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「さきどり佐知子の再会」

ジョンペルチアーノと3日間、素敵な時間を過ごすはずだった。


君の望みは、いくらでも叶えてやる。

ジョンペルチアーノは、相変わらずの優しい声と、柔らかい髪の毛で、私を包んでくれた。


3日目の日曜日に、美味しいオマール海老を食べようって、彼から提案があったの。ひいきにしているレストランがあるからって。


移動は、いつも黒い車だった。


いつも運転手さんに、綺麗に整備されて黒光りしていた彼の車は、太陽よりもまぶしかった。


ジョンペルチアーノは、とても用心深かったから、いつも護衛を何人もつけていたわ。同じような黒い車が、何台も一緒に移動するの。


明らかに厳しく訓練されたように見える護衛の人達は、色んな背景を持った人達だって、ジョンペルチアーノは、よく言ってた。


故郷を無くした人、家族と会えない人、誰にも信用されなくなった人。


奴等の仕事は、俺が生きている限り無くならない。本当はもっとやりたい事があったかも知れないが、そんな事より今日の飯だ。

そして、オレが払う、その飯代はとても裕福な暮らしが出来るくらいの額なんだ。

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