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令和6年度の就労継続支援B報酬体系見直し論点

 令和5年10月11日に開催された障害福祉サービス等報酬改定検討チームの会合から、就労継続支援B(以下、就労B)の【論点1】「平均工賃の水準に応じた報酬体系の見直しについて」の内、”平均工賃月額”(以下、工賃評価型)と”就労や労働活動等への参加”(以下、参加評価型)による報酬体系の議論について情報提供をしてみようと思います。なお、工賃評価型、参加評価型とは一般的な呼び方でなく、ここで説明しやすいように僕が勝手に名付けたことをご承知おきください💦

 論点1については、添付写真の通りです。本日、情報提供をするのはマーカーの部分になります。

(図1)見直し論点1

 就労Bの報酬体系4種類に分かれており、工賃評価型で2種類(就労継続支援B型サービス費ⅠとⅡ)、参加評価型で2種類(就労継続支援B型サービス費ⅢとⅣ)あります。
 工賃評価型は、利用者に支払う平均月額工賃が高ければ高いほど、報酬(事業所に支払われる金額=就労継続支援B型サービス費)が高く設定されます。逆に参加評価型では、利用者への月額平均工賃に関わらず一律で報酬が決まっています。
 また、報酬のⅠとⅢは、利用者:職員の人員比率が7.5:1、報酬のⅡとⅣはそれ以外となっており、ⅠとⅢで人員配置が手厚く、同じ種類のもう一方の報酬よりも高く設定されています。

 それでは図1のマーカー部分の見直し論点について説明します。
 そもそも国は、障がい者の方の工賃を上げていかねばならぬ、という基本的な考えにより、平均月額工賃の高い事業所に高い報酬を設定しています。しかし、利用者さんの特性から高い平均月額工賃を目指すことが難しい事業所もあり、また、地域とのかかわりが求められていることもあって、令和3年度から新しい報酬体系として「参加評価型」が新設されました。したがって本来、『工賃評価型事業所の収益性 > 参加評価型事業所の収益性』となるべきでしょう。工賃を高く支払っている事業所ほど評価すべきだかだです。しかしこの関係がなりたっていないことが分かりました。これが図2です。

(図2)報酬別収支差率

 ちょっと見ずらいのですが、サンプル数が全体で464に対し、就労継続支援サービス費Ⅱが31、Ⅲが49、Ⅳが5と非常に少ないため、明らかに有効なデータとは言い切れませんが、ⅡとⅢでの比較はある程度可能だと思います(Ⅳはさすがに比較対象にならないと個人的には思います)。「職員配置は薄目だけど工賃が高い」VS「職員配置は厚いけど工賃は一律」の軍配は後者!
 これの結果をもって「参加評価型の報酬を見直そうじゃないか!」という議論が持ち上がっているわけです…Ⅱの報酬を上げるのではなく、Ⅲの報酬を下げるという意味に見て取れます。

 なかなか難しいですね。いくら人員が手薄とはいえ、平均工賃月額がどんどん上がっているなかで(図3)、一律の工賃しか支払わない事業所より工賃を上げようと努力している事業所の方が収益性が低いというのは確かに疑問視されますよね。でも、参加評価型には様々なニーズの利用者がいて、仕事が定着しにくい人も多いと思うから、そういう方々が地域と連携して、すなわち社会参加が出来るように配慮する事業所の収益性が低くて良いのか?とも。

(図3)平均工賃月額の推移

さて、今日はこの辺で終わります。障害福祉サービス等報酬改定検討チームの会合では、他にも興味深い内容がたくさんありました。関心のある方は資料を読んでみてください。それではまた😊

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