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今更ながらですが……

誰かが困っていたら、すぐに助けの手を差し伸べたい。

自分が困っている時、そうしてもらえると嬉しいから。


会社や上司に腹が立っても、愚痴はなるべく言わないようにしたい。

自分の愚痴は言われたくないし、聞かされる方も楽しくないから。


ミスをした後輩や取引先がいても、怒らずに話し合いたい。

自分がミスした時に、怒られると、自己嫌悪に陥ってしまうから。


「自分にされて嫌なことは、人にするな」

耳にタコどころか、太平洋ができるくらい、両親に言われ続けた。

その他の教えはよく覚えていないし、守れている自信もない。ただ、この教えだけは、守り続けている。(と思っている)


しかし今、僕の頭を悩ませている言葉がある。

「良い人になるな! もっと怒れ!」

僕の上司の言葉だ。最近、毎日のように言われている。僕の上司は仕事の鬼だ。どれだけ忙しかろうと、1ミリも手は抜かない。自分の仕事はもちろんだが、僕を含めた部下の仕事にも一切の妥協を許さない。少しでも手を抜けば、光の速さでそれを見抜き、徹底的に指導する。そんな仕事への向き合い方が評価されたからなのか、高卒では異例の速さで昇進していて、会社からの信頼も、広辞苑並みに厚い。

この上司とは、去年の夏から同じ職場で働いている。それまでは、平気で手を抜いていたし、その仕事に前例があれば、全て「前へならえ」で同じやり方を踏襲してきた。ただ、今の上司に代わってからというものの、「前へならえ」は厳禁だ。「本当にそれが完璧な形なのか」、「もっと良いやり方はないのか」を考え、納得してもらえるまで、何十回でも説明と修正を繰り返さなければならない。

正直、いい迷惑だと思っていた。今までの同じやり方でも、何ら問題なく仕事は進む。確かに、もっと良いやり方はあるかもしれないけど、そこに時間をかけても無駄ではないか。そんな事を考えながら、言われたとおりに仕事を進めていると、僕の気持ちを見透かしたかのように、「今までと同じでも仕事は進む。けど、後からその仕事を見返した時に、妥協の爪痕が残っていたら必ず後悔する。もっと自分の仕事に誇りを持ちなさい」と言った。

なるほど、確かにその通りだ。ただ、ひとつ疑問が残っていた。

もともと、仕事が出来るから(才能があるから)、仕事への意識が高くて、妥協せずに、高いレベルで仕事ができるんではないか。要するに、生まれ持った素質がそうさせてるんじゃないか、ということだ。

僕は、この1年考え続けた。どうすればこの人みたいになれるのか。

決して憧れていたわけではないが、自分に足りない部分を持っていた。しかも、かなり大事な部分。

この人を観察すれば成長できるかもしれないと思った。


この1年半、そんな事ばかり考えながら仕事をしていた。

自分が成長できたかは分からない(してると信じたい)が、気づいたことがある。

この人は、もともと仕事が出来たわけじゃない。

仕事への意識を常に高く持ち、決して妥協しなかったから、仕事ができるようになったんだ、ということだ。僕の考えとは逆だった。

まず、日頃からの勉強がすごい。分からないことがあれば、書物を手に取り調べる。それでも分からなければ、先輩後輩関係なく質問する。分からないことを、絶対に分からないままにしない。

そして、その膨大な勉強で身につけた知識を、周りに伝えようとする熱意がすごい。知識を自分だけのものにはせず、必ず共有する。

それ以外も、机の上の整理整頓や書類のファイリング、スケジューリング、タスク管理、どれをとっても今の自分は足元にも及ばないレベルだ。

そりゃ仕事もできるし、昇進もするわけだ、と納得した。


僕は人を怒ることが出来ない。と書いたが、それは仕事への熱意の足りなさが原因なのかもしれない。

今まで、なるべく事を荒立てずに、少々のミスなら目をつぶって、丸く収めようとする癖があった。でも、そうじゃなく、自分の仕事に誇りと熱意を持てば、丸く収めるなんてやり方はしないはずだ、と言いたいのではないか。

上司は多分、無闇に「怒れ!」と言ってるわけではない。仕事への熱意が、いまいち感じられない僕に「もっと熱意を持て!」と言っているのだ。

それなら、そう言ってくれたらいいのに……。


もし、本当に、ただ単純に、「怒れ!」と言っているのであれば、僕はそれに従うつもりはない。怒らずに伝える方法は必ずあると思っている。


いつか、直接聞いて、答え合わせをしてみよう。

まずは、自分の解釈で前進あるのみだ!











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