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若い時の苦労は買わないほうがいい

「若い時の苦労は買ってでもしろ」という箴言がある。

この箴言に励まされて、艱難を自分磨きにしていた人もいるだろう。こういう私も、高校から相当に苦労をしてきたと思っていた。その意味では、苦労は磨き粉のようなもので価値を意味していた。が、後年、色々な人々の艱難辛苦を見るにつけて、私はなんと恵まれていたのだろう、と思うことしばしばであった。冬になれば、母が手編みのセーターを作ってたし、酔って帰って来る父親は長崎カステラを買ってきて、寝ている私を起こして食べさせてくれた。高校の先生は、私を特別扱いにして、大学入学後の特別奨学金を申請してくれた。

大学を卒業して就職した。そこの上司から、休職して大学院に行ってみないか、と助言されて国立の大学院に行かせてもらった。

私を支えているのは、若い時の艱難辛苦ではない。艱難辛苦の記憶よりも、恵まれた記憶が多いのである。若い時の恵まれた記憶、それがあれば、これからどんな艱難辛苦に襲われようと、悔いはないのではないかと思う。

若い人に告ぐ。「いい思い出をつくりなさい。苦労は買うな。」

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