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【イベントレポート】テクノロジーで変わるこれからの教育(2021年3月1日 桜十字ホールやつしろ)

【熊本県企業誘致×SUNABACO】スタディサプリ教育AI研究所所長 小宮山利恵子さんをお呼びしたイベントが熊本県八代市で開催されました。2020年は学校が長期間休校になったりオンライン授業が急速に普及するなど教育の世界にかつてないインパクトを残した一年でしたが、わたしたちはどう対応していけばよいのでしょうか。イベントにオンライン参加した筆者がレポートします。

登壇者プロフィール

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中村まこと 株式会社SUNABACO 国立大学法人琉球大学非常勤講師
プログラミングと創業支援とリカレント教育のオープンイノベーションハブSUNABACO 多様性のある教育の場で自己決定と切り拓く力を手に入れます。沖縄 八代天草 江別 高松 日本橋に展開中 プロデューさん 事業戦略コンサル 広告 大学講師 TTUX 専門はスマートシティ デザイナー 投資家 ないものは作ればいいじゃない
https://twitter.com/nakamakoko

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小宮山利恵子 スタディサプリ教育AI研究所所長 東京学芸大学大学院准教授
学びで人生を切り拓く | 国内外の教育・キャリア情報を発信 | 東工大・ANAアドバイザー | 衆議院→ベネッセ→GREE→現リクルート| 🇺🇸🇰🇷🇹🇳留学 | 米国務省IVLP・EWC APLP修了 | 東洋経済、日経、AERA with Kids等 | 母子家庭育ち | 学びの哲学対話主催 | 一児の母
https://twitter.com/riekokomiyama

​1 中村まこと IT教育はどういう風に子どもたちの学びとか人生に影響していくのか

SUNABACO代表の中村さんによるITが子どもたちに与える影響のお話。筆者が気になった部分をいくつかピックアップしていきます。

IT でわかってきたことは、従来の教育システムでは力を引き出せなかった学生がその真価を発揮できるようになるための基盤を作る、こういうことだと思っています。実際にあったのが LD と言われる学習障害って言われるものですね。例えば書くことが遅くて授業についていけない子供に iPad を与えてタイピングで授業を受けれるようにしました。そうしたら英語のテストで10点台だったものが3ヶ月で80点を超すようになったんですね。

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情報ってものは資産化できて行くんですね、例えばある年スライドを作ってそれをアップデートしていけば、次の年からあまり作らなくてよくなっていく。先生たちが板書をしたりする労力ってすごいと思うんですよね、それにかからなかった時間において本来やりたかった、子供と向き合って教育をするっていうところにしっかりコストが使えていくようになると思うんです。
プログラミングやコンピューターを使うことが子供たちにどういう影響があって、そしてこれからの未来はどういうことが起こるんだろうっていうことを理解することによって、子供たちの可能性はたくさん開けてくるはずなんですね。それを親御さんとか学校関係者の皆さんが IT って怖いっていうところで終わっているとそこからなかなか色んな事が進んでいかない。

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ITって結局何かって言うと情報を集める力なんですね、情報を集めてそれによって得た知識で判断してそして未来を予測する、いわばこれが IT の本当の力ですね。それによって足りないものが理解できて、そしてその足りないものがここ補えばこういう未来が実現するよね、っていう予測が立てられるようになった時、人は未来を作ることができるようになる。
ITは自ら未来を作り出したり、自分の手で切り拓くための情報を手に入れる、そして好奇心。本来教育って、人間って成長したり新しいことができることって喜びだったんですね。(中略)そうだったんだねって気づいて切り替えていく必要があるんです。そのことを理解しないと多分これから学校現場とかで IT 化が進んでも多分何ら変わらない。

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答えがない時代って言われてます。自ら考えて行動をして、そして結果を追求するっていうそういうものが今企業の人材とかでも非常に求められています。子供の頃からそういうものに触れられるかどうかっていうのは大きな差になってくる。
教育っていうものは未来に対する投資の中で、最も小さいコストで短期間で確実に結果が出るものだと思います。Facebook とか google みたいなシリコンバレーの IT 企業の社長とか中核、インド人なんですね。インドで何があったかっていうと政府の方針でSTEM(ステム)と言われる数学を中心にした教育に力を入れました。そうやってプログラミングとか数学が強くなってきてる中で、今の世界中の名だたる IT 企業の中核に居るのはインドの人になりました。教育に投資をしたことによって今インドは IT に非常に強い国で経済を回せる国になってきてます、中国もそうですね。そういう中で地域もそうなんです、IT って今まで東京に行かないと触れられなかった学びとかそういうものと違って、地方においても学ぶことができるんです。

"人間って成長したり新しいことができることって喜びだったんですね。"
この言葉に私はハッとしました。勉強が苦手だった私にとって学校生活は苦労の連続。なのに今でも時折小学校の中で何かをしている夢を見ることがあり、なぜそうなるのか不思議でしたが私自身が喜びを感じていたからなのかもしれません。成長の場である学校で喜びながら学び、未来を作れる人間になるためにITが果たす役割は大きいと思います。

2 小宮山利恵子 テクノロジーで変わるこれからの教育

そして会場が十分に温まったところで小宮山さんにバトンタッチ、普段90~120分で伝えている内容を半分の時間にギュッと圧縮したとのことで、とても濃い内容でした。まずは自己紹介から。

リクルートのスタディサプリ教育AI研究所の所長をしております。実はリクルートっていう会社は面白い会社でございまして、兼業可能な会社になっておりますので、今20ぐらい兼業兼務をしております。一時期ですね2枚の名刺を持つみたいな話があったと思うんですけれども、私に限った話ではなくってこれからこういう働き方っていうのはどんどん増えてくるんじゃないかなという風に思っています。

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私のキャリアは国会議員の秘書から始まっております、国会議員の秘書をしてから子供をもうけて辞めてですね、その後ベネッセに行きました。会長の秘書をして、その後ソーシャルゲームの会社に移って、2015年からリクルートにおります。

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最近ですね趣味が増えまして、元々食とか本とかが好きだったんですけれどもキャンプが好きです、キャンプインストラクターの資格を取ったり後はモータースポーツを始めたんですね、四輪車でのレースに参加することに今年からしまして、その資格を取ったりしています。
私スタディサプリ教育 AI 研究所というところの所長をしているんですが、何をやってるかというと主に二つをやってます。一つは子供の教育環境格差に関する研究です、私自身がひとり親家庭に育っておりますので経済的困窮家庭とですね、学力格差っていうのが相関があるという風に言われておりまして、どうしたらその格差を縮めることができるかという研究をしています。もう一つはですね AI を用いた個別習熟度別学習の研究ですね、一人ひとりの習熟度にあった問題の提供、進め方っていうのはどういうものかというの研究しています。

20ぐらい兼業兼務という普通の人には考えられない環境に身を置く小宮山さん、そんな中で今年からモータースポーツを始めた(!?)バイタリティあふれすぎですよねと思ったらひとり親家庭に育ってという過去も。

少しだけどういう研究してるかっていう事例をご紹介しますと、例えばですね数年前にこういう記事があったんですね。「数学のできない子を増やしていると日本の教育」と、かなりセンセーショナルなタイトルなんですが、中学2年生のですね数学の得意だと思っている子と、実際にできてる子たちの割合ですね。日本はどこにいるかというと、得意だと思ってる子は少ないけれどもすごくできると。これをですね得意だと思ってる子が多くて、かつ出来る、そのためにはどうしたらいいかということで研究をしてるのがこちらになります。

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学習指導要領でカリキュラムございますね、全部単元が決まってるわけなんですけれども、その単元って言うのはどの子にとっても進めやすい理解しやすい進め方なのか順番なのかという疑問を呈してですね 、AI を使って本当はA,Bの並びじゃなくてB,A並びの方が落ちこぼれる子供達が少なくなるんじゃないかという研究をしたりしています。

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2020年ですね皆さん本当に大変な一年過ごされたと思います、そもそも教育が大改革の年という風に言われてました。一つはプログラミングを小学校に入れること、二つ目は英語が教科化されること。大きな改革があったわけです、それに加えてコロナが起きたということで。
昨年一年間一番メディアからの取材も多かったです、これからオンライン教育どうなるのか、動画の教材っていうのはどういうデメリットメリットがあるのかいろんなところから本当に取材を受けました。社会の関心が高いっていうのをすごく感じた一年でしたね。

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今日こちらの4つをお話ししようと思ってます。
・今の世界や社会の動き、仕事がどうなってきてるか。そしてどういう人材が需要があるか
・それに伴って学びがどういう風に変化してきてるか
・皆さんご自身がこの時代の中でどうやって自分の価値を高めていけるのかっていう学びの方法
・失敗の重要性について
あの情報量はっきり言ってとても多いです、すごくお腹いっぱいになります。なのでどれか一つでもですね情報を持って帰って頂いて考えるきっかけにしていただければいいなという風に思ってます。

はい、この時点でもうすごくお腹いっぱいですがいよいよここからが本番です。激動の2020年度を経験すると、変化は絶対に避けられないと感じますがどう変わっていくのがよいのでしょうか。

2-1 これからの社会、仕事、人材

未来予測学者のレイ・カーツワイルさんっていう方がいらっしゃいます、2045年にシンギュラリティが来るという風に言っているんです。これどういうものかというと、2045年にコンピューターの脳が人間の脳を超えてしまうという話なんですね。

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こちらのグラフですね、どういうテクノロジーがいつ出てきたかとどうやって発展してきたかっていう図ですけども日本でインターネット元年って言われているのが1995年なんですその50年後にそういう時代が来るという風に言われてるんですね、ただしこれは諸説あります。ただいずれにしても、最先端テクノロジーとの共存というのはもう避けて通れないという事態になっています。

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時代って言うのはですね10年ごとに変わってきてるんですね、2000年代デジタルの時代っていう風に言われてました。その後2010年代になると繋がる時代という風に言われてます、皆さんの中でも使ってる方は多くいらっしゃるでしょう Facebook Twitter Instagram などですね。2020年代からどういう時代になってきたかって言うと、データの時代という風に言われています。

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ガートナーというアメリカの会社が毎年夏にこういうグラフを発表してるんです、今社会の中にある最先端のテクノロジーがどれだけ成熟してるか。見たことのない技術ばかりですが、成熟してくると知らないうちに使うようになります。 AI も皆さん知らないうちに使ってます、スマホの中にはAI使われてます。これから来るテクノロジーとして今お話しした AI ともう一つ 5G っての大きい二つがありますので、そちらを少しご紹介していきたいなと思います。

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でこういう話をするとですね、今日明日できることを教えてほしいという風に言われることがあるんですね。ですが世界の動きが分かってないと、大きな地図が分かってないと、どっちに進めばいいかわからないんですね。なので世界の動きをまず理解してから、今日明日のことを考えましょうというふうにいつもお伝えしています。

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AI なんですけども人工知能ですね、こちらは実は最近出てきた言葉じゃないです。1956年に最初に会議で言われて第一次ブームまで出てきたんですけれども数年で駄目になり、1980年代に第二次AIブーム来たんですがこれも数年で駄目になっちゃったんです。ようやく2010年代になって第三次ブームが起きているという状況になっています。

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ちょっとこの写真見て頂きたいんですよ、これ皆さんも今使ってる方多いんじゃないかと思いますけれども Amazon ですね、当初の写真です。アパート2室を借りて自分で青のペイント買ってきてですね。今どうなってるかと言うとこちらですねシアトルの本社ですけれども、時価総額90兆円の会社になってます。

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何が言いたいかと言うと、インターネット企業の成長の早さと広がりの速さですね。その Amazon が一年間に使う研究開発費、1兆円です。日本企業で1兆円使ってるところありません、それぐらい AI を含めた最先端テクノロジーの研究開発を進めているということです。

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今アメリカの話ししました。 AI の二大巨頭としてアメリカと中国が挙げられてるんですけれども、実はアフリカも今きてるんです。びっくりすると思いますアフリカなんて発展途上国だろうという風に思ってる方いらっしゃると思うんですが、実はそうでもないんですよね。例えば2019年ですねガーナに Google が AI 研究所を設立しました。そしてルワンダ、25年前に起きたフツ族とツチ族の大虐殺で、100万人が亡くなったという風に言われてます。そのルワンダが今アフリカのシンガポールになろうとしてるんです。アメリカの有名なカーネギーメロン大学っていうのを誘致してきてキャンパスを作りました。

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ここでちょっと皆さんに質問したいと思います。ファクトフルネスという本を読んだことがある方いらっしゃいますか、その方は答えがわかってるかと思いますが、二つございます。
・現在低所得国に暮らす女子の何割が小学校を卒業するでしょうか A 20% B 40% C 60%
・世界の平均寿命どうなってますでしょうか A50歳 B 60歳 C 70歳

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突然の質問タイムです、皆さんはどう考えますか?
ちなみに会場の答えで最も多かったのは、どちらもBでした。

はい二つの質問とも答えは C です。小学校卒業してる人は60%、そして世界の平均寿命は70歳ということです。何が言いたいかと言うとアフリカ発展途上国と言うとですね、皆さんの頭の中の情報がアップデートされてないです。発展途上国も毎年発展してます、ですので毎年ですね情報更新していかなきゃいけないという話ですね。

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ルワンダ本当に面白い国で紙幣も変えちゃいました。子供達がプログラミングをしている紙幣に変えました、そして教育言語ですねフランスの植民地でしたのでフランス語だったんですけれども、伝達のスピード早いからということで英語に変えています。アフリカにこのような国が出てきてるんですね、こういうことを私たちは知っとかなきゃいけない。

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もうひとつのテクノロジー5Gの話。三つの特徴があるという風に言われてます、一つはスピードがとても速いことですね。二つ目が容量がとても大きいこと。そして三つめが反応がとても早いこと。こうなると何が出来てくるとかと言うと、例えば病院で AR のグラスをつけて頭のカテーテルを入れるという手術をする時に事前に MRI を撮影してそれを患者さんの実際の頭に投影しててゴーグルつけながらカテーテルを精密に入れてくということができるということなんです。5Gだとなぜできるかと言うと反応速度が早いんですね、5Gになることでこういうことも可能になって手術の成功確率が高まるという話です。

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学びで言うとゴーグルを付けて、クフ王のピラミッドの中を歩き回ってキリル文字を探したよとか、こういうことも夢物語じゃなくてできてくるんですよね。アメリカの一部の学校で既にこれ始まっています。ただしこのゴーグルがまだ高いので教育現場に来るにはもう少し時間かかりそうですがでも夢物語ではないというふうに思っております。

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テクノロジーは今までなかったような可能性の扉を開くという風に書きました。 AI だったり5Gだったり今まで経験したことのないことができてくるという話です。第4次産業革命と言われてますね、何が一番大きな変化かと言うとマッキンゼーが4つの強大で破壊的な力ということで書かれています。例えばですね経済活動のダイナミズムが移ってる、今まで北米とか欧州が中心だったのがアジアアフリカに移ってるということだったり、技術の発展がその範囲・規模・経済的インパクトにおいて加速し増大する。

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どういうことかというと例えば電話が5000万台流通するのに50年かかったんです。だけど iPod が5000万台流通するのに5年しかかかってない、そしてソーシャルゲームのアングリーバードが5000万アカウントを達成するのに35日しかかかってないです。それほど広がりの速さというのが指数関数的に増えてると。
今日こちらのイベントにSUNABACOさんの中村代表にお声掛けいただいて来てますけれどもそれも Twitter です。 Twitter でこの人すごいことしてるなと思ってウォッチしてたら、中村さんからお声がけいただいて今日この場にいますけれども一度も顔を合わせてません。ですがこういう繋がりが普通になってきてるということですね。

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日々の日常を見てみるともう1日全体がデジタルで覆われてるんですよね。朝起きたら何ありますかスマホを見ますよね、天気見ますニュース見ます SNS チェックします、その後銀行口座送金しなきゃいけない手元のスマホで送金します、子供の学校からメールが来た、お友達からメールが来た SNS が来た、朝から晩まで使ってますよね。今まではデジタルとリアルってのがくっついてたんですけれども、これからはデジタルの中にリアルが入ってくるという話なんです。

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リクルートワークス研究所っていうところがですね、ワークモデル2030という研究調査結果を出してます。個人の職業寿命はどんどん増えてくと人生100年時代って言われてますよね、70歳80歳まで健康寿命が伸びるということはそこまで働けるって事なんですよね、ただし一方で企業の平均寿命ってどんどん縮小しているんです、だいたい22~3年って言われてます。ですので70~80という数字と22~3年でかなりギャップがあるかと思います。ほとんどの人が終身雇用できなくなるという話ですね。

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兼業したり副業したりフリーランスになって働く人が増えてくるということで、一社で勤め上げることができる人っていうのはほとんどいなくなるって事ですね。私自身もいつも尋ねられるんですね、本当にリクルートにいるんですかって言われるんですけれども、リクルートにいながらいろんなグループ、いろんなプロジェクトに関わらせていただく、こういう働き方も出てくるんじゃないかなという風に思っております。

"1日全体がデジタルで覆われてる"  意識したことはないですが、言われてみれば日常の意思決定の大半がデジタルによってもたらされた情報ですよね。思った以上にデジタルは浸透していたようです。

2-2 変わりつつある学び

ここからは AI を使うことで何が出来るのか、実例を踏まえて紹介されました。

AI を使った学びの事例です。NVIDIA という自動運転ですごく有名な会社が出した、GauGANっていうサービスなんですが落書きが絵の作品になるというものです。

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画面を見てもピンとこないかもしれませんが、絵そのものを描くのではなくどの場所にどんな要素を入れるかを左側で塗り分けることで指定して、それをもとに AI が絵を描くという仕組み。よくわからないと思うので NVIDIA 公式の動画を紹介します。今と若干インターフェイスが異なりますがやっていることは同じです。

絵を描くことに苦手意識を持ってる子どもたちにとってもすごい良い導入なるんですよね、簡単に絵が描けるようになる。一方で作品とは何かと考えさせられますね。再定義が必要なってくるわけです、絵とは何か作品と何か AI の力が入ってますので再定義が必要になってくるんです。

Wikipediaの「作品」の項目にも"人間によって作られたもの。"と書かれていますが、今後どうなっていくのか気になります。次は英語学習に AI ロボットを使っている事例です。

京都の同志社中学校で2014年から使っていらっしゃるそうです。何が良くなったかというとまず発音が良くなったと、学校の先生よりも発音がロボットの方がいいので発音の練習にすごくいいということ。もう一つは先生相手だと恥ずかしくて話さない生徒がロボット相手だとどんどん話しかけると、学習時間が増えてかつ成績も上がってるという話なんですね。

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私は Siri みたいな音声認識すら恥ずかしくて使っていないのですが、今の子供世代だと違和感なく使えてしまうんですね。ロボットは疲れないので反復学習が必要な場合にとても役立ちそうです。

AR のゴーグルをしてけん玉を練習すると、使わないで学習するよりもより早く学習できるになる。こういうのを使うとですねけん玉だけではなくて、例えば体育ですね逆上がりが苦手な子供達に、ARをつけてやると早くできるようになるんじゃないかという話もあります。

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こういう独特の動きが必要な動作って、例えば YouTube で見ても正しい動きを見て、体をどう動かすべきか考えて、実際に練習するという過程が必要になります。でも AR は練習時リアルタイムで正しい動きを確認できるので、正しい動きを習得しやすいのでしょうね。

大阪大学の石黒先生が研究されてますけれども、こちらのロボットは3体のロボットと一人の人間で議論をしてます。こういうことも出来るになりつつあるんですよね。

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ロボットとの会話というと、上手く認識されなかったりして話しづらいというイメージですが、複数のロボットの連携によりそうした欠点をカバーする研究が進んでいるそうです。

人とロボットが全く違和感のない会話が出来るようになるのはもう少し先の話のようですが、次はとても身近な例です。GIGA スクール構想により一人一台の端末が今年の3月末までに配布されます。すると普段の授業がどう変わったかというと…。

数学の授業にオンラインラーニングを入れてですね、個別の習熟度に合わせた学習を始めた。そうしたら通常の授業時間数の半分で全員の生徒が習得したという話なんです。多分こういうイメージを持たれる方いらっしゃると思うんですね、すごく寡黙にみんなやってる、すごく沈黙が訪れてるみたいな。そうじゃないんです学び合いが発生したんです。数学が分かってる子はわからない子に教える、違う教科でも国語が分からない子はその子に教える学び合いが発生して、習熟のスピードが早まったということであります。

詳細は上の記事を読めばわかりますが、授業時間半分はインパクト大ですね。それにより余裕ができれば、新しい学びが出来るようになる。

皆さん何かで聞いたことがある方いらっしゃるかもしれませんが、2011年に小学校に入学した65%は、今存在しない職につくという風に言われてます。今の小学校2~3年生ぐらいですね。大人になる頃には65%が新しい職になる。

つまり今ある職業は半分も残らないという、かなり衝撃的な内容ですね。でも人が AI とスムーズに対話出来るようになれば、サービス業を中心に人である必要がない仕事は多そうです。

逆にですね人工知能 ロボットに奪われない職業として、8つあるという風にWIREDっていう雑誌が以前掲載してました。どれもわからないですね、例えば6個目の輸送アナリスト、こちらは例えば自動運転ができてくると一番最初に取って代わられるのは長距離トラックの運転手だという風に言われてますが、その代わりにそのトラックを効率的に動かす人という新たな職は生まれるんですね。

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これからの社会はどんどん変わってきますね、成長社会じゃない成熟社会。それに伴って必要な力も情報処理じゃなくって、自分が好きなことは何なのかを考えて自分で情報を集めてきて編集して分析してアウトプットする。そこまでの力が必要になってきているという話ですね。21世紀型スキルという風に言われてるものです、論理力・創造力・回復力・協働力ですね。

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21世紀型スキルはどうやったら身につけることが出来るのでしょうか、世界で進む新しい教育の実例が紹介されました。

アメリカのカリフォルニア州のサンディエゴにある、HIGH TECH HIGH(ハイテックハイ)という公立の学校です。一番注目されてます全米で、なぜかと言うとテストが一切ありません、中間期末テストありませんで何で評価をしてるかって言うと、文化祭で評価をしてます。日本で言うとプロジェクトベースドラーニング・探究型学習で全てを評価しているということですね。

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私も行ったんですね、1対35とか1対40の授業は一切ありません。探究型学習で教科学習について一人一人のペースに合わせて行っています。もう少し知りたいという方はですね、Most Likely To Succeed というドキュメンタリー映画があります、こちらで全部その学校のカバーをしてますのでご関心ある方見ていただければと思います。

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筆者も大学生時代に必修単位はあったものの、それ以外はゼミ活動をがんばっていれば単位がもらえたので近い環境だったかなと思うのですが、やりやすかったし視野が広がりました。そういう環境がひろがればいいですね。

こういう学校が注目されてるって言うのはアメリカだけじゃないんです、フィンランドやエストニアというとテクノロジー教育がすごく進んでるというふうに思われてますし実際進んでます。ですが学校の先生に聞くとですね、いやいやテクノロジーというのは表現のツールでしかない、なので想像力クリエイティビティの五感を使った学びにこそあると、五感を使った学びリアルなアナログな学びこれがとっても重要なんだという話をされてました。

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"テクノロジーはツールでしかない" ここ勘違いしやすい部分ですね。それを使うことが目的になって目的と手段を混同してしまうのは、特に新しい技術にありがちなことなので注意したいですね。

いきなりですね日本の話になりますが、私これからの時代って地方すごく メリット、アドバンテージがあるという風に言ってるんですね、特に教育で。なぜかと言うと大都会にはないものがあるんですよ、一次産業との接触ですね。アナログを使ったリアルな学びをする場がとてもたくさんある、それがすごくアドバンテージだと思ってます。

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地方にはなにもない、学ぶには都会に行かなくては。というイメージがありますが、テクノロジーでどこでも学べるようになれば、地方のアナログな環境は強みになる。

京都大学に不便益研究所という研究所があります。不便益どういうことかというと不・便益じゃないです、不便の益なんです。不便であることのメリットなんです。京都のその研究所に行くとですねこういう定規を売ってんるですね、2・3・5・7・11・13・17としか書いてません。これ何を表してるかと言うと、素数しか書いてないんです。後の何センチは自分で妄想せよと、妄想することによって想像力が働くという話なんですね。

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不便の益と言うとですね旅ですね、旅をすると不便なことたくさんありますよね。私もこれまで30カ国ぐらい行きましたけれども、色んな不便なことがありました。けどその不便なことから学ぶことたくさんあるんですよね。旅と学びすごく相性がいいと思っていて、それを科学的に実証できないかということで ANA が旅と学びの協議会というのを設立しました。

旅、いいですよね。旅と学びの協議会ウェブページでは過去イベントの動画も配信されています。

ここまで国内外の事例が紹介されました。ここからは、それを踏まえて学校教育はどう変わるのかというお話です。

学校の先生の役割ってどう変わるのかっていうのを、少しお伝えしたいと思います。そもそも日本のオンライン教育 ICT 教育っていうのは進んでなかったんですね、OECDで平均以下かしかなかったですがコロナによってかなり加速しました。オンライン教育拡大してくるとどういう変化が教育になるかというと、この五つかなという風に思ってます。

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学校の再定義、先生の再定義、全て必要になってきます。求められる変化としては教師の役割はコーチ=伴奏する人へという風に書きましたが、今まで1対35・1対40でどこの学力に合わせて授業していいかわからなかったものが、一人ひとりの習熟度に合わせてできるようになるということ。

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私立の佼成学園さんなんですけど、教えない授業というのをやってます。家で英文法の動画見てきて、学校で何をしてるかと言うとペアになってどういうことを学んだかっていうのをプレゼンする。ベストプレゼンターを決めるという活動してます。先生は何やってるかと言うと、生徒たちの間を回ってアドバイスをしてあげてるということです。コーチ、伴走する先生に必要なスキル、観察力が一番私は重要だというふうに思っています。これは親もそうですね、観察する力っていうのがすごく重要になってくる。

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ペアでプレゼンする。この手法は SUNABACO のプログラミングスクールでも取り入れられていて、筆者も受講生時代に経験しました。習っていてもそれを他の人にプレゼンするというのは簡単ではなく、そこでどう説明するか考えることがとても勉強になったことを覚えています。
この他にも同志社中学校の例として、夏休みの自由研究を生徒に任せきりにせず、節目節目に ZOOM で指導するという事例も紹介されました。

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生徒が気づいていない点をアドバイスし、伴走することで前年より質の高いものが集まったということです。

オンラインがもたらした新たな観察ということで、データで上がってくるんですね全部。学習する時間帯・学習する深度・よく学習してる教科、全部データで上がってくる、これを先生が指導すればいい。その代わりに先生自身が観察しなきゃいけないところに注力できるっていう話です。例えば服装見てみる、昨日と同じ服だなとかちょっと汚れてるなとか、なんか家庭で何かあったのかなとか、そういうところに割く時間が出てくるわけですね。その子一人一人の潜在的な個性潜在的な能力に注目する時間が増えるということです。

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とにかく観察力が重要だということが繰り返し語られていました。天才といわれたレオナルド・ダ・ヴィンチは、あらゆるモノを観察してメモをとる、この手法で学んでいて、その量は2万4000枚もあったとされているそうです。

2-3 自分の価値を高める学び

観察力を身につけるためにも、大人はどう学べばよいのか。現状のデータを踏まえて提案していただきました。

私たち大人の学びについてお話をしてきたいなと思ってます。先程中村さんからも話がありましたが、親が親のアンテナの高さが子供に直結するんですよね。平成28年の総務省の調査ですけれども日本の社会人どれくらい勉強してるかというと1日平均6分勉強してるということなんですね、コロナが始まってから在宅勤務の方も多くいらっしゃったと思うので、少し増えてるとは思いますですが、どうでしょう皆さん心に胸に手が出てみてください勉強してますでしょうか。

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1日6分、週に42分、月に約3時間。しかも上のグラフ、平成28年と23年の比較で45~49歳は学習している人が減っている。いろいろ事情はあるでしょうがなぜそうなってしまうのか、学びにつまづく理由はあるのでしょうか。

この5段階のうちのどこかでつまづいてしまってるんですよね。勉強しなきゃっていう意識はした、本を買った意欲はある、実践してるかその本に書いてあること、継続してるかどうか、発信してるかどうか。私が学生の頃はインプットだけでよかったんです、どんどんインプットすることが学びでした、ですがアウトプットすることがとても重要になってくるんですよね。

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自分の価値を高めるための5つのステップということで、終身雇用がなくなるじゃどういう働き方になるかって言うと、プロジェクト型の働き方が増えてくる。そうなると自分がここにいるよっていう旗印を示さないとですね、そのプロジェクトに声をかけてもらえないわけです、ですのでどうすればいいかって話ですね。

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転職するときには皆さん棚卸しします、自分はどういう能力持ってるんだろう。ですが私は毎年やってます。

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例えば今持ってる仕事10あるとしますね、そのうちのどのぐらいまで AI にとって変わられちゃいそうですか。横軸が想像力が必要かどうか、縦軸が共感力が必要かどうか。全部 AI に取って代わられちゃうのは左下です、ご自身の今の仕事どうでしょう。8取って代わられちゃう人は新しいこと今すぐやる必要があります、2しか取って代わられない人は、今ある8にプラスして深掘りするかもしくは新しい仕事を学び始める必要があります。

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自分を棚卸しするなんですけど、自分が楽しいと思ったこととか、嫌だなと思った事ってどんな時だったのかというのを、図に表してみると分かりやすかったりします。私自身はひとり親家庭で育ってるんですね、父親がすごく酷い DV をする人で殺されそうになった時もあったんですけれども、そこから母子家庭になってちょっとずつ学びが楽しくなって、運気も上がってきたんですけれども。こういう図を簡単でいいので作ってみる、そうするとここで幸せだったどこで嫌な思いしたっていうのが分かるわけですね。

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自分の棚卸し。たしかに自分のことって案外知らなかったりするので、棚卸しをすることで見えてくるものは多そうです。過去を振り返るって辛いことがあると大変ですが、性格診断なども併用すると良いようです。

人材における自分のポジションを確認するですけれども、「起承転結人財モデル」起承転結それぞれがいないとプロジェクトはうまくいかないんです、どちらが優劣があるとかではないです。自分はどの人材なのか。
・起 0から1を作り出す人材
・承 N 倍化する人材、何倍にもにするんですね
・転 リスクを最小化する人材で
・結 最後まできっちりオペレーションする人材
よくわかんないって人はいつも何考えてるか、いつもどの時期のこと考えてるかっていうのを考えるとわかりやすいです。
いつも今のこと考えてる人は結です、2~3年後のことを考えていると転、5~6年後のことを考えていると承、10年以上先のこと考えているのは起です。これちょっと認識してみていただきたいなと思います。

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皆さんはどうですか、いつの時期のことを考えているでしょう。筆者はあまり先のことは考えないので結~転くらいの人かなあ。仕事でなにかチームを組むときは、この目線の違いを意識して組むといいかもしれません。

オンラインで学ぶ。何でも学べますねスタディサプリも、大人の方も学んでいただいてますし、Netflix を使って語学の勉強ができます今無料で公開している授業もたくさんありますし、これを日本語でも受けられます。

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ステップ4として足で稼ぐです。今までオンラインの話をしましたけれども、アイデアのつくり方という名著があります。どういう風に書いてあるかって言うと、アイデアっていうのは既存の要素と、既存の要素の新しい組み合わせだ。ですがパソコンの前に座ってるだけ、スマホの前にだけだとみんなが持ってる情報同じなんですねですね。どこで差がついてるか来るかというと、自分の五感を使ってリアルでアナログで得た情報がとても重要になってくるという話で、そこで差がついてくるということですね。

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ただし今こんなコロナの状況で、あまり外に出られないという方には、この話をしたいと思います。弱いつながりの強さという理論があります、スタンフォード大学の社会学の先生が唱えている理論なんですけども。弱いつながりたとえば今日みたいな一回限りしか会わないとか、こういう繋がりがとても重要だという話です。なぜかと言うと強いつながりよりも弱いつながりからの方が、仕事のチャンスが70%本気でくるということなんです。ですのでオンラインでいろんなイベントあります、ぜひ関心があると思ったものには参加してみてください。そうすると自分が知らなかった、自分の好きなもの自分の能力、チャンスというのがやってくる可能性が高くなるということですね。
最後ですね発信しましょうということです。発信しないと自分が何者かがわかってもらえない、発信をすると違う情報がどんどん入ってきます。自分が知らなかった情報がどんどん入ってきます、なので出し惜しみせず発信をしましょうということですね。自分の能力はこういうものがある、自分の関心がこういう物があるって発信しないとわかってもらえないということで、学んだものは全て発信しましょうという話でした。

ここから失敗の重要性に関しての話の予定でしたが残念ながらタイムアップ、終了となってしまいました。教育に関する話はトークセッションに続きます。

3 トークセッション

ここから中村さん、小宮山さんとともに、八代市の教育に関わる人々も参加したトークセッションです。

登壇者紹介:左から順に
SUNABACO 田原 岳典
代陽小学校PTA会長 冨 晃之介
八代市教育委員会学校教育課 陣内 敬貴
八代市第五中学校校長 本田 克弘
(略敬称)

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教育委員会、中学校、PTAという学校関係の方と、SUNABACOの田原さんが参加。田原さんは小学校から引きこもりでしたが、ネットの力で大学時代に中村さんにコンタクトを取り SUNABACO に入りスクール講師をしていて、今の子どもたちに近い感覚を持っているということで参加したそうです。

まずは情報を入手する大切さや、ツールとしてタブレット端末が配られた学校現場に関するトーク、インターネット上のコミュニケーションに関する内容を抜粋して紹介します。

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中村情報を仕入れて自分で判断することが大事だねっていうのが、実は IT 教育の僕一番のコアなことだと思うし、これが多分を地方変えていくって思ってる中で皆さんに集まって頂きました。多分あの小宮山さんが言ったアフリカとかの話って、アフリカって未開の地みたいな。僕中国とか仕事かなり行くんですけど、なんかまだ人民服着てるみたいなイメージがあって、はっきり言って日本の原宿とかよりめっちゃ都会だし、めっちゃ中国の方ってブランド品めちゃくちゃ持ってるしお金持ちなんですね。でもこれって誰かが届けてくれないと多分知り得ない情報な中で、小宮山さんがわざわざ来てくれた中でいろいろ話をしていきたいと思う中で、これから八代市ってタブレット端末が配られて学校現場ってこれからっていう中で結構悩みも多いというなかでお二人教育現場のお二人の中で一番今戸惑ってる事って何ですか?

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陣内:正直いっぱいあるんですけれどもですねやっぱり思ったのは、子供の可能性を広げるとか力を伸ばすっていう視点で言ったら、学校とか地域子ども保護者それと行政がですね同じ方向を向いて進んでいく必要があるっていうふうに思うんですけれども、そういった皆が同じ方向を向けるような、保護者の方々への啓発が足りてないかなっていう風に思ってるので、そこちょっと頑張らないといけないかなと。
中村:そういうことで全国的になんか事例とかうまくいった例とかって…
小宮山:うまくいってるところはですね市長さんと教育長さんと学校長さんがまず同じ方向向いてると、かつ親御さんもですねテクノロジーにすごく関心が高い、研修したりだとかそういう感じで。
中村:はい八代実は我々が陣内先生はじめ市長もはじめ、実際に私とかの話をヒアリングしてくださる中で、小宮山さんとか私とか思ってるような親御さんへのリテラシーを上げない限り学校現場が結構本当に板挟みで大変なことになるような。
小宮山:子供には勉強しろとか言うんですけど、じゃあ親勉強してますかみたいな話なんですよね。
中村:そこですよね、本当に子供の将来が親のリテラシーではっきり変わるって言う事はもう明確になってきているなかで、これをいかに本当に届けるかっていうことがすごく大事な中で、本田先生実際に学校長としてそういうことってありますか?

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本田:今までスマホは危険だとか、トラブルに巻き込まれるんじゃないかと。今度は持ち帰りなさいというふうに、大きく舵を切った形になります。今までは触るなって言ってたんだけども、今からどんどん使っていてそれで学習活動をやりましょうとなったところに、私達の方もどう説明していくかっていうところを、はっきりさせておかないといけないなっていうところが戸惑いがあるところです。
中村:そうですよね、冨さんとも楽屋でそういう話になっていて。子供達をどう安全に守っていくのかみたいなお話が、やっぱり保護者としては気になるところですか。

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:気になると思います。漠然とした不安というか。いい情報もあるのはわかってるんですけど、駄目な情報にもこう接してしまうとか、毒されてしまうんじゃないかっていったような心配があります。非常に心配ですが将来彼らが切り離すことができないところなので、やっぱり正しく付き合っていって欲しい。僕らも学んでいかなきゃいけないなというふうに思っています。
中村:もともと Web とかの仕事始めたとき、人と人が接しなくて冷たいよねとかめちゃめちゃ言われるんですけど、それはすごく誤解でまずここを一番知っていただきたいと思うことは、インターネットの向こうに繋がってるのも人なんです、単純に人間関係なんです。なので良い情報も悪い情報も、良い人も悪い人もいるのはリアルの世界となんら変わらないって思ってます。ただし地方ってやっぱりまだいろんな大人の目がある中で、子供達のセーフティネットになってる中で、そういうものが実に必要かなと。僕実はそれをすごく感じたのが、田原の家に去年行ったんです。で妹がいて、妹も実はガチ引きこもりなんですね。

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田原:そうですね、もうなんか数年なんか学校行く、行かないみたいなことを、ずっとやってるみたいな。
中村:隣が妹の部屋でずっと笑い声が聞こえてくるんです。
田原:そうですね、なんかずっと喋ってる気がしますね。
中村:妹引きこもりじゃないのって言ったら、友達普通にいますみたいな。
田原:学校で会ったことのない友達とずっと、なんかしらのツールで通話をしているって言うので、何か多分学校行ってないけど学校行ってる人たちと同程度に人と話してるんじゃないかって感じるぐらいですね。
中村:実は今の引きこもりって、昔の引きこもりのイメージとだいぶ変わっていて、ちゃんとネットの向こうには人間関係があります。悪い人もいい人もいます。僕と田原の関係の中で言うと、ネットの中で良い大人にたくさん出会って救われて今ここで喋ることができてるんですよね。
田原:そうですね。完全に引きこもりだった時にあの家を出て、お金もなくて携帯の回線もなくて、東京で本当に一人で部屋もなくてお金もなくて、駅の Wi-Fi とかでツイッターをしていろんな大人と知り合ってお話を聞かせてもらったりみたいな所から、僕の色々が始まってたりするので。僕は親とか学校からとかは、ネットの海に出て人を見たら海賊だと思えみたいな教育を受けてきたんですけど、なんかこういろんな人が話したりする中で、もちろん海賊みたいな人もいるけどそうじゃない人もいるんだなってことを知って、自分だと分からないところもあるので、実際に話したり現実で話してる人にこの人ってどうかなみたいなのを聞いたりとかしながらってことを、ずっとやってきて今いるって言う感じですね。
中村:彼リボルビングでカードでお金調達してたんですねそれを見てた周りの Twitter の大人たちはあの子ヤバいぜって言って、そのリボルビングを止めさせるためにお金を全額貸した、返せっていう人もいたしそういうお金の教育みたいなものをしてくれた大人もいて、それで彼はあるんですよね。って中でネットを規制するのかって言うと規制って難しいと思うんですね。小宮山さんそういう事例どう思われますかね。

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小宮山:選択肢を親が提示できるかどうかなんですよね。選択肢を提示出来るって事は自分が視野が広くないと提示できないんですよ。親じゃなくても大人が周りにいれば、こういうことやってみればとか言えるんですけど、そういう人と繋がらないと結局親しかないわけで、もしくは先生しかいない。その先生や親がきちんと選択肢を与えられるかどうかですごく重要、幸運なことに与えられたわけですよね。
中村:そうですよね選択肢って多分すごい重要な中で、あの僕は全国でこうやって講演をしている中で、引きこもりの子供たちと話すことは多いんですけど、何で学校行かないといけないのっていうのが子供がほぼ納得できてない中で僕はいうのは、例えば VR をやるから僕はもうそれでプログラミングだけ勉強して学校行かなくていいんだっていう子に会うんですよね。そしたら短い人生の中でもこれに熱中してたけど、違うもんやりたいってなったことあるでしょ、今 VR って言ってるけど違うもん出た時それやりたいって思った時に、その選択肢を潰さないために今学校行くんだよって言うと、ほとんどの子行くようになるんですよね。だから選択肢ってすごい大事だなぁと。
小宮山親がその価値を分かってないと潰しちゃうんですよ、VR って何?で終わっちゃうと終わりなんですよね。
中村:VR やってもいいんだけど、新しいものが出てくる時に君は選択できる必要があるんだよっていうことを義務教育の理由としてちゃんと答えてあげれる大人がすごい少ないなぁって言うこと思ったんですよね。情報を取るっていうことが実は選択肢を広めていくし、子供達も色んな物を得られる。ネットで情報とるって言うこと当たり前にしていくことが実は IT 教育の中では一番大事だと思うんです。

筆者はオールドタイプの引きこもりだったので、今の引きこもりはネットで普通にコミュニケーションをとるという話は衝撃でした。やりとりは2ちゃんねるで匿名さんが当たり前だったので、他人と積極的にやり取りするという選択肢は当時存在しませんでしたし、何故学校に行かなければいけないのかも勿論理解していませんでした。
次はリスクが有るなら規制してしまいたいという親目線に対し、実際どうなるかというお話です。

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中村:情報を規制したらどうなるかっていうと、田原は三重県の割と本当に田舎。周りにコンビニとかもない。
田原:徒歩でコンビニ行くのってすごい大変、周り全部山で。
中村:完全に規制されて、親御さんは教育熱心ですごく教育にはお金をかけたりしてる中でスマホも禁止だよね。
田原:スマートフォンは親の目の届く範囲で、指定したアプリしか使ってはいけませんみたいな感じで。インターネットで知らない人と会うどころか話すのすらダメみたいな感じなんですけど。
中村:そういう中で自分で稼いで Amazon で物を手に入れた
田原:そうですね自分でいろいろネットでやってお金を稼いで、Amazon で注文して駅の近くにあったコンビニで受け取って。中1ぐらいから Amazon 使い始めたんですけど、多分そっからの6年ぐらいで一つもばれていないみたいな。
中村:スマホも親に見つからないスマホ
田原:端末色々買ってゲーム機が安かったので PSP で Twitter してましたね。Twitter は中1ぐらいから。
中村:いわば規制したら多分子供って、今の時代乗り越えていけちゃうんですね。そういう中で規制をするだけでは多分うまくやっていけないと思うんですけど、小宮山さんどう思われますか。

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小宮山:うちの家庭は全く規制してないです、フィルターもかけてないです。家の中のリビングで使ってねとは言ってますけれども、それ以外はないです。ただしルールは二人で作りましたね、ルールを作ってきちんと罰則まで作った
中村:そのあたり皆さんちゃんと聞きたいんじゃないですか。
小宮山:ルールを決めるご家庭多いですよね。
中村:でも親が押し付けたんじゃなくて合意形成っていうプロセスを。
小宮山:それも半年ごとに。子供ってすごく成長スピード早いので、1年毎だと追いつかないですね。半年ごとにルールをもう一度見直して、罰則を見直して罰則破ったらきちんと発動すると。発動しないご家庭が多いんですよ。ママもやってるじゃんとか言われて、次からねってなったら強制力ないんですね必ず発動する。
中村:ちなみに罰則ってどんな感じの。
小宮山:ゲームできないとか。今の子供たちのゲームできないって私たちのゲームできると違うんです意味が。ただ単にゲームはできないじゃなくて、友達と会話ができなくなるわけですよ。コミュニケーションがゲームの中なので。

合意形成をしてルールを決める、とても重要ですね。この後のトークで第五中学校では生徒会が中心となって話し合いをしてルールを決めた結果、子どもたちは積極的に守っていると言った実例も紹介されました。

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中村:やっぱりその子供達とちゃんと有益な使い方。でも親が子供たちを有害な情報から守るにしろ、親が結構使いこなせて情報をとって、それを知らなければ多分できないですよね。
小宮山:そのとおりで、 Twitter もインスタも例えば最近出てクラブハウスも何で使ってるかと言うと私自身が使ってないと、子供が使い始めた時に何も言えないんですよね。そことっても重要だと思います。
中村:学習効果を高める上ではスマホ片手に授業中持って、わかんないことはその場で調べるって事はすごい大事なんです。僕はコンサルという仕事をしていて、昔だったらその業界を知るためにすごい勉強量が必要だったんですけど、会議中ググりながらやると、多分3回くらいでだいたいちゃんと仕事になっていく、やっぱりその場で気になったこと、出でくるワードをググるっていうことはすごい学習効果を高めると思うんですがどうですか。
小宮山:習慣をつけるってすごく重要だと思います、分かんなかったらそこからまた自分の潜在的な関心が開かれるかもしれないですね。ここ面白いなとかそうすると数珠繋ぎにどんどん出てくる情報が、それがまた違うところ中にあった情報と結びついてまた違うものになったりとか。
中村:本来的な人間って成長したり新しいことができることって、知識が増えたりすることって喜びだったはずなんですね。現代社会の教育の中でそういうところがなくなっていく中で、実はその検索をその場でして分からない事を調べるっていう事は、好奇心と言うか学ぶっていう事の大事なプロセスの一歩を踏み出せることだと思うんですね。
小宮山:突き詰めると何ができるようになるかって言うと、何でも面白がれる力がつくんですよね。何にでもどんな球がもう来てもですね、自分の中で面白がれるようなものに結びつけることできるんですよね。それやったらも最強ですよ。

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中村:多分小宮山さんとか僕とかって、幅広く仕事をしてる中で多分売れてるそういう人達っておそらくなんでも面白がられるんです。僕もそれがすごい得意で何でも面白くてやれるので、色んな幅広いジャンルの仕事をやれるって言うのは、いわばメタなスキル。今まで単一のスキルを持って専門性のある人が必要だったんだけど、専門性のある一つの事も機械に置き換えられるようになった瞬間に、社会からスポイルされる可能性があるんです。そんな中で面白がれる力を持った人がこれからの時代はいくらシンギュラリティが来ようとも、AIにもロボットにも淘汰されない。今 DX化っていう話がよくありますけど DX化って何かって言うと機械が効率的にできることは機械にさせて、人間しかできないことに人間のリソースは突っ込みましょうっていう話ですね。そういう学びが一番大事かな。
小宮山:よく外遊びが重要って言うじゃないですか10歳ぐらいまで。私もそれはすごく重要だと思っていて、なぜかっていうといろんなものが身につくわけで。五感を使っていろんなものが入ってくるので、そこが刺激になって好奇心の芽が出てくるかもしれないんですよね。ですのでもちろんオンラインでやるのも重要なんですけれども、ぜひ外に出てですね一緒になって学ぶ機会だとか、SUNABACOさんへプログラミングをしにくるでもいいです、同じ道を通るじゃなくて、違う道を通ったりとか。目線を上にする真ん中にする下目線にする。それで全く違ったものが入ってくるんですよね。

この一年筆者も家にいることが多くなり、五感を刺激する機会が減ったなと反省しています。なんでも面白がれるスキル、筆者は飽きっぽい性格なので興味がコロコロ変わるのですが、逆に言えばなんでも面白がれるのかななんて思ったりしました。

おわりに

筆者の教育観が長年アップデートされていなかったので、刺激になる話ばかりでした。いきなり全部実践するのは難しいですが、まずは視野を広くしてコツコツやることを増やしていけばいいのかなと思います。
情報量が多すぎていっぱいいっぱいですが、小宮山さんが講演中に語ったこの話を意識して、日々やっていければいいなと思っています。

こういう話をするとですね、今日明日できることを教えてほしいという風に言われることがあるんですね。ですが世界の動きが分かってないと、大きな地図が分かってないと、どっちに進めばいいかわからないんですね。なので世界の動きをまず理解してから、今日明日のことを考えましょうというふうにいつもお伝えしています。

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