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ヒカステの思い出・後編

ヒカステ&ヒカ碁最高シャウトの日記の前編、中編の続き。

後半はヒカステも語りつつ、原作語りやヒカ碁の思い出話もガッツリめに交えてシャウトしています。
ヒカステ、ヒカ碁原作話に飢えてる人、興味のある人は読んでみてね!

前編
中編

※自分が読み直したいベースで書いているので、全体的に自分の好みのクセが強く出ています。




生で浴びる演出の威力

ヒカ碁で歌とダンスってどうなるんだ……⁉とドキドキしていたのですが、歌とダンスは漫画でいう大ゴマの役割を果たしている感じがして印象的でドラマティックに仕上がっていて良かったと思います。

言葉ではなく五感に訴えかけてくる手段なので、諸々がギュッとタイパ良くまとまっていたと思います。

歌とダンスという、視覚と聴覚と感情面にダイレクト呼びかける手法だからこそ2時間半という短い時間で囲碁部編が完結したんだと思います。

かなり駆け足とはいえ、それでもヒカルとアキラの話を同時並行で進行しようと思うとボリュームが半端ないですからね……。

初観劇日は、葉瀬中 vs 岩名中のダンスシーンで初めて物語に没入していったのを覚えています。
言葉で脳に訴えかけるのではなく五感で肌で訴えかけられると、既にストーリーを知っている筈なのに一気に引き込まれました。

それまではSS席に近いS席から同じ次元に推しがいる状況に軽いパニックでしたが、クライマックスの三面打ちで心を掻きむしりたくなるという……。

原作1巻から5巻なんて何度も読んでいますし、アニメも何度もリピートしてきました。
それでも葉瀬中 vs 岩名中で絆を深めていく葉瀬中囲碁部のどうにもならないそれぞれの思春期の思いが、ダイレクトに肌を通して響いてきて心がグチャグチャになりました。

五感で呼びかけてくるの、強すぎる。

ヒカ碁の原作ストーリーが好きな人ほど響く構成になっていると思わざる得ません。


ヒカル&佐為コンビの演出フェチ

演出がとてもヒカルと佐為を中心に演出を組まれているなと感じました。
この二人に特化してくる辺り、ヒカ碁ファンのハートを絶対にキャッチしてやるという執念を感じる……。

ヒカルと佐為は「ヒカ碁を真面目に読んでたら執着せざる得ない」二人なんですよね。
ヒカルとアキラは真面目に読んでたら応援したくなりますが、未来のある二人と未来が無い二人とでは比べられる次元が全く違います。

子供の初見の頃に心がバキバキにぶち壊されて、未だに立ち直れてるかも怪しいのはヒカルと佐為なので……。
なんでや、ド○ゴンボー○は復活するやろ……と、死の概念を覚え始めた子供に初めて絶望が何たるかを教えてくるのがヒカ碁です。

話は戻し、個人的にヒカルと佐為で拘りを感じたなと思ったのは出会いのシーンでした。
劇中で唯一和風なBGMが使われているんですよね。

他の楽曲がほぼ和風に振ってないので、舞台を見返してると和風BGMが使われてるヒカルと佐為の出会いのシーンをより印象的に演出させてくれます。

平安生まれで江戸の一部まで知る人物と現代の子供の出会いを描写するBGMをゴリゴリの和風に全振りせず、かといって劇中最大の和風度MAXの塩梅の匙加減は二人の出会いの演出に神経を使っただろうなという印象を受けました。

平安人と現代っ子の出会いだから、絶妙な塩梅だったかなとヒカルと佐為好きの自分は思いました。

やろうと思えばバリバリのギンギンに和風に全振りすることも出来たと思うんですが、敢えて和風テイストを抑えて「主人公は現代っ子」という印象を付けたかったのだと私は解釈できて、よりヒカ碁の世界観が表現されていたのではないかと思います。

歌謡曲やJpopではない和風BGM、でもどことなく他の民族要素も入ったようなエキゾチックさ漂う不思議で神々しさすら漂う感じ。

完全純和風だとヒカルから見たら比較的馴染みが良すぎて「なんだこいつは!?」という異形感が薄れてしまいますし、かといってホラーの異形さではないですしね。

平安って時代にも寄りますけど、現代の私たちから見たら古代中国文化の色が濃かったりします。
囲碁は古代中国から伝来した文化だそうですし、そこを加味されてるかはわかりませんが多少はエキゾチックさが混じってる方が現代人である私には自然に聴こえました。

まぁ日本文化自体ごちゃ混ぜなのでわかりませんが、よりごちゃ混ぜにしてくれたという意味で今ではあのBGMしか考えられません。

和風楽曲を敢えて安売りしなかったという印象を受けたので、ヒカステがヒカルがプロになったところまで続いた時には、ぜひヒカルの新初段シリーズやsai vs koyo編辺りで思いっきり和風楽曲の歌をぶち込んで盛り上げてほしいですね……!

佐為vs行洋先生戦ほど和風楽曲が映える場面もありませんよ。観たすぎる。
最強vs最強なんて少年漫画らしさ極まって最高にテンション爆上げ場面ですからね。

和風度を盛りに盛ってゴリゴリに琴とか尺八とかギャンギャン鳴らしてほしいです。
想像するだけでブチ上がるーッ!ウーッカックイーッ!!(※妄想)

閑話休題。
感じ方は人それぞれでしょうが、少なくとも「ヒカルと佐為、二人の出会いをより強く印象づけたい」と気合を入れた演出なことには間違いありません。

それは意外にも小道具が布一枚だった演出にもいえると思います。
ゴテゴテに飾らなくても壮厳さや神聖さって、最小限で描写される想像力で無限大に膨らむんですよね。

それはヒカ碁の原作が証明しています。
ヒカ碁を読み込んでリスペクトしていないと出てこない手法だと思います。

原作ヒカ碁のファンなら、観客は想像力も豊かだろうと信じてこの演出に踏み切った慧眼に私は感謝しかありません。


ヒカ碁とヒカステ、過去と現在

円盤が出るまであと半年という現実を思い出すと砂になりそうですが、その間に院生編が発表されることを切に願っています。
ヒカステ本当に素晴らしかったですからね……。

こんなに真摯に取り組んでもらえるメディア化に恵まれてて良いのかなって思うくらい個人的な一ファンとして幸せです。何度でも言います。

家族らしき団体で小さなお子さんも観に来てたという情報も聞いたので、やはりヒカ碁って自分に子供や孫がいたら触れさせてあげたい作品なんですよね。

子供の時には全ての良さがわからなくても、子供なりの感受性で「ヒカ碁って楽しい、面白い」と感じられると思いたい。私がそうでした。

そして何か熱中できるものが見つかった時に、心の支えになる言葉がヒカ碁にはあると思います。

子供の頃はヒカルとアキラを応援対象として見ていたので、ヒカルが上に駆け上がっていく為のヒカルと佐為の絆、ヒカルとアキラがどんどんライバルとして距離を縮めていく過程に見ていて心躍りました。

一部を除いて明確な敵みたいなものがあまり存在しない物語なので、ワクワクしながら出てくるキャラクターみんな好きになれるという作品でしたね。

幼稚園児くらいだと、原作を読むのはかなり難易度が高いのでそれこそ文字情報が無い表情と声と音楽の世界であるアニメや舞台の出番だと思います。
私は文字を読むのに苦労した時代はヒカ碁のアニメをヘビーリピートしていました。

他のジャンプ作品でも2.5舞台を子供の頃から観てたという話は聞きますし、私も他の作品では園児時代に2.5舞台を観劇していました。3〜4歳でもちゃんと観れるし記憶に残ってるものなんですよね。

今も子供の頃の純粋な気持ちを持っていることには変わりませんが、大人になった今は主観的な感情移入や客観的に眺めてみるという色んな楽しみ方ができてまた楽しいです。

そうやって思春期前、思春期中、思春期後、成人初期、成人して暫く経ってから、と読む時期で全部感想がアップデートされていくのがヒカ碁の面白さだと思います。
特に北斗杯編はモロその影響が出ると思いますね。


原作最後までやってほしいという願い

ヒカステは最高だったので原作最後の北斗杯編まで上演してほしいです。
糸川さんが北斗杯のヒカルを演じたら最高の舞台になるに違いありません。
高永夏とバチバチに大熱戦バトルするあの辺りとか喉から手が出るほど見たい……!

ヒカ碁はすごい真面目な話ですから、適度にファンタジーを混ぜつつも現実的な話を展開するのがヒカ碁の魅力だと思っています。

北斗杯編だと社の家庭事情とか、お父さんから心配されることとかすごくリアルですよね。
ヒカルやアキラ、恐らく和谷もぶち当たらない壁ですが、真柴や御器所だって存在するのだからトップがいれば多くはその下の者たち。
そういう現実の話が展開されます。

社は強いですが、我が子の進路について調べその世界のことを知り心配するのは親として普通の心理な気がします。
厳しいけど良いお父さんだと思います。

ヒカステではそういう詳細な情報はカットされるでしょうが、それでもニュアンスは残してくれるでしょう。
それがどんな風に残してくれるのか知りたいです。

筒井さんの「ヨセと目算はきっちり」というキャラクター性もダンスでその力強さを見せてくれましたしね。かっこよかったー!

他にもヒカ碁が描く真面目さは、プロの世界は競争社会であり、そのシビアな価値観と向き合っていかなければ生き残ってはいけないというリアルさが描写にもあると思います。

敗北を知り己の至らなさを噛み締める本人たちはすごく苦しいんでしょうけど、大人から見るとすごく瑞々しくて輝いて見えるんですよね。
ここで悔しさを感じられるならまだまだこれからだよって。
それは作中ラストの幕の閉じ方にも言えるでしょう。

そんな群像劇からの幕の閉じ方の良さがわかるのって、2歳から碁を続けてるアキラだからこそ出てくる「これで終わりじゃない、終わりなどない」の言葉の意味が理解できる年齢にならないと面白くないだろうなぁ……。

こうやって年齢で感じ方が変わるのがまためちゃくちゃにエモいのですが……。
あーヒカルの碁ってめっちゃおもしろいー……。

過去未来を含め歴史上に数いる内の一人である天才に振り回され、時に喜び時に傷つき時に切磋琢磨し碁を通して何かを育む人々の物語……。

だから「ヒカルの碁」だというタイトルだと理解するのは、ある程度は色んな人と関わり色んな感情を知った大人になってからだと思います。
主人公であるヒカルもまた、物語の中の一人のキャラクターでしかない。

そんな話なんですよね、原作のヒカ碁って。

そこを敢えて「進藤ヒカルが主人公です!」と進藤ヒカルにフォーカスをゴリッゴリに絞ったのがヒカステなので、初見にもわかりやすいし原作ファンも新しい視点が得られる。

ヒカル単体をえこひいきしてるというより、単純にヒカルを中心軸に話がわかりやすく再構成されている。

休憩を抜いたら2時間半ほどの話で、最も大事な部分だけピックアップしてドラマティックな造りの構成になっているから話がわかりやすい。

ヒカルに関わりが深いキャラほどそれは顕著なので佐為やアキラ、今回なら三谷が「どうしてそんな話になったのか」が具体的にわかりやすくなっている。
次の院生編なら和谷と伊角さんでしょう。

そんなヒカステが北斗杯をやったらどうなるんだろう?

想像するしかないヒカルの内面をヒカステだったらどう描写するのか。
とても気になります。

序の一手である今回はヒカルに向上心が生まれて飛び立っていく過程を丁寧に描写していったのでその先でのヒカルがどう描かれていくのか、原作ファンとしてもヒカル推しとしても最後までぜひ見届けてみたいです。

ヒカステ、ぜひ原作最後の北斗杯編完結まで続いてほしいです。

もちろん、まずは院生編ですけどね!!
円盤と劇中ブロマイドを買ったらできることは、あとはもう神頼みだけです。


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