老害

子供笑うな来た道だ、というフレーズが脳内のスマホ画面の通知欄に表示された気がした。なんということはない、社内のお偉いさんたちに自分のチームのやりたいことを説明したときのことである。特段横槍をいれるわけではないが、こちらに顔も向けずまるで興味がなさそうだ。これで彼らの承認を得たことにはなるが、今後彼らの部門のリソースを借りることになると牙をむいてくる場面がちょくちょく来そうだ。自分の縄張りを荒らされるのを嫌うのは野生動物もヤクザも役員も同じ。彼らは普段はゆったりと構えているが、自分の利益を削る匂いを嗅ぎつけたとたん、驚くほどの瞬発力で抵抗しにくる。ありとあらゆる手段を用いて。彼らを老害めが…と単純に断罪できないのは、やっかいなことに自分も老害側に片足入っているからだ。普段見て見ぬ振りをしてはいるが、他人は自分を映す鏡という鏡の破片が心をちくちく刺しては思い出させるのだ。若者へのリスペクトを欠いていないか、自分の価値観が正しいと思い込んでないかと。それを気づかせてくれるだけ、この加齢臭軍団と相対したのも無駄ではなかったかなと思いつつ会議室を去った。

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