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市長とのREスタート

 ロマドン期にワンピースカードと出会い、仕事の合間ながらも細々とプレイを続けているTORAと申します。

 途中ポケカに転向しそうになりながらも、やはりワンピースという原作の魅力が勝ち、新弾が発売される度に心を躍らせております。

 さて、肌寒さを感じる今日この頃ですが、気が付けば季節はもう10月の末になります。

 年末になると思い出すのは、確かそうーーーー

 あのマイナー使いと出会った日の事です。

◾️新弾

 あれは第4弾となる「謀略の王国【OP-04】」が発売された2023年5月の末だった。

「新弾なに組みます?」

 仕事の傍ら、後輩にそう問いかけられ、俺は作業の手を止めた。

「新弾ねぇ……まずは緑紫ドフラかな」

「ドフラですか。やっぱりfilm軸です?」

「だな。リソースも耐久力も中々だと思うぞ」

 リーダー効果はシンプルながらもキャラを展開後にパンクギブソンなど4000カウンターイベントを構えられる為、殴り合いに対しては堅牢だろう。
 結果、バトルでキャラを守りやすくなり、3コストのfilmナミによる継続的なリソース回復、7コストのルフィの横展開を見込んだ構築をぼんやりと考えていた。

「なるほど。自分は新リーダーは特にピンと来てないので、しばらくは赤ゾロで様子みます」

「浪漫がないねぇ」

 1弾のリーダーでありながらも、依然としてアグロの筆頭に立っている赤ゾロ。

 新弾でデッキに入るカードはほぼ無いが(反行儀キックコースくらい?)、相変わらずのサーチと小型の連打に悩まされるリーダーは多い。

 小型を残せば次ターンでマキノさんやマグラでパンプされる為に放置できず、寝たら構わなければならないので擬似的なブロッカーと同義だ。

 故に相手は中々リーダーにアタックに行けず、ジリジリとハンドを削られていく展開を強いられる。

攻撃こそ最大の防御。

 他のカードでもアグロが愛される理由は、例に漏れずワンピースカードでも同じだった。

 後輩は元々STデッキの赤ルフィの使い手だったが、環境が彼をリアリストに仕立て上げ、負け筋の少ない赤ゾロを握るプレイヤーとなっていた。

「先輩こそ、ドフラとかちゃんと無難に強そうなリーダー握ろうとしてるじゃないですか」

 どの口がーーーーと、言いかけながらも

「そりゃあ勝ちたいし」

 と、面白味のない返事をしつつ手元に視線を戻し、作業を再開した。

 しかし後輩は手を止めたまま、スマホを取り出して新弾のリストを眺めていた。そして徐にポツリと「あっ」と呟いた。

「先輩、レベッカとかどうです? リーダーはアタックできませんが、青と黒なんて先輩好きそうですし」

「アタック出来ないのは無理だって」

 前の弾で登場したアイスバーグで答えは出ている。

 先に書いた通り、アグロが幅を効かせている環境でリーダー殴れないのは致命的だ。現環境の除去札では寝ているキャラ処理間に合わない。

「うーん、そうですかねぇ」

「殴ってなんぼだよ」

 当時の自分のメインデッキはドフラからカタクリになっていた。

 1ドンでライフを見ながらの7000アタックは破格で、加えて大型の10マムは一方的に相手のライフを奪い、自らは増やすといったバランスブレイカーそのものと言えるだろう。

 高打点を押し付け続けるスタイルは、アグロとはまた違った圧があるのだが、その弱点もまたアグロだったのだ。

 当時は赤ゾロと並んで赤緑ローも流行っており、ゾロとは違ったキャラ展開とアタック回数の多さから、カタクリ側の大型の着地が間に合わない事も多々。結果としてカタクリの立ち位置は一強というものでも無かった。

 トリガーゲーと揶揄される事も多かったが、ゾロやローに対しては繊細なプレイが要求される。

 世間的にはアグロの評価が高く、大会の結果もそれを顕著に示しており、故に小型キャラにアタックで触れないリーダーを選ぶなんてあり得なかった。

「さ、帰るか」

 いつの間にか就業の時刻になり、俺は新弾のリーダーに想いを馳せながら帰路についた。

◾️盲目の虎と町工場の市長

 新弾の発売から2ヶ月が経とうとしていた。

 この頃になるとスタンダードバトルに参加する機会が増えた。仕事の忙しさもあり、身内で対戦では物足りなく感じていたからだ。なにより新鮮さを求めていたのかもしれない。

 ドフラも中々に面白いリーダーだったが、結局大会ではカタクリを握っていた。理由は色々あるが、やはり手に馴染むという観点ではカタクリ一択だった。

 この頃になるとTwitter(現X)でワンピース関連を検索する事も多くなった。自分から呟きはしないが、どんなカードが活躍しているかの情報は欲しかった。

 そんな中、とある人のツイートが目に付いた。

「マイナーリーダーが面白い」

 マイナーリーダーとは、環境のティアTOPから大きく外れたリーダーカード達である。

 当然、使用率の低さは“弱い”からであり、好き好んで使う理由は様々だが、概ねそのキャラが好きだからなど、競技性とは掛け離れたものだった。

 当時はカタクリはティアTOPで、緑紫ドフラも上位を維持しており、あえてティア下位を使うなど頭の片隅にも無かったが、思い返してみれば、他のカードゲームを辞めた理由もまた、環境に飽きたからだった。

 紙の遊戯王を辞めた後、アプリの遊戯王(マスターデュエル)で配信活動の真似事をしていた時も縛りを設けたデュエルに勤しんでいたのを思い出した。

 アニメでキャラが使用したカードのみ使用可能、効果なしのみ採用可能など、限りなくカジュアルな対戦を好んでいた。オンライン対戦だが意外にも参加してくれる人も多く、ワンピースカードに絞るまでは楽しい配信活動だった。

 ではワンピースカードに置き換えたらどうだろう?

 環境での鬩ぎ合いは手に汗握るものだ。それも勿論面白い。しかし、人があまり握らないリーダーを使えば、遊戯王で得られたあの感覚を思い出せるんじゃあないだろうか?

 自分は思い立ったら直ぐに行動する人間だ。

 気付いた時には、ショップに立ち寄り、新しいながらも格安の値札を貼られたリーダーを手にしていた。

 

【次回】真のマイナー使いとの出会い

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