見出し画像

淀川花火と人身事故


人身事故のせいで、私は今まだ電車の中だ。
今夜は淀川花火の日。
いつにも増して、梅田は混んでいた。
そうか花火だからか…。
私は仕事帰り、日用品の買い物も終えてさぁ帰ろう。
明日は休みだ!
荷物が重くなったが、座れてラッキー。

中津から十三に電車が着くまでの僅かな間、ほんの数秒だったかも知れない、打ち上がる花火に電車内でも歓声が挙がった。
腰をかがめて乗客みんなが花火を見ていた。
この距離でも十分ええわぁなんて声も。
確かにそうかも、何せ路上には人、人、人。
花火より、人だかりに驚く声もあった。
浴衣は涼しげでも、この酷暑だときっと暑くて仕方ないだろう。
私も、僅かな間でも久しぶりに間近に花火を見られて、労を労ってくれたかのような気分になった。
私の隣に座っていたカップルが、来年は先回りして(花火に)来よなと話していた矢先に、事故が起こった。

え…ウソやろ…今花火上がってるのに…。
「えー先ほど塚口駅と武庫之荘駅の間で人身事故が起きたため、この電車は停車しております」

ウソやろ…マジか…。
この後私は、休み前夜を満喫する気満々だったのに。

自身が乗っている電車が、まんまと止まってしまうのは久しぶりだ。
なかなかショックが大きい。
お腹が空いている。家で食べようと買っていた弁当やらスナック菓子やら、ここで食べたろかと頭を過ぎる。
行儀が悪いのは承知の上で、でも車内も十三駅の構内もカオス化しており、花火から一足早めに撤収した人たちも混ざったり何やかんやで、私が弁当を食べていても案外と平気かもなんて考えたりして。
それぐらい許してくれよと言いたくなるような状況なのだ。

それにしても飛び込んだ人は、何故このタイミングだったのか。
少し元気を取り戻したからだろうか。
少し行動力が出てきたタイミングが、実は一番危険だと、つい昨日YouTubeで見たばかりだ。

何で今夜なんだ。花火でみんな浮かれているのに、この人には終わりの夜だったなんて。

車内でさえ華やいだというのに。
隣のカップルも、向かいに群れていた小学生の女の子たちも、オバハンも疲れたサラリーマン父さんも、みんないっしにはしゃいで花火を見ていたのに。

何なんだコレ。

飛び込んだその人が、気の毒でならない。

その人に腹を立てたところで、まだあと二時間ぐらいは、この電車は動かない。
振替輸送は早々に手配され、車内に居た殆どの乗客たちは移動すべく車内を出た。

黄色い制服を着た電車のバイト女子が、「この電車は動きませんので、降りてください!」と声を張った。
先ほどの小学生女子たちは、ビックリして慌てて車内を飛び出した。
他の乗客たちも、我先にと車内から出た。
しかし、駅のホームも混雑しており動けない。
女子たちよ可哀想に。またバイト女子が声を張った。
私はイラッと来て、もしまた車内から出るよう女子が声を張ったなら、わかっとるわ!うるさいな!と言い返してやるつもりだった。

とにかく騒がしい。
車内アナウンスも煩わしい。わかってるっちゅうねん。
私はイアフォンを取り出し、とりあえず音楽を聴いて騒音から逃れる事にした。

人身事故で足止めを食らった時と、台風など自然災害で電車が動かなくなった時に、自宅から何とかどうにか徒歩で移動できる圏内で仕事したいと考えさせられる。

あぁお腹空いたな…。
だから弁当を買ったのに。
寝てしまっている人も居る、気持ちはわかる。
私は弁当を食べたい。

コロナ前のように祭りや花火が復活しても、元には戻れない人たちは沢山居ると思う。
今も苦しい人や、もっと辛くなった人も沢山居るのだと思う。
私もこの人混みで、またコロナに罹患するかも知れない。マスクを着けようか考えたけれど、もう遅いな諦めよう。
不要に帰りが遅くなった、この時間を返してくれよ…。

何て世の中なんだろう。
今で1時間ちょっと経過した。
あと1時間程度、ここで辛抱すれば電車はまた動くだろうけど、後味が悪過ぎる。
前夜祭が台無しだ。
こんな理由で。

車内アナウンスで何か新情報が流れている。
赤ちゃんがギャン泣きしている。
また音楽に戻ろう。

暫くnoteに書くタイミングを逃していたけれど、この事故がまた書かせてくれた。

頑張って働いて、帰り道にこれかよ。
日本は本当に病んでいるし沈んでいるし平和なんかじゃないし。
みんな現実は直視したくないかも知れないし、自分は困ってなんか居ないという人も一定数居るだろうけれど、やっぱりポンコツ政治家は辞めさせなきゃね。
飛び込んだ人とポンコツ政治家や自民党は繋がっているよ。
浴衣で浮かれていたそこの彼女も、そのうち困窮するかもよ。

あぁ早く家に帰りたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?