婚活市場の台頭とがめつい女性
女性主導で定着した「婚活」
2008年2月に山田昌弘・白川桃子「「婚活」時代」(ディスカヴァー携書)が発売されて以降、「婚活」という言葉は一時的なブームで終わることなく、着実に社会に定着していっています。
ブライダル総研「婚活実態調査2022」によると、各年に結婚した人のうち「婚活サービス」を利用して「結婚できた」と回答した人は近年増加しており、2021年では15.1%となりました。2013年まで5%にも満たなかったことを考えると、大きな変化です。
また、国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2021年)でもマッチングアプリを含む「ネットで」知り合った夫婦が最近の結婚の13.6%と有力な出会いの手段となっています。一方で、職場や友人を介した結婚が減少しています。
ブライダル総研「婚活実態調査2022」によると、独身者の婚活サービスの利用経験率は、どの年度も女性の利用経験率の方が高いです。(2022年調査では男女差が縮小)
結婚しやすさにおいては男性よりも女性が有利
未婚率の男女差をみると、日本は男性が25.7%、女性が16.4%と9.3ptもの差があります。これは先進国の中で最も大きな差です。日本では、女性全般が結婚しやすく、一部の経済力があって再婚しやすい強者男性に人気が集中しているからだと推測できます。
女性は、結婚に対して愛より損得を求めるようになった
国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(独身者調査)」の「結婚の利点だと思うもの」の時系列推移をみると、男性の方が女性よりも「精神的な安らぎの場が得られる」「現在愛情を感じている人と暮らせる」と回答する比率が上回る一方で、女性では「経済的に余裕がもてる」が一貫して高くなりました。女性は結婚に愛より損得を求めるようになってきました。
婚活で、女性からモノ扱いされる男性
公益財団フォーリンプレスセンター「日本人の結婚観と少子化の特徴」 (山田昌弘・中央大学文学部教授)によると、「収入の相対的に不安定な男性が結婚相手として選ばれない」ということが「少子化対策のタブー」となっていると指摘しています。この欧米では見られない日本や東アジアに特有な傾向だということです。
東京都立大学・高橋勅徳氏は、自身の婚活体験から、現在の婚活市場について「男性会員が商品として陳列棚に並んでいるのに対して、女性はウインドウショッピングを楽しむ」と評しています(高橋勅徳「婚活戦略」)。男性会員は1人の人間ではなく、非人格的な属性(年収、職業、身長など)データとして扱われるわけです。
お金を持っていない男性ほど結婚しにくくなった
総務省「就業構造基本調査」によると、2007年から2017年にかけての男性の年収別未婚率をみると、年収が低い男性ほど未婚率が高いという傾向は強まっており、女性たちは相変わらず、行動面では男性を年収によって選別しています。
日本の男性は女性に経済力を求められる圧を感じている
内閣府「少子化社会に関する国際意識調査」(2020年)によると、日本の男性は、結婚していない理由として「経済的に余裕がないから」と回答する比率が突出して高く、日本の男性が経済力を選ばれることのプレッシャーを感じていることがうかがえます。
変化の兆しも
しかし、国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(独身者調査)」では、女性は「結婚相手の条件として重視する割合」において、2010年から2021年にかけて「経済力」「職業」が減少し、「容姿」「仕事への理解・協力」「家事・育児の能力・姿勢」が増加している。したがって今は過渡期なのかもしれません。
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