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多摩美術大学グラフィックデザイン科の試験について feat.Eさん

前置き

多摩美術大学グラフィックデザイン科の試験に関して知っておきたい、知っておくべき情報を本noteにおいて共有します。
SNSなどでも実際の体験談に関して詳細まで含めたものはないかと思われます。
美術予備校内では具体的に講師の方から色々なお話をお聞きする機会があると思いますが、そうではない全国の方々にも是非どうぞ。

製作者:Eさん 運営

Before



Q:多摩美グラフィックデザイン科において試験対策は美術予備校なしでは難しいのでしょうか?

A:1学年190名ほど在籍していますが、その中で美術予備校に通っていないという人は片手で数えられる程度にしかいないです。実際2名だけ知っていますが、かなり難しい・珍しいのではないでしょうか。予備校にはかなりお金がかかりますが、志望学科出身の講師などが在籍しており、生の話を聞くこともできますので、毎週通うのが難しくても夏期講習・冬季講習・受験直前の講習は受けることをおすすめします。

Q:予備校が多くある中でどの予備校を選べばいいのかが分からず、おすすめの予備校、選び方的なのはありますか?

A:地方出身なので、関東圏の大きな予備校のことはあまり分かりませんが、どばたよりも湘南や新宿が(体感ですが)多い気がします。
また、キクナもそこそこいますが、皆 口を揃えて厳しいと言っています。気になる予備校があるのであれば、一度講習などを体験してみては?(合わない予備校は変えた方がいいです)




Q:多摩美術大学のデザインを志望するにあたってどのようにその中の科などを選んだら良いのでしょうか?(オープンキャンパスに行く必要?ネットのサイト?予備校?)

A:卒業生の作品を見る・志望する職業や企業についている人が多い学科を選べば良いのではないでしょうか。大学のHPで見ることができます。自分は地方出身ですので、オープンキャンパスには参加していません。GD学科は企業へ就職する方も多いですが、作家志望も多いです。



Q:美術予備校内での講評に対する意識の持ち方を教えてください。                                                                          

A:色彩もデッサンも、デザインや制作について説明ができることを前提とした講評にしましょう。「好きだからこの色を・モチーフを・・・」ではなく、どのような印象や画面のために使ったと言えることが求められます。これは入学後も同じ・大前提ですので、早めに頭に入れておくといいかもです。


Q:橋本駅からどのように向かえばいいのでしょうか?

A:当日は橋本駅のバス停で案内係が誘導してくれるので、あまり心配せず向かいましょう。橋本駅~大学間は一律180円(ICで178円)です。
大学正門から各棟はそこそこ歩くので、会場を探す時間なども含め、余裕を持って向かってください。
受験当日は多摩美術大学の正門で降りますが、入学後は多摩美大坂上かリーフィア町田小山ヶ丘で降りると、それぞれ東門・南門から近く、多摩美の坂の洗礼を受けずに済みます。

Q:一般の想定デッサン、鉛筆デッサンに関して教えて下さい。

A:多摩グラは自分の手と状況やモチーフの指定がある問題が基本です。
去年は「顔を覆う手」でした。
当日は鏡が配布されますが、鏡の後ろに支えがありませんので、鏡の入った箱を使って立てかけるのが基本です。(こちらの説明は難しいですが、当日絶対に誰かやっているので、見て真似しましょう)
時間配分としてはエスキースやテーマの選定を1時間まで、30分~1時間で形と陰影、その他を描き込みの時間に使うのが普通かなと思います。もちろん手が早い人や、テーマをしっかり考えたい人は2時間エスキースしても良いと思います。
基本は課題に違反しないことを考え、その中でどのように目立たせるかを考えてやるといいです。例えば顔を覆う状況なら、それは自分の顔?誰かの顔?人間の顔?オモチャの顔?、覆うってどこまで?など。およそ800~900人が受ける試験ですので、クオリティのほかにアイデアが突出していると高得点が取れます。
(しかし不安なら試験の要素だけで描いてもかまいません)自分のペースや得意なパース、モチーフ、手の状況を知っておけるといいです。



Q:一般の色彩構成について教えて下さい。(多摩美術大学グラフィックデザイン科のサイトでは理解力 発想力 造形力 完成度 個性等々書いてありましたがどのように分析、そして対応すればよいのでしょうか?)

A:理解力は課題に沿っているか、発想力はアイデアといったところでしょうか。
造形・完成度はシンプルですが、センスとデザイナーとしての素質が問われるところです。
一番お話しやすいところだと、完成度は画面内に紙の白いところがないか・絵の具はムラなく塗られているか・文字レタリングの精度などだと思います。これらは練習すれば必ず身につきますので、日頃から意識しましょう。絵の具の塗りは、浪人生の手元を観察してみるといいかもしれません。(自分はそのように取得しました。)
また、PinterestやSNSで好みの作品を探したり、海外の作品を見たり、展示に行ってみるのが造形や発想を育てる一番の練習です。デザイナーの作品に限らず、ファインアートや民芸品、服、写真も見た方が、知識や技術の蓄積になります。
どうして良いと思ったか・どこが良いのかを言語化してみるのも良いかもしれません。




Q:特別選抜A方式のクリエイティビティテストについて教えて下さい。

A:推薦試験ですね、この試験の合格作品は基本的に公開されていないので、大手の予備校などで見せてもらうのが早いです。
クリエイティビティテストは鉛筆やペンなどで制作します。自分がどれだけやる気があってデザインが好きかアピールするテストかなあと感じており、実際、文章を書く試験でもあるので、好きなものややりたいことを言語化する練習をするといいかもしれないです。
ちなみに定規は使用禁止ですので、鉛筆のケースなどで直線を引きましょう。
推薦試験合格者の友達もいますが、実技は満点近く取れるけど、どうしても学科が取れないという方が多いので、推薦試験の時期までに実技を仕上げる自信がなければ、受ける必要はないです。本番の練習にはなりますが、個人的にはGD学科の受験日(2月の3日とかそのへん)より前に東京造形大学の試験がありますので、そちらを受けて試験に臨むほうが、色々コスパいいかなと思います。




Q:学科はどのように対応していましたか?                                              

A:一般と共通どちらも受け合格しましたが、一般学科の勉強は1,2週間前、共通は国語(現代文)と倫理を受けました。一般試験の国語は、最後に小論文がありますが、それも特に勉強していません。
英語は苦手だったので、試験範囲の英検準2級~2級の単語をスマホアプリのmikanで1週間だけ勉強しました。mikanは有料会員になると市販の単語帳読み放題なので財布に優しいです。笑
一般は普通に勉強すれば点数取れるので、自分の実技のおおよその点数をもとに、全体が7~8割平均になるようにしてください。実技+学科の平均点が7.5割以下の場合はおそらく補欠です。実技に自信があっても勉強して平均を下げないようにしましょう。
共通は一般より難しいかもしれませんが、英語を受けなくてもいい(国語・現代文は固定)ので、逃げ道として。楽しめる教科を勉強してください!



Q:会場で待つ間はどの様な状況なのでしょうか?                                                              

A:試験官が問題用紙・下書き用紙・本番の紙やパネルを配りますので、机の上に積まれていく紙束を眺める時間です。問題用紙はもちろん裏返しで配布されますが、ちょっと透けてるのでガン見したほうが(試験時間はそんなに変わりませんが)気持ち的に余裕が持てます。裏返しで紙に触れなければ注意されることはないです。
昼休みは解答用紙(本番の紙)、下書きは机の下の棚にしまい、画材を触ることはNGです。鉛筆削りも注意されますので、その時間込みで計算しましょう。自分は棚の中をガン見していましたが、このあたりは試験官と教室によって違い、多少注意される可能性がありますので気をつけましょう。



Q:実際に試験室内に持っていっても良いもの、持って行ったほうが良いと思われるものがあれば教えて下さい。(事前許可などはないが別にある程度良識の範囲内であれば良いものなどです。)

A:入試資料にあるものが基本です。あまりお話できませんが、試験官もその資料を机に置いているので、守りましょう。
デッサンの試験は定規やコンパス禁止です。
名前や番号を書く黒ボールペン忘れがちです。

筆洗の水は挙手→試験官が回収、の順番なので、心配であれば筆洗は2つ持っていきましょう。絵の具を溶く用の入れ物も同じタイミングで渡してください。
机や筆を拭くタオルもあるといいです。

デッサンの試験ではフィクサチーフをかける時間がありますが、自分は忘れましたと試験官に申請したところ、解答用紙の回収で一番上になるようにしていただけたので、忘れ物は試験官に言いましょう。

ティッシュは箱から出す、スマホや電子機器・ヘッドホンは建物に入った時点で禁止です。資料ももちろん禁止ですし、書籍も禁止です。娯楽皆無なので、昼休みは寝るか虚空を見つめるかの二択です。


Content


Q:モチーフはどのように渡されるのでしょうか?置いてあるのですか?

A:モチーフはありません。配布物はデッサンのみ鏡を渡されます。


Q:試験会場はどのような感じなのでしょうか(部屋はどうなっているのか、照明等。)

A:長机1つに2人が配置されます。先に来た方が机の中央を決めるので、早めに会場に行った方がいいです!
会場は白か遮光のカーテンがされており、風なども入らないようにテープで壁に留めてありますが、寒いです。
照明は基本真上に蛍光灯があり、環境は予備校などと変わらないと思います。
机の右or左前に受験票を置くのですが、紙なのでめちゃめちゃ落ちます!自分はマステで机に貼ってました。
ドアは2つ以上ありますが、片方のみ使えます。これは入退室チェックのためなので、入退室の際は(休み時間であっても)挙手し、試験官に要件を伝えた後、出入り口で受験票を見せて移動します。試験官は前後2人ずつくらいで、ときどき巡回してますが、特に意味はないので気にせず焦らず制作しましょう!



Q:実際の雰囲気はどんな感じでしょうか(予備校内での制作環境との違いなどです。)

A:デッサンなど、立ち上がって離れて見ること・壁に立てかけて見ることは禁止です。
だいたいお手洗いで挙手した際に離れて見る人がほとんどですが、足の甲に作品を載せて足を伸ばしたら結構遠くから見れます。注意されたらごめんなさい。
また、受験生同士での会話や試験中に周りを見回す行為も注意されるので気をつけてください。


After

 

本ドキュメントを閲覧している方々へのアドバイス

落ち着いて問題を読めば、何を描くべきかわかると思うので、深呼吸しましょう!
お昼ご飯は自分が一番好きな食べ物とかを買っておくといいです。
ねるねるねるねをやっている方が毎年いますが、毎年いるのでやめたほうがいいです!

グラフィックデザイン学科は入試も授業もそれなりに厳しいですが、日々得ることが多く、クラスメートもやる気のある人ばかりなので、挑戦する価値はあると思います。まだやりたいことが決まっていない人も、自分がデザインのどこが好き・得意かを見極める4年間を過ごせます。頑張ってください!

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