第35回:砂子塾長の熱血ドラテク持論
風通しよく生きようぜ
人の噂も75日。あれだけ世間を騒がせた吉本芸人の闇営業問題もすっかり影を潜めた。
ビートたけしがこれについて、「オイラは猿回しの猿なんだよ」「猿に謝らせてどうするんだ」「泣いて謝る奴なんかもう笑えないし、見たくもないぜ」「そもそもサラリーマンなんてできないから芸人になったんだ」とコメント。
芸能人やスポーツ選手、有名人であればすべてに品行方正を求められる時代。SNSで親しみをアピールし、何かが発覚すれば、いっせいにバッシング……。ワイドショーは人の幸福よりも人の不幸が視聴率を稼ぐ。どうなっているんだ?日本って国は…。
昔は『芸の肥やし』などという言葉もあった。大物芸能人の破天荒な生きざまや武勇伝。プライベートが謎に包まれたアイドルたちは過去のもの。
そもそも論だが、あの吉本芸人たちと反社会勢力と呼ばれる人たちとの写真に疑問を覚える。なぜ、モザイクが反社会勢力側に掛かり、芸人は掛からないの?それって逆じゃない!悪い奴らのプライベートが守られる不思議。おっと、横道に逸れそうだ。
古今東西、人の噂話やスキャンダルは多くの民衆の関心ごとであり、格好の酒の肴だ。江戸時代には『読売』というスキャンダル本、いまでいう文春やフライデーみたいなものがあったという。政治的なものや犯罪などは瓦版、ゴシップネタは読売だった。
とある有名な商家に嫁いだ女性がいた。その女性には腹違いの弟がおり、その弟は昔、喧嘩の仲裁に入って、もみ合いとなり、その喧嘩していた相手の持っていた刃物がもつれ、相手を切ってしまって大怪我をさせた。弟は罪人として島流しに…。その腹違いの弟を持つ女性は、旦那に身の上すべてを話したうえで嫁ぎ、大きな商家の女将となった。
その過去を暴いたのが読売だった。何の罪もない女将だったが、大きな信用を必要とする商家にとっては問題となり、必死に旦那は民衆や身内から妻を庇ったものの、女将は離縁するしかないと家を出ていき、翌日、大川(隅田川)下流で死体となって発見された。
読売は売れた。
しかし、そこに何の生産性があるのだろうか?いったい誰が喜ぶのか?
一時を噂話で盛り上がり、75日、いや20日も経てば、みんな忘れるというのに。何の罪もない女性が身投げしたというのに…。
時は流れ、1980年後半のバブル期。我らF3ボーイズはトップドライバーを夢見て奮戦していた。オフシーズンのシート争いは激化する一方だ。
そんなとき、口八丁のドライバーKは、他のドライバーの悪口をいいまくる。実際にそのつまらない悪口をチームが真に受け、翌年のシートを失った経験もある。そのシートにはまんまとKが収まっていた。もちろん、Kはそのうちこの業界から消えることになる。
ライバルは蹴落とす必要なんてない。実力と人間性はいずれわかるもの。若い衆にはいつもいう。「人を蹴落とすな」「ライバルが落ちそうになったら、その肩を持って引き上げろ」「ライバルともども、ふたりで駆け上がっていけ」と…。
ましてや嘘、つまらぬ噂話や不幸話は御法度だ。
悪口をいえば、必ず自分に帰ってくる。恨み、妬みは何も生まないどころか、必ず己を落とすことになる。
人の悪口が好きな友人がいたら、そっと離れなさい。人を恨まず、妬まず、真摯に正面から風通しよく生きれば、成功するとは限らないが、最後に友人が守ってくれる。粋な大人になろうぜ。
たとえば、上司が部下の美人とふたりで飯。そんな現場を見ても大人の恋など見て見ぬふり。そんな乙な江戸っ子がカッコえぇ。レース業界なら、パドックよもやま話など、聞いても右から左へスルー。本物の実力や人となりは決して裏切らない。ゴシップ好きな大衆になってはいけないのだ。
ところで… 波瑠の熱愛報道の、その後は?(笑)
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