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Nスペに出た話

 今日の午後はずっと政倫審を見てました。終わり頃に突然大谷さんの結婚ニュースがテロップで来て、おめでたい話ではあるけれど、なんでこのタイミングかなあと思いました。明朝のモーニングショーどうなりますかね。9時からNHKで安倍派の政倫審中継なんですが・・・。

 と言うわけで、(どんなわけで?)佐藤がNHKスペシャルに出た話です。当時は「NHK特集」という番組名でした。

 大学3年生の冬休みに、夜一人でテレビを見ていたら電話がかかってきてNHKを名乗るんですよ。普通信じないじゃないですか。なんでNHKが私んちの電話番号知ってんだよって。

 先方の言うことには、私が『サラダ記念日』の読者カードに書いて出した歌をテレビカメラの前で読め、という話でした。

 「そういえば出したわ。」と思い出して、そのまま話を聞いていると、取り敢えず日時を言ってきて、この日(忘れたけど)開いてるかときかれ、ハイと答えると、日時と撮影場所について書いたものを送りたいので郵送すると言ってきました。何しろ先方は電話番号を知っているくらいなので当然住所も知っているのです、ってか、それ私が読者カードに書いたものじゃんね(笑)。

 電話切ってからしばらく呆然として、連絡先として聞いた電話番号が本当にNHKか電話帳で(昭和だなー)確かめると、確かにそれはありました。そして、そこにすぐ電話して担当ディレクターの名前を言ったら確かに実在する人だったので、私は目の前が開けたような気持ちでその日を待ちました。読者カードに何を書いたかも覚えていなかったし、余り気にしてもいませんでした。

 指定されたロケ地は代々木公園の野外ステージでした。そこで、私の短歌が2首書かれた紙を渡されて、こっちの歌をステージに登って朗読せよと言われました。その歌は、

 「・・・・・」(てんてん)の続く電話を切らないで どうか私を好きだ
 と言って

というものでした。私はとても困りました。これを読んで全国ネットで流されることは、当時の私には公開処刑にも等しく思われました。

 「こっちじゃなくちゃ駄目ですか?」と聞くと、ディレクターは、この番組名が「「3万首のラブソング」 ―現代若者万葉集―」だからこれが選ばれたのだと言いました。

 そう言われると、確かにもう片方は恋の歌ではないので相手の方が道理が通っていました。

 それでも私は必死でした。「困るんです、どうしても困るんです。これじゃないのにしてください、御願いします!!」と頼み込むと、ディレクターは少し困った顔をしていましたが、(たぶん忙しかったんでしょう。)言うことを聞いてくれました。

 私はステージに登って、

「私は自殺をする人は嫌いだ。だから太宰より安吾の方が好きだ。」

みたいな、番組の趣旨とは全く関係の無いことををカメラに向かって喋り(叫び?)、「そのこころは?」とディレクターに合いの手を入れられて「私、もっと良く生きたい!」というまたしても訳の分からないことを言ったのでした。

 そのあと、カットが変わってこの歌を読みました。

 何か一つ長い小説書いてみたい起承転結つくだけでいい

 収録が終わってNHKのロゴ入りボールペンをもらいましたが、これはもう何処に行ったか分かりません。クイズダービーの時は名刺をもらって今でも持っているのに、このときのものは何も残っていないです。

 実家と、静岡の祖父の家ではにはVHSで録画したみたいです。でもほっといたままなので、もう劣化で見られないでしょう。そうであってほしい・・・(笑)。 

 ところで、「・・・・・」の歌は、30才過ぎてから京都新聞の懸賞に出してみたら、「塔」の永田和宏さんに評文をもらって、京都のお漬物セットが送られてきました。ひょっとしたらこっちの歌をテレビに流した方が歌人としては良かったかもしれません。

まあ、どっちも第1歌集に載せましたが。

 この話はおしまいです。


 こんなまどろこっしい文章ですが、よろしければサポートお願いします。  あたし、いつもふと気づいたことはいっぱいあるんですが、ほっとくと忘れちゃうんですよ。  で、ここではもうちょっと落ち着いて深く考えてみたことを書いて見ようとしているんです。