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場所を作ると何かが生まれる。


今は祖父母が住んでいた家に家族で住んでいる。

ありがたくも一軒家に暮らしているが
その全ての部屋をうまく扱えているかというとそうではない。

ごちゃごちゃと物置のようになっているスペースも
たくさんある。


例えばこのデスクを置いている縁側がそうだった。
ずっとごちゃごちゃとした物置にされていた。


一言で言い表せないごちゃごちゃした場所というのは
文字通り死んだ空間である。

何も生まない。

ただ判断を先送りにされた
必要なのかそうでないのか曖昧なものたちが
積み重なっている空間である。


それを片付けるには
絶え間ない判断の連続が求められる。

いる。いらない。別のところに片付ける。等々
答えを出し続けなくてはならない。
なかなかに骨が折れる作業だ。

だが、先日

ふと思い立って縁側をもっと活用してみたい。
と思い立ち一念発起。

片付けることにした。


縁側というのは素敵なものに違いないと物語の世界を見て思っていたが
うちにおいてはあまり惹かれる場所ではなかった。

まず第一に日当たりがすごく悪い。

やりすぎだろう。というくらいに屋根のとんがった家が
2メートル前に立ち塞がり南からの日差しを遮っている。


そしてその家の勝手口が目の前にあり

縁側から外を見ると
どうしても裏手に出された空き缶などのゴミたちが目に止まる。


薄暗くてゴミが目に飛び込んでくる
縁側の窓辺を僕はどうしても好きになれなかった。


だが薄いカーテンで外界を遮断し
試しに机を置いてみると
そこは思いのほか落ち着いた空間に見えた。


窓を見ているとゴミが目に入るが

机を壁につけ壁を前にしていると
さほど気にならなかった。

電源はないので充電式のライトを買った。

このライトはずっと、1年くらいほしいと思っていたが
踏ん切りがつかず購入を渋っていたものだ。

ライトは3段階に明るさを変えられて質感も素晴らしい。
子どもの寝かしつけに本を読むときにもアウトドアに
もちょうど良さそうで気に入った。
せっかくなのでリンクも貼っておく。

必要なもの以外何もない空間。
というのが必要だった。

PCと珈琲と灯りだけの空間。

障子を隔てた右の部屋には赤子の諸々が散乱していて
カーテンを隔てた左にはグリーンラベルの空き缶の山。

左右は煩雑を極めているが
障子とカーテンに挟まれた80センチの空間だけは
穏やかで落ち着いている。

ここを新たな仕事場とする。
本を読んだり文章を書くのにはうってつけだ。

カーテンの向こうには
僕が植えた八重咲のドクダミが茂っている。

日当たりはゼロだけど風通しは悪くない。

少し作業してみて思ったが
薄暗い場所というのは
生物的にも落ち着いて集中するには良いのかもしれない。

こういった空間もいいじゃないかと思えた。

前の家が建ってから
ずっと物置にされていた気の毒な縁側。

僕はようやく好きになれた。

きっとこの場所から何かが生まれる予感がする。



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