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夕陽が太平洋に沈むとき

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2023年7月発投稿 最初の連載小説
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#バンコック

夕陽が太平洋に沈む時 【第13話】 最終話

夕陽が太平洋に沈む時 【第1話】 「ごめん、僕は不甲斐ない夫だったな。君を新婚初夜に外国で一人にさせてしまってどんなに不安だったか」   剛史は麻衣の手を引いてベッドに座らせる。   もし、剛史がここで私を抱いてきたら、この朝陽の中で、コニーに痛いほど鷲づかみにされた胸が照らされたならば、青あざが出来るほど吸われた首筋を見られたのならば。  麻衣は焦燥の中で考えを纏めようとする。  剛史は言う。 「タクシーを30分後に予約してある。申し訳ないが、君のものを急いでパ

夕陽が太平洋に沈む時 【第12話】

夕陽が太平洋に沈む時 【第1話】 「そうだな、そんなことを君に訊ねたこともあるな」  コニーの次の言葉は難解なものであった。 「Going for wool and coming home shorn.(羊毛を刈りに行ったが逆に毛を剃られて帰って来た)、という表現を知っているかい?」  麻衣は即座に首を振ったが、ふと、ある表現に思い当たる。 「日本語の言い回しだと、ミイラ取りがミイラになる、という感じかしら?」  コニーは哄笑する。 「ミイラ取りか、それは良いな

夕陽が太平洋に沈む時  【第4話】

 夕陽が太平洋に沈む時 【第1話】 「結婚したからって何も複雑に考えることはないよ。君は、今までの仕事やライフスタイルを続けたければ続ければいい。僕よりも早く起きて飯を炊いて待っていろなんて言わないよ」 「わかってるわ。そんな人だったら結婚しなかった」 「その代わり僕が浮気をしてもガタガタ言うなよ、とも言わないよ。浮気したくなるほど僕達の気持ちが離れてしまったら別れよう」 「ハネムーンなのにもう別れ話?」  麻衣は軽く苦笑する。  剛史が本気でそう言っているのか否