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「クオリティ真紀子とスパイス」

JAZZが好きなの。


シンガーソングダンサーで世界デビューをする予定だったけど。


JAZZが好きなの。


ずっと聴いてられた。小さい頃から。


気持ちが、楽になる気がして。


音楽で生きていけるって思ってたけど、それは遠い夢だって分かった時、もう自分には何も無いんだって思ってた。


その、どうしようもなく曇った気持ちをね、サマーは、忘れさせてくれたの。


だって、サマーがラジカセに入れていたビートは、とてもJAZZテイストだったの。


大好きな時間だった。


サマーといた時間は、いつも。


でもね、この街の港でサマーとお別れして、ひとりで自分のキャフェをオープンさせたから。


もう、これしか無いかも。私が生きる道は、このお店を永遠に続ける事だって強く思ったわ。


だって、そうでしょ?


人生って、今ある目の前の事に、全力を注いでこそ、何かが起きるって、昔の偉い人のことわざであったし。


もし、いい加減にしてたら、何も、何ひとつ起こらなかったって思うわ。

泣く事もないし、挫折から這い上がる事もない。そんな人生、私には向いてないわ。

だから、阿部チェリーに店を閉めろ!

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