写真

「恋人ができたから女の子の写真全部消した!」と言う友人を見て、なんて素敵な彼氏なんだろうと思った。まだ高校生だから、元カノ、カレが既にいる人の数は多くはないけれど、きっと歳を重ねるにつれ、そう言った思い出の異性の数は増えてくる。

私はそんな時、写真を消せるだろうか、と思った。まあ、まず、今大切に思っている人のいない未来は考えたくないのだけれど。でも、これを考えることで今大切な人をもっと大切にしようと思える気がするから。

どんな未来であれ、私は必ず、確実に、たくさんの大切な人たちで構成されている。私が私について語る時、その人たちの存在を飲み込んで私の話をすることに少し抵抗がある。だから、こぼれぬようにあなたのことを私は覚えていたい、伝えたい、繋いでいたい。けれど、そもそも、私たちはいつ、どんな、影響を誰から受けたかなんて、ほとんど認識できないのだ。だからこそ、私は、大切だと認識できた瞬間は、貴重だし、絶対に忘れてはいけないと思っている。

そうした時、写真はそれを思い出せる手がかりの一つであり、日記のような、それよりも強い私に刻みつける何か、タトゥーのような存在でもあるのかもしれない。

私が人を愛する時、その愛した人も数え切れないほど多くのタトゥーを抱えているのだろう。そして私はきっと、いや絶対に、過去と出会いと自分を大切にしている人を好きになる。だから、昔の恋人の話であっても、大切にして欲しいと心から思う。私の、今、好きになったあなたは、その人と出会った過去があって生まれたあなたでしょう。写真消さない方がおかしい、みたいな文化、やめないか?大切だと思っているものは、なにであれ大切にしてください。大事な人との大事な思い出なら、なおさら。忘れたい過去なら忘れちゃおって言うけどね!

もし、未来の恋人に、大切な異性の写真消してと言われたら、私は紙に思い出だけでも忘れぬように書き残して、消すのかな。消せるのかな。消したくないな。

大切な異性っていうだけで、未来の私にとっては恋愛対象でもなんでもなく、ただの輝いた記憶、今を作る思い出であるだろうに。

けれど、そうか、そういえば私も以前好きだった人の写真を全て消したことを思い出した。それは、あまり、良い思い出ではなくなって、見る度に不快になるから消したのであって、やっぱり消したくない写真というのは、思い出というのは、本当に本当に美しいものなんだ。

今大切な人との写真をこの先ずっと大切にしていたい。消したくないと思い続けていたい。


だけど、未来の話をするのはやっぱり怖いね。高校生なのだから、今だけ見ていよう。

少年少女、青春爆走!

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