「阿部チェリーと金のスプーン」

とにかく、凄く長かったよ。

あの水曜日は。

ワンダーピープルが誇るスペシャリスト50人を相手にしたんだ。

真紀子ちゃんのお店のシャッターは、穴だらけになってたよ。あいつらのせいで。

何度もブーメランを投げて、奴等にクリティカルヒットを当て続けたけどよ。やっぱり、当たっちまうんだ。奴等の弾が。

肩や、膝に。

さすが、スペシャリスト達だったよ。

徐々に俺は動けなくなったんだ。それで、最後に、とうとう胸に弾がめり込んだんだ。

でも、何ともなかったんだ。

胸ポケットに、カレーライスを自分なりに楽しむ為に買った、純金のマイスプーンが入ってたからよ。

いい仕事してたよ。

純金のマイスプーンが、弾をしっかりキャッチしてたんだ。