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最悪な冬の到来

藝祭で稼いだお金を入れていたビニール袋から出かける前に一万円札を抜いたら、残り2万円と少しの小銭しか残ってないことに気付いて朝から落ち込んだ。
たしか15万くらいあったはずなのに、別に可愛い服とかちょっといいヘッドホンとか、欲しいものを買ったわけじゃないのになくなりました。まあこうやって友達とご飯食べにいく日にちょこちょこ一万円札抜いて出かけてるんだから、そりゃなくなるだろという感じだけど。

正直可愛い服も、ちょっといいヘッドホンも、人のを見ると羨ましいが、なくても生きていける。
でも、そうやってどんどんと自分の好きなものを買わずにいたら、うっすら嫌いなものばかりに囲まれていた。
3年前くらいに買ったユニクロのジーンズのウエストはキツくて、でも他に着る物もないから、結局閉まらないジッパーを毛玉まみれのニットで隠して出かけた。

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安さだけで選ばれた実家のキルティングカーペット

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週に何回か、オンラインでデッサンを教えてる。
唯一の定期収入。
たまに絵の展示をするけど、全然絵は売れないし、正直デッサンを教えてるほうが金になる。
学部1、2年生の時くらいは、展示に人が来てくれて褒めてもらえて、それだけですごく嬉しかったのに、今はそんなんじゃ全然満足できない。それどころか、そりゃ褒めるしかないよなって冷めちゃってるし、うっすらギャラリーのレンタル代すら稼げないこととかに苛立ってもいる。
こうやって卑屈になればなるほど、なんかすごく情けないし、究極的には私の絵がまだまだ足りてないってことなんだけど、なんか、、ここまでだめだとは思えないというか、もっとろくでもない絵描いて売れてるやついっぱいおるやん、なんでそいつらが売れて、私はこんなこと、に?って。だめ、かっこ悪すぎ。
かっこ悪すぎの最たるものが、創作の労力をバイトに充てれば新しいジーンズも買えるのになとか汚い思考。最悪。

でも、そうなっちゃうよなとも思ってて。正直今みたいな状態が続くと、私が描き続ける必要はないなと思う。
もちろん私にとっては意味を成すだろうけど、世界にとって意味がなさすぎる。

これは一般的な話だけど、
自分だけの言語でいくら凄いこと言ってても通じなければ意味ないのと同じで、みんながわかる言語で話して、届かないと意味ない。
一部の理解者に向けて何かやったって、世界は変えられない。もちろんそういう密やかな営みに正しさや美しさがあるのは承知した上で、それじゃ足りない。
私は今年26歳で、バカほど浪人したのにもう大学院も終わりが見えてる。もう毎日めちゃくちゃしんどい。

みんながわかる言語って軽蔑するほどダサく聞こえるけど、それならダサいことも受容していく必要があるのかもしれない。むしろその程度で目的が達成されるなら、全然いい。
潔癖的に生きててもしゃあない。
結果がすべてだし、いつか死ぬから。

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あ〜、大谷翔平は私のたった三つ上で何百億も稼いでるのに、私は、私は、、

肩を並べたいな(大谷の肩幅はきっと私3人分)

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こんなことをつらつらと夜中に書いてるけど、本来私はめちゃくちゃ楽観的な人間で、自分の信じる絵を描いてたら、お金も評価もついてくるだろうとか思っていた。世の中を過信していたのか、自分を過大評価していたのか。まあ両方なんだろう。

現実は、めちゃくちゃいい絵が賞をとっていて士気が上がることもあれば、ろくでもない奴の個展で作品が完売しててがっかりする。
SNSを見てるとそういうことの連続で疲れる。

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ゴミ収集車の荷台に乗って、ゴミを回収してたのは明らかに私より若い男の子だった。早く回収しないと収集車に置いていかれるんだろう。めちゃくちゃ走って取りに行ったのは袋にもいれず放置されていたレモンサワーの缶一本だった。
彼の後ろで強く光る太陽からは想像つかない、冷たい風が私たちの頬を撫でたけど、彼がそれに気付いたかはわからない。イヤホンから流れていたYUKIの歌声は明るすぎて、鮮明すぎて、少し痛かった。

拍手の音で泣いてる
独りぼっちで屋根の上
昔を思い出して
幸せだって言って欲しい

YUKI『愛に生きて』

どこまで行っても私は彼に敵わないと思った。

自分の恋愛の曲ばかり作ってたアーティストが、ある時から労働者に向けた曲を始める理由が少し分かる。でもやっぱり私にはまだ、自分の範囲のことしか描ける気がしない。

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騙し騙しで、切なくなりすぎるのは悪い癖だから。

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夜なので、あまり言葉を書きすぎるのは危険だけど、こんなこと夜じゃないと書かないとも思う。

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