世の中にうまい話はない？

テレビでニュースを観ていたら、また巨額の詐欺事件があったという報道がされていた。いつの時代も、悪事をはたらく人はいるようである。


このような時、番組のコメンテーターとやらは、こぞってこのようなことを言う。


「世の中にうまい話はない」


しかし、詐欺事件が一つあったということから導き出せる結論として、これは明らかに間違っている。

「世の中には嘘もあるよ」ということは言える。

だがなぜ、世の中にうまい話はないという所にまで飛躍してしまうのか？


これはおそらく、そういうことが無難だと思っているからなのだろう。


「あなたの人生は間違いではないですよ」というニュアンスを含ませ、万人に快く受け取ってもらえる。そういう下心があるのだろう。


だが、これが嘘であるということには、皆、腹の中では気付いている。
世の中にうまい話はナンボでもあるのだ。


最高の家に住み、一流のシェフが作った高級料理だけを食べ、
一口飲んだだけで体が張り裂けるような最高のワインを飲み、
毎日自由に暮らしている。
そんな人は、世の中にいくらでもいるのだ。


「真の最高を求めず、リスクも全く冒さない。
そんなあなたの人生は間違っていないですよ」

世の中にうまい話はないと言う人は、あなたにこう言っているのだ。


そう言って、真実に目を向けさせず、最低限の自由だけ与え、そしてコキ使ってやろう。そういう魂胆なのである。