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モンスターアンドゴースト1の感想

「モンスターアンドゴースト1」
ヒメミコ先生

昨今の商業BL漫画は、とりあえず毎話チンポコをハメとくものである。そんな世界に飽いていた​──────。

オマンチンザウルス

最近じゃあマイノリティへの理解も浸透しているが、それはそれとして、そもそもボーイズがラブするって“当たり前”のことではない。
人が恋に落ちるには何らかの理由があり出来事があり、落ちるに足るものがある。
そういう過程をかなり端折って、とりあえずチンポコをハメたいandハメるところを読みたいという欲求と需要に応えた結果が今全体に蔓延る商業BLのつまらなさである。
ザウルスも勿論エロは好きだけどエロはエロとして楽しみたい。エロだけ読みたいならDLsiteへ行くんだ!pixivを漁れ!
捻くれ厄介キモ・オタク、それでも悲しきかな腐女子というものは一度かかると治らない不治の病なので定期的に商業BLを摂取しなくてはならない。

そんなひねくれているザウルスに差した一筋の光、それが「モンスターアンドゴースト」。

“画力で殴る”って一体なんなんだ。
アマゾン奥地を探索するわけでもなく数ページ読み進めただけで理解した。解らせられた。
大胆なコマ割り、惹き込まれる構図、逞しい腕とその腕に走る血管の描き込み。献血しやすそうなプリプリの血管が素晴らしい。
そして作中、数々のモブらが口にする。

「デッカ……

デカくて力加減も人付き合いも分からない、群れをなし行動することが基盤の社会から見事に逸脱している椿は、逸脱することで自分のことも、間接的には他人のことも守っている。※守らずボコボコにすることもあります。
彼をモンスターと呼称するにはあまりにも浅慮が過ぎる。周囲から浮いている椿がモンスターでないことを、物理的に浮いているゴーストのカブトだけは分かっている。
椿が貫いてきた不器用な強さを、取り憑いたことで誰よりも近くで知り、内側を見抜きそれを真っ直ぐ言葉にして伝えるカブトは清くて綺麗だし、椿には荒削りな美しさがある。
二人はどちらも違う形で綺麗なのだ。
誰からも“見えていない”カブトだけが“見ている”。この漫画はつくづく対比が美しい。

どちらも報われて欲しい。
片方死んじゃってる時点でハピエンは難しいのではないかと戦々恐々としている読者に対してヒメミコ先生は最初からハピエンと言い切っている。
それがどんな形の“幸せ”なのか、楽しみで仕方がない。
2023年に買った商業BL本のなかで群を抜いて、ダントツで好きだ。
基本的に本に挟まっている感想ハガキは捨てているがみっちり書いてちゃんと窓口で出した。グラッテ?かよく分からんがアニメイトでアクリルスタンドもステッカーも買って全力支援。

絵がとんでもなく美麗なので肉体の描写が凄まじく、ヒメミコ先生が濡れ場を描いたら芸術鑑賞のようになってしまうかもしれない。
それでもザウルスは見たい、椿くんの、絶対に大きいチンポ。見たい。チンポと呼ぶにはあまりにもペニスなチンポ、見たすぎるッッ!
でもこのままプラトニックに終わって欲しい気持ちもある。競り合っている。心がふたつある〜。
私的には無理やりエロをぶち込むようなことはして欲しくない作品ナンバーワンなので、そこら辺も気にしながらおそらく完結となる2巻の発売を楽しみにしている。4月末予定らしい。

言うて腕の血管とボタンが弾け飛びそうな胸筋だけでも十分センシティブだ。

初めての感想noteはヒメミコ先生のにしたいと強く思ってたので心ゆくまで語れて満足だ。
ザウルスの主流狩場は商業BL。10年ほどの生息域。まだまだ感想を言いたい漫画があるので気まぐれに書きます。


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