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2019

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2018年より始動した調香室Śūnyatā‗スニャータ‗は、香りと感覚を学び、試し、その謎に真摯に取り組むための実験現場であると同時に、自然から抽出された香りを実際に体験することで嗅覚を通じご自身の感覚に向き合って頂ける場を提供する試みです.

植物療法の一部に分類されるアロマテラピーとの決定的な違いは、気分を爽快にする、落ち込んだ気分を快活にする、などの精油ごとのざっくりとした効能を一切謳いません.むしろ、同じ天然香料が、個人によって異なる捉えられ方をすること、或いは、同じ人にとっても時と場合、感覚の状態によって異なる捉えられ方をする点に注目し、他の方法では知ることが難しい個人の感覚の状態、感覚と脳の連携の様子に向き合います.

スニャータでは調香師 東京山人による個人調香、場の調香を行っています.加えて、私、東京山人、と同じように香りと感覚にご興味のある方には、ご自身で香りを通じてご自身の感覚と向き合う機会を提供していきたいと考ええています.

香りの効能は謳いません.そもそも香り自体には何かの効能があるわけではない気がしています.嗅覚を通じて感覚を整えていくことで、結果的に、ストレスマネージメントに繋がるようです.ここでいう感覚とは、端的に言えば、ご自身が「外界からの情報をどう感じているか」「好きなのか、嫌いなのか」「快なのか、不快なのか」ということで、それをそのまま素直に見つめる作業が、香りの体験であり、個人調香です.

社会的生活、特に都市部での生活を営むためには、高い社会性が要求されるため、脳の高次処理機能は個人本来の感覚を社会に適合するよう変換したり、無いものにしたり、ありもしない感覚を捏造することがあります.それ自体は自然の機能なので、どうということでもありません.しかし、行き過ぎる「我慢」が続くとストレスとなります.感覚の歪みが他のストレスと違って厄介なのは日々の積み重ねの中で徐々に進行し、強化されるため(癖が付くことに近い)、自身が自分の感覚を犠牲にしているという自覚が持てないこと、気付きと対処が難しいことにあります.

スニャータの香りがすることは、本来の正しい感覚に導く、というより一旦歪んだとしてもその感覚を再度ゼロにする仕組みを構築することなのではないか、と考えています.これがストレスマネージメントに有効である点で興味をもっていますが、まだその点にターゲットを絞ったプロトコルができているわけではないため、手探りではあります.

ご興味のあるかたは、一緒に香りを愉しみ、香りの不思議に触れてみませんか.

sunyataperfume@hotmail.com

調香師 東京山人

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