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催眠音声の曲を作って応募したら地上波のTVアニメの挿入歌として採用された話

お疲れ様です。
山本と申します。

皆様は昨年末、地上波放送のテレビ局で人知れず催眠音声の曲が流れた事をご存知でしょうか?


こちらは私が制作した「あまあま催眠リミックス」という曲なのですが、この映像が2023年12月27日(水)23:00〜24:00TOKYO MXで放送された「ずんだホライずん&ずんパラ」内の挿入歌として、地上波で放送されました。

上記の映像はYouTubeの映像をテレビに映している訳ではなく、実際に流れている地上波の映像です。それも年末の23時台というそこそこ見てる人がいそうな時間帯です。エグいですね。

という訳で今回は、「催眠音声の曲を作って応募したら地上波のTVアニメの挿入歌として採用された話」について書き綴っていきたいと思います。


催眠音声の曲を作る

昨年8月、ボカロPになってからまだ日が浅かった私は、バズる為にとりあえず色々やってみようという事でネタ曲の制作に手を出しました。

とは言ってもどんなテーマで歌詞を作ればいいか分からず、当初はただただ寿司ネタを連呼するだけの曲にする予定でした。しかしながら展開がなさすぎるのであえなくボツに。

そこで「ずんだもんが曲に合わせて催眠音声のノリでゼロ♡ゼロ♡って言いまくれば面白いんじゃないか?」という発想に至りました。催眠音声の数字のカウントってネタツイのテーマとかでもよく見るので、ネット民に刺さりやすいはずだという謎の自信がありました。

MVのイラスト担当である設樂さんに相談したところ、「ずんだもんが囁き声で寿司ネタ連呼してたら面白いですよね」といったことを話していたので、そのまま採用しています。

これは実際面白いです

フォロワーからは「やめた方がいい」「考え直すべき」「なんで催眠音声?」といった提言を多数頂いた記憶があります。今思い返してみると、催眠音声というテーマにどうしてあんなに自信があったのかよく分かりません。何かに取り憑かれていた気がする。

ともかく作曲から映像の制作までかなりスムーズに進み、1週間程度で完成しました。曲調はシンプル、映像も設樂さんのイラストを活かす為に動きは少なめです。

制作期間が短い割には良い出来だったんじゃないか、と個人的には満足でした。設樂さんからゴーサインを頂き、ウキウキでニコニコの予約投稿を済ませたところ、ニコニコサイト内のある企画ページが目に映りました。


「ずんパラ投稿祭…?」


ずんパラ投稿祭開催までの流れ

昨年1月、東北きりたん・東北イタコvoicepeak化のクラウドファンディングが行われました。

voicepeakは豊かな感情表現が可能な音声合成ソフト

こちらのクラウドファンディングは開始20分で目標金額に到達したのですが、ストレッチゴールとしてみんなの動画を募集してTV放送するというかなり大規模な企画が用意されていました。

その金額はなんと4400万円。当初の目標金額の7倍以上です。

攻め企画

最終的に集まった金額は4900万円ということで、こちらのゴールもめでたく達成。

そしてその放送枠はなんと1時間。そのうちの半分は長編アニメ「ずんだホライずん」の再放送ですが、残り30分はオープニングからエンディングまで動画投稿者が制作したコンテンツをまるまる放送することになりました。

なかなかにカオスになりそうですが、動画投稿者にとっては自分の動画を地上波に映すことができるまたとないチャンス。もし採用でもされようものなら「自分の作品が地上波で放送された実績があります」とプロフに堂々と書けるので、そういう意味でもかなりエキサイティングな企画と言えます。

そして日付は飛んで8月19日、TV放送される作品を決める公募企画「ずんパラ投稿祭」が開催されました。

この企画で募集された作品は「MV部門」「本編部門」「イラスト部門」「アイキャッチ部門」の4つ。本編部門とアイキャッチ部門の作品は、各キャラの声優さんがセリフを全て吹き替えてくれます。

そしてMV部門は、採用作品が2作品のみという狭き門。TV放送を狙う場合、オープニング曲エンディング曲のどちらに的を絞るかも重要になってきます。

という訳でニコニコの動画投稿者達がこぞって参加したこの企画ですが、恥ずかしながら私はこの企画の存在を全く知りませんでした。


急遽参加する

とりあえずまずは募集要項の確認。

「東北ずん子プロジェクトのキャラクター、対応する音声合成ソフトを用いて制作した楽曲」

ボーカルはずんだもんなのでこれはセーフ。

「動画尺:60秒〜90秒」

ネタ曲だったことが幸いし、69秒という短めの尺で作っておりここもセーフ。もし時間がオーバーしていたら作り直す手間を嫌って参加を見送っていたかもしれません。

「テーマ:東北の名産をお正月に食べたくなるような作品」

アウト!!!

ここで引っ掛かりました。東北要素も名産要素もお正月要素もありません。こじつけで寿司ネタに東北産の魚介類が使われています、とか催眠音声のカウントダウンは実質年越しなのでお正月要素です、とか主張することはできるかもしれませんが、だから何だという話です。

というかそもそも催眠音声の曲が地上波で流れる訳がありません。ここにきてフォロワーの提言を受け入れずに自分の考えを押し通したツケが回ってきました。客観的な意見ってやっぱり大事なんですね。

ただ、こういった人間の参加を見越していたのか「こんなのTVで放送できるわけないで賞」という明らかなネタ表彰も用意されていました。

商品ずんだもち1年分は普通に豪華

全作品の中から1作品なのでこれまた狭き門なのですが、この曲の絶妙にテレビで流しづらい雰囲気を考慮するとこっちの方がチャンスがありそう。

という訳で当初の投稿予定日からスライドして参加する事にしました。

自分勝手すぎる投稿日スライド

※ちなみにこういった企画でテーマをガン無視した作品を投稿するのは主催者様に失礼なので、マジで真似しないでください


その後

曲を応募してから少し経ち9月の末頃。あるアカウントから1通のDMが届きました。確認してみると「ニコニコ窓口担当」の文字。そして内容は


「ご提出いただいた作品のうち、以下の作品がTV放送賞に採用されました。」

「あまあま催眠リミックス / ずんだもん」


うおぉ!!!採用された!!!


てっきり受賞するなら「こんなのTVで放送できるわけないで賞」だと思っていたので驚きもひとしお。思い返せば長らく創作をやってきて、賞を受賞することなんて一度たりともありませんでした。貴重な経験です。

さっそく設樂さんに報告したところ、「え、テレビで流れるんですか?それってめっちゃ凄いことじゃないですか?」と動揺を隠せていませんでした。設樂さんはずんパラ投稿祭について知らなかったようなので、自分のイラストが地上波で流れると聞いて寝耳に水だったっぽいです。

ともかくそこから作品データの提出などがあり、時は流れて12月。ついにニコニコ公式からTV放送賞の受賞作品の発表が行われました。

本当に載ってた

ちゃんとありました。

番組構成上の理由から採用作品が2作品から4作品に増えており、「あぁ、だから受賞できたのかな」と1人で納得したりしていました。あと他の3作品はちゃんとお正月テーマの曲だったのでちゃんと浮いてました。

まぁ、何はともあれこれで地上波で催眠音声の曲が流れることが公式に確定し、あとは12月27日の放送日を待つのみとなりました。


当日

ついにその日が来ました。

放送局はTOKYO MX秋田朝日放送。Twitter上で地上波放送されると散々宣伝しておきながら、宮城在住の私はテレビで自分の作品を観ることが叶いませんでした。

という訳で関東在住のフォロワーに「Twitterに上げたいんでテレビの映像スマホで撮って送ってください」と依頼しつつ(それが最初の映像)、自分は23:05〜24:05ニコニコ生放送で視聴しました。

当日は複数人のフォロワーとウォッチパーティを行っており、前半は長編アニメ「ずんだホライずん」をまるまる30分間視聴。全員初見だったため、急展開の連続についていけずひたすら面食らってました。

そして…

表示されるずんパラのロゴ
意味ありげな注釈


始まった!!


後半にさしかかり、ついに「ずんパラ」がスタート。

そこからは、内容がどうこうよりも「いつ催眠音声が流れるのか」、ウォッチパーティの参加者全員がそのタイミングを注視し続けており、ウォッチパーティとは思えぬ緊張感が漂い続けていました。

画面が切り替わるたびに催眠音声を警戒し続ける不毛な30分間。

そしてついに…

来た!!!!!!!


うおおおおお!!!催眠音声きたああああああ!!!


順番はまさかの大トリ。地上波放送の最後を飾ったのは、まごうことなき催眠音声でした。ウォッチパーティ勢も1時間焦らされ続けてテンションがおかしくなっており、ニコ生の公式放送に全員で「催眠音声きたあああああああ」とコメントしたりしてました。普通に迷惑。

かくして激動の1日は終わりを告げました。

翌日、ニコニコ生放送で行われた「ずんパラ投稿祭振り返り生放送」にて、再度この曲がエンディングテーマとして使われていました。また、ニコニコ代表の栗田穣崇氏「この曲を企画担当者がゴリ押ししてきた」と語っていました。

もし企画担当者が別の人だったらTV放送賞にも選ばれていなかったのだろうか、と考えるとその方に感謝の意を示さずにはいられません。ありがたし。


おわりに

この曲の影響でフォロワー数が30人ぐらい増えたり、東北ずん子公式様やずんパラじお様のTwitterアカウントから反応を頂けたり、割といろんなことがありました。

この件から学んだこととして、本当にどんな作品が賞に選ばれるかなんてわからないものです。だから、自信がなかったとしてもとりあえず賞に応募してみること、その行為に意味があるんだと思います。

そのことをおしえてくれた「あまあま催眠リミックス」、本当にありがとう。

今のところ、私が投稿した曲の中で「あまあま催眠リミックス」が1番再生回数が多いので、さっさと越えたいです。

催眠音声の曲って恥ずかしいし。


ちなみに、自作曲の他にも音MADとか作ったりしてるので、興味がある方はチャンネル登録とかして頂けると嬉しいです。

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