小説:キリキザン 第3話

あらすじ:初めて彼女ができたヒロトは、一か月で振られてしまう。その後からヒロトの体調がどんどん悪くなる。次の日、彼女ネタでいじられるヒロトは我慢できなくなった。突如、最初にヒロトをいじった生徒が血を吹いて倒れだした。叫ぶほかの生徒。しかしなぜか動けない。ヒロトが気づいたときには、クラス全員が血まみれで死んでいた。困惑するヒロト。
そこに声をかけたのは別れた彼女、関秋穂だった。

第3話
澄んだ海。澄んだ空。ここはどこだろう。何も感じない。
呼吸は、できる。顔も触れる。ボクは何をしたのか。
すっきりするほど、落ち着いている。頭痛もない。吐き気もない。当分ここにいたい。
秋穂「ずっとここにいればいいじゃない。」
後ろを振り向く。学生服のままの秋穂がいた。
ヒロト「秋穂、、うん。そうだね。」
??「…め。」
秋穂に近づくヒロト。
「おいで…」といいながら、にこっとした顔で両手を広げる。
奈央「駄目!ヒロト!」
ヒロトは思いっきり飛ばされる。
ヒロト「ぐわっ!」
体に激痛が走る。何かにぶつかったらしい。周りを見ると、学校の廊下にいた。秋穂といたはずなのに誰もいない。確か誰に押された気がした。母さんの声がした。
教室をみると、秋穂と母さんがいた。
ヒロト「か、母さん!なんでここに!」
奈央「ヒロト、逃げなさい!」
秋穂「ちょっと、邪魔しないでよ。叔母さん。」
奈央「…はぁ?私はまだ29よ。あら?38かしら。まだまだピチピチよ。」
秋穂「コマンダー的に800超えてんだろ。クソババア。」
奈央「…ヴァンリー、ヤルヨ。」
『久々に暴れてやろう』
ヒロトの眼には、奈央の背中から怪物のような化身のような黒いモノが見えた。同様に秋穂からも紅いモノを宿しているかのように何本もの触手が見えた。
ボクは怖気づいて動けなかった。尻もちをつくが、逃げようと動こうとする。その瞬間、教室と廊下の窓ガラスが割れる。
ヒロト「うわ!」
ヒロトの頭上から黒板が通り過ぎて、グラウンドの庭に衝撃音を立てて落ちる。
バキバキっと音がする。何か嫌な予感がした。
そのヒロトの予感は的中した。
教室の床が割れて、母さんと秋穂が落ちていく。
そこには2年生がいるんだ。黒板の衝撃音が気になって数人廊下にいるんだろうか。教科書があるが座っていない席があった。
母さんと秋穂はまるで何かが護っているように落ちている。
ボクは叫ばないといけなかった。「逃げて!」って。じゃないとみんな死ぬ。そう確信した。
確信したのに、、
「みんな、逃げて…」
小さい声でしか言えなかった。出せなかった。
「うわあぁぁ!」「きゃぁぁぁ!」
上から降ってくる床の破片や机の破片に当たる生徒。母さんと秋穂の攻撃に巻き込まれる生徒。
ヒロトは瞬きを数回しただけだった。数秒しかかかっていなかった。気づいた時には全員斬殺されていた。
ヒロト「うっ、うぅっ。みんな、ごめん。」
『何故謝る。お前が何をしたと言うのだ。』
ヒロト「誰だ!」
『質問に答えろ。何故謝ったのだ。」
ヒロト「だって、ぼくが、ぼくが、殺したんだ。
ぼくが事の発端なんだ。だから、、」
秋穂「ふふっ、誰と話してるの?ヒロト君」
秋穂は右手にあってはならないものをもっていた。
ヒロト「母、、さん。」
秋穂は奈央の首を持っていた。
ヒロト「なんで、なんでこんな事するんだよ!」
秋穂「なんでって、君を喰べるためだよ。いい?
君は『料理』なの。ご飯って美味しくするために色々するじゃん?君の場合は「絶望」させることなの。そのソースが君を美味しくするの。
ヒロト「ぁぁぁぁ、うわあぁぁ!来るな!来るなぁ!」
叫び声を上げながら後ずさりする。
秋穂「うるさい。」
ヒロトの足に触手を棘のような形に変形させて刺した。
ヒロト「ぐああぁぁぁ!!」
痛がるヒロトに秋穂は近づく。
秋穂「次はちゃんと食べてあげる。」
ヒロト「やめて、やめてよ。秋穂。」
秋穂がヒロトの首を口を開けて噛もうとした瞬間、
『久しいね。また捕食かい?クレア。』
秋穂は動きを止めてその声のする方を見た。
秋穂「ぇ、FGC…。な、なんで、」
??「名前で呼んでくれよ。あと後ろ。」
その男は指をさした。
後ろを向くと鎌を持った女がこっちに走ってきている。
??「エヴォさん、ばらさないでくだっさいよ!」
エヴォ「でもぉ、はるちゃん仕留めてくれるでしょ?」
陽華「いわれなくってもぉ!」
大きい鎌を秋穂めがけてぶん回した。
その鎌の刃先が秋穂の左腕に刺さり左腕が千切れた。
秋穂「いったーいっ!!」
右腕で千切れた左腕を抑えながら後ずさる。
秋穂「なめんじゃないわよ!」
全身から触手をだして攻撃する。
奈央「それはこっちの台詞よ。」
今までいなかった奈央が現れて秋穂に近づいていく。
右腕が何か黒いモノで覆われていて強化されているようだった。
奈央は触手の攻撃をかわして思いっきり秋穂の顔を殴った。
秋穂「ぐぁ、な、んで。」
殺したはずの奈央の顔は、黒く変色し、黒い煙のように蒸発した。
奈央「それはフェイクよ。」
秋穂「そ…な…」
がくっと秋穂は気絶して倒れた。
ヒロトはほっとしていた。死んだと思った母が生きていたのだから。
ヒロト「母さん、良かった。」
奈央「ヒロト!ヒロト…ロト…ト」
ヒロトは体力の限界だったため、気を失った。

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