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彫刻集


2021年が終わる少し前に、20代のIUちゃんから最後のプレゼントをもらった。それは彼女が20代のうちに書き溜めた自作曲をまとめたmini albumだった。

12/30にリリースされて、何度も何度も咀嚼した今思う…。それはもう、とんでもない傑作だ。
私はやっぱりどんなIUちゃんも好きなんだけれど、彼女の感性が最も好きなんだということを改めて知った作品になった。

雑談


遡ること2021年3月、LILACがリリースされたその時期に私はセットリストを見て首を傾げたことを覚えている。IUちゃんの自作曲が1つも入っていなかったからだ。
というのもそれには背景があって、実はIUちゃんは20代最後のアルバム、20代最後の挨拶とするつもりだと前々から話していた「LILAC」に、"Next Stop"という彼女の自作曲を入れるつもりだと話していたからだ。
Next Stopはリリースこそされていなかったけれどコアなファンから人気の高いIUちゃんの曲であり、早く!音源を早く!という声が多かった物。そんな声にIUちゃんは「次のアルバムの収録を予定しています☝️」と話してくれていたのに、LILACの曲目には見当たらなかった。

後々出たLILACのビハインドで、IUちゃんは簡単に言うと「いらんものをはぶいた」と語っていた。そう、奇しくもNext StopはIUちゃんにとっての「いらんもの」に分類されてしまったのだ。ファンはしばしのお預けを食らっていたのだけれど……流石約束を絶対に守ってくれるIUちゃん。

それが、彼女の20代が終わる直前、12/30にやっと我々の元に届けられたという訳である。涙


Pieces / 感想メモ

収録曲は5曲。
全部、全部良かった。IUちゃんの曲はなんでこう、昔を思い出して切なくなるような、ギュッと胸を掴んで来るのだろう。

まずアルバムカバーが素敵。

収録曲たちを表す一枚の紙が、その曲が作られた時期(dramaであればhold my hand と Friday の間に作られたから「20歳の春」と「MODERN TIMES」の間に挟まっている)に挟まれているイラスト。なんだかすごくIUちゃんぽくて頬が緩んでしまった。カバーアルバムを花の栞の名付けていたりと、IUちゃんにとって人生とか時の流れは本のように積み重なっていく物なのかな。そう考えるとlove poemにだけ栞が付いているのが偶然じゃないような気がしてきて、少し切なくなってしまう。

今回のアルバム、個人的にLove Letterを楽しみにしていた。
この曲は2020年の"ユ・ヒヨルのスケッチブック"でIUちゃんが披露してくれた曲で、その頃は題名もわからなかったのでメロディが気に入って歌詞を調べようとしてもネットでなかなか出てこず、、泣く泣く諦めた思い出のあるこの曲。
蓋を開けてみれば先に逝く者の残された者への手紙という歌詞。
「どこよりもあなたの心の中に私は留まっているから、だから泣かないで」という歌詞があまりにも響いてしまった。
"残された者"の立場であるIUちゃんが、この曲をどんな気持ちで書いたのだろうと思うとすごく切なくなるし、これは個人的な考えだけど、もしかしたら自分にかけて欲しかった言葉を掬いあげて紡いでいったのかもしれない。

そしてやっぱりこの曲はメロディが好み。イントロのギターコードが美しすぎてうっとりした頃に始まるIUちゃんの声。


まだ和訳の歌詞を読む前、通しでこのアルバムを聴いた時にWinter Sleepが1番心に残ったので一目散に和訳を調べるとまさにあの人達へ書いた歌詞だった。
春を数輪折って、夏の星空をコップにすくって、ぎっしりした秋を畳んで(落葉のことかしら?と思った)、真っ白な冬には私の独り言を詰め込んで、君に見せにいきたい、会いに行きたい、抱きしめに行きたいという言葉達。

独り言をつめておいたよ
うまく耐え続けていても
時々我慢なんて忘れて会いたくなるんだ

ここの歌詞が本当に……
"独り言を詰めておいた"という歌詞が本当に……
会いたいその人がそこにいれば、独り言は独り言じゃなくなって、会いたい人がそこにいないからこそ自分の言葉は独り言になってしまう訳で。すごく悲しい一説だと思う。


LILACがIUちゃん20代の表年表のアルバムだとしたら、これは裏年表というか、よりプライベートな気持ちが詰まったアルバムのように感じる。一つ一つの曲が、IUちゃんにとってその時期その瞬間を思い出す栞のような曲なんだろうな。。共有してくれて本当にありがとうという気持ちになる。

戻らない過去を思い出すような、切ないような懐かしいような、悲しいけど暖かいような、彫刻集は私にとってそんな温度のアルバムでした。



追記


今年1番聴くアルバムになってしまうんじゃないかってくらいにpiecesを聴き込んでますが、今はyouが1番のお気に入りです。

親友のユインナさんのために書いた「you」、ソルリのために書いた「peach」の時も思ったけれど、IUちゃんの誰かを大切に思う心は例え恋心であっても友情であってもとにかく切なるものなんだなあと感じた。ユインナさんとの友情は長くて昔からあるものだと思うけれど(マンションも一緒だったし)それでもあることを当然と思っていない歌詞がすごくじんわりと胸に溶けていきました。私もあるものを当然と思わず、大切に大切にしていける人になりたいと思いました、完!

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