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本願寺の美術 共命の鳥(本願寺御影堂前卓のレリーフ)

提婆達多は釈尊から仏法を聞きながら、釈尊に対して怨みを抱いていました。このことに疑問を持った弟子達は、「素晴らしい利益を得る仏法を聞きながら、何故、提婆達多は釈尊に怨みを抱くのですか?」と釈尊に尋ねられます。この質問に対し、釈尊は「このことは今に始まった事ではない」といわれ、お話になられたのが以下の共命鳥の話です。


昔、雪山の麓に身体は一つ、頭が二つの二頭鳥がいました。一頭の名前をカルダ、もう一頭の名前をウバカルダといい、一頭が目覚めている時、もう一頭は眠っています。ある時、カルダは眠っているウバカルダに黙って、たまたまあった摩頭迦という果樹の花を食べます。摩頭迦の花を食べることは、二頭ともに利益があると思ったからです。しかし、ウバカルダは目を覚ました後、黙って食べられた事に対し腹を立てて憎悪の思いを起すのでした。
またある時、二頭が飛び回っていると、今度は毒花に遭遇します。憎悪の思いを抱いているウバカルダは思います。「この毒花を食べて、二頭ともに死んでしまおう」と。そしてウバカルダはカルダを眠らせ、自ら毒花を食べてしまいます。眠りから覚めたカルダは瀕死の状態のなか、ウバカルダにいいます。「昔、お互いに利益があると思って摩頭迦の花を食べたことに対し、あなたはかえって憎悪の思いを起しました。まことに瞋恚や愚癡というものに利益はありません。この様な愚かな心は、自らを傷つけ、他人をも傷つけてしまうからです」

そして釈尊は弟子達に、続けて次の様にもいわれました。

この摩頭迦の美花を食べたカルダが私であり、毒花を食べたウバカルダが提婆達多です。私があの時、利益をなしたのにも関らず、提婆達多はかえって憎悪の思いを起したのです。そして今もなお、提婆達多は私が仏法の利益を教えても、かえって私に怨みの心を抱いているのです。

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