降りるはずだ。数分後、彼女もその駅で降りた。僕はその駅で降りる予定ではなかったのだが、思わず飛び降りてしまった。

地上に出てから、僕は彼女に声をかけようと思ったが、なんと声をかけていいかわからなかった。彼女の顔を覚えているのに名字も名前も思い出せないのだ。でも、声をかけるべきだと思った。なぜなのかは自分でもわからない。

意を決して声をかけた。

「もし人違いだったら申し訳ないのですが、○○中学の出身ですよね? 」

もう夜の8時である。完全なる不審者だ。怪訝そうにしている彼女に再度尋ねた。

「中学のとき○○部でしたよね?」

「すみません。誰ですか?」と聞かれたので、「中学のとき同じ部活だった○○です!」

僕がそう言葉を発したとき彼女の顔がぱあっと明るくなった。

「もしかして○○(あだ名)?」
「はい、そうです。すみません、いきなり声をかけてしまって」

彼女は中学のときの部活の先輩だった。卒業後、一度も会っていなかった。10年ぶりだった。それから懐かしい思い出話を語りながら歩いた。中学の時と変わっていない彼女の姿が嬉しかった。

彼女によると、その当時同じ部活に所属していた僕の友人は今、俳優をやっているらしい。バラエティ番組の再現ドラマや映画に出ているらしい。

10年経っても変わらないものもあるし、変わるものもある。自分はどうなんだろうかとしみじみ感じた。

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