ひとは誰しもどこかで誰かと生きている

また観たい映画が次々公開され、夏はかなり映画館に通った。
予告を見る機会が増えると気になる映画も出てくる。
この作品もそのうちのひとつだった。

感想を細かく書くわけではなく、観て感じたことを今日のうちに書き残したくなって、noteを開いた。そんな映画だった。

アイ・アムまきもと


空気は全然読めないけれど人間への愛情は多分にある男"牧本さん"が、お見送り係の最後の仕事として、ある故人の生涯を辿っていく。

変わらぬ毎日を淡々と過ごす牧本さんが、人と接して生活に少し変化が生まれたり、行動に少し変化が生まれたりする様がとても細かく絶妙で、その演出がとても良かった。

たった1人で生涯を終えたはずの人が、いろんな人の記憶に確かに残っていて、ある人は憎み、ある人は惜しみ、ある人は愛し、彼は決して孤独ではなかったことを牧本さんが教えてくれる。
そしてまた、牧本さんも決して孤独ではないということが、やさしく、ひっそりと、しめされてゆく。

コロナ禍で人との繋がりも薄くなり、私たちはふとした瞬間に孤独を感じることが増えたように思う。
でも、誰もが誰かから生まれて、そのうちどこかで誰かと日々を過ごし、良く思われたとしても悪く思われたとしても確かに記憶に残りながら、いつか必ず人生を終えていく。

ラストはずっと泣いていた。牧本さんの想いがどんなに優しくあたたかいものなのか、言葉のない映像のみのシーンによって、ゆっくりとスクリーンから溢れ出し、心に届くのがわかった。

どうしようもなく孤独だと感じる人、笑いたい人、泣きたい人。是非スクリーンの中で一生懸命生きている牧本さんに会いに行ってほしい。
この映画は長く続けて多くの人に観てもらいたい。

みんな、ひとりじゃない。
映画館を出る時、そんな優しい気持ちになれるはず。

今日もみんながんばった。
がんばった。



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