![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/147380639/rectangle_large_type_2_8668981fdc9a4dce68a752cfd6548532.jpeg?width=1200)
短編小説のような一節
盛岡のもりおか啄木・賢治青春館に行ったときのことです。
1階の展示を眺めて奥の階段を上ると、2階では「賢治の童話・絵本展」が開かれていました。
絵本を読めるコーナーもあったので、ちょっと休憩のつもりで、手近にあった『銀河鉄道の夜』をめくってみました。
「ではみなさんは、そういうふうに川だと言われたり、乳の流れたあとだと言われたりしていた、このぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか」
ああ、これか。読んだことないと思っていたけど、見覚えがある。
カムパネルラが手をあげました。それから四、五人手をあげました。ジョバンニも手をあげようとして、急いでそのままやめました。
ジョバンニにカムパネルラ。このあたりも見覚えがある。でも、先の話は思い出せない。
***
先生に名指しされたジョバンニは、答えられずに真っ赤になってしまう。次に指されたカムパネルラも、やはり答えられない。2人とも答えを知っているのに。
この頃ジョバンニは、仕事が辛くて学校でも調子が出ない。カムパネルラは、そんな自分を気の毒に思ってわざと答えなかったのだ。そんなことを思って涙目になる。
その様子を知ってか知らずか、先生は質問の答えを示して銀河の話を続ける。模型も見せて天の川の説明をする――
時間が来たので授業はおしまい。今日は銀河のお祭りです。
***
『銀河鉄道の夜』の冒頭の「午後の授業」の部分です。見開き2頁ちょっとでしたが、ここを読んだだけで、なんだかとっても感激してしまいました。
帰ったら続きを読んでみようか。
いや、やめておいたほうがいいかな。
盛岡のクラシカルな洋館で、短編小説のような一節を読んだお話です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?