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文章デッサン(1)

ここに1枚の写真がある。

空は暗く、星1つ見えない。そんな空とは対称的に、建ち並ぶビルの広告看板や街灯の光が爛々と輝いている。

人通りは少なく、両手あれば数えれる程度だ。みんな、ダウンジャケットやニット帽など、冬の装いをしている。誰ひとりとしてマスクはつけていない。新型コロナウイルスが蔓延する前なのだろう。

歩道に面した店には、提灯がぶら下がっていたり、テントのついた屋外席があったり、飲食店と思われる店が多い。飲食店からだろうか、真っ暗な空に向かって、煙が上っている。お腹が空いている時に嗅ぐと、思わず唾を飲んでしまうようなこんがりした匂いが、画面越しにも伝わってくる。

真っ暗な空、建ち並ぶビル、爛々と輝く光、空に向かって上る煙。その景色を切り裂くように、1本の大きな川が写真の中央にある。研ぎたての包丁で野菜を切った時みたいに、真っ二つに画面を切り裂いている。周りのビルや街灯の光の全てを吸い込み、反射している。そこに調和はなく、パレットに出した色とりどりの絵の具を、全てごちゃまぜにしたような色だ。

10m程ある川幅の中に1台の遊覧船が走っている。紫色の船に、20人ほどの客が座り、川を下っている。乗船している客の先頭には、ガイドの人らしき人が立っている。その遊覧船とは別に、川岸には2台の遊覧船らし船も停まっていることから、観光客がよく来る場所なのだろうということが分かる。写真の奥の方には、川によって切り裂かれた島と島を渡るための歩道橋があり、周りの明るさでぼんやりとしか見えないが人影もある。

写真の奥から手前になるに連れ、光も、人の密度も少なくなっている。ちょうどグラデーションのように。遊覧船にのる乗客たちの目線やうっすらと見える表情は、どこか疲れているように感じる。


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文章デッサン。訓練のために書いてみたが、難しい。


ちなみにこれは、2020年1月19日。

大阪の道頓堀で、串揚げ屋からの、お好み焼き屋からの、ラーメン屋をハシゴして、パンパンなお腹を擦りながら撮影した写真です。




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