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エリクソンの発達課題理論に学ぶ(中年期の危機を乗り切るヒント)

先日、車の見積に行ってきた。私の担当者は副所長という肩書がついていた。歳の頃は40代と読んだ。やり手のように見える。怜悧な物言い、お客を甘やかさないぞ、という硬さ、性格の真面目さなどが滲み出ていた。時々、若手に指図する姿もチラチラ覗かせてもらった。

前置きが長くなった。そろそろ主題に正対することにしよう。

エリクソンは生成発達課題説を唱えた人である。ここでは、その発達課題説を網羅することは控えて、中年期の発達課題だけを抜き出してお話したい。中年期を40歳から退職前頃までにしておこう。かなり長い期間である。この時期は心理的課題が揺れ動く時期でもある。課長、副所長などの役職に就く人もいるだろう。主任という立場で、若手の面倒をみる人もいるかもしれない。

この時期は、経験も豊富になり、若手の欠点、未熟さも気になる時期でもある。

人によっては、若手の欠点にだけ目がいきがちである。ダメ出しをする上司に悩んでいる若手が多いことは、色々な調査でも明らかになっている。上司のパワハラで自死事例が報道されたりする。

40代、難しい時期のようだ。その難しい時期にエリクソンは提言する。「アナタの年齢的課題は、生成継承性なんですよ。つまり、知識・技能を次の世代に滑らかに伝達する年代なのです。」と。ダメ出しをするのではなく、滑らかに伝達する。なんといい言葉であろうか。これに失敗すると、退職後の人生は絶望が待っている、とエリクソンは言うのである。

課長から部長になり、運よくば取締役にまで上りつめる人もいるだろう。が、それはあくまで仮の姿かもしれないのだ。心理的には満たされないまま、会社の課題を追求した人生になっているかもしれない。一目置かれていたようなお偉い人が、退職と同時に色褪せ、絶望的な生き方をしている人が少なくない。

アナタは、若手にダメ出しをしていないか。若手の性格を見抜いて、柔軟に対応しているか。こうしたことを点検するといいだろう。エリクソンの心理発達段階説にも耳を澄ましてみるといい。

冒頭の40代副所長さん、部下に威張っておられた。上司は威張るのが仕事ではない。いや、威張ったり、ダメ出しをした時点で、既に世代伝達に失敗しているのである。時に若手に下手に出て、教えてもらう態度も必要だろう。正論で押し通すのではなく、時に失敗談を笑いながら話してみる余裕が欲しい。それが中年期の発達課題である。

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