見出し画像

「さきどり佐知子の新しい生活」

私に用意された部屋は、これからの映画女優にしては、とても洗練されたアパートメントだった。

私にとっては、とにかく凄い部屋よ。

それまで、広い部屋に住んだ事はなかったし。
私は、いつもワンルームだった。  

それぞれに、綺麗にリフォームされた部屋が3つほど。


それに、近くには川が流れていて、マーケットも人々で賑わっていたし。

あの日、阿部チェリーは、去り際、私にアパートメントの鍵を渡したの。

その時に、私の身の廻りの事は全部、この部下のチャイニーに任してあるからって。

それ以来、ほとんどの時間、チャイニーと過ごしたの。
チャイニーは本当に優しい人で、家具やベッドをすぐに用意してくれて、それにたくさんの綺麗な衣装も用意してくれたの。

背も高いし、笑顔もハンサムで素敵だった。

ここから先は

1,193字

¥ 100