トンベリアリ

暖かくなってくると部屋に蟻が入ってくる。
蟻には申し訳ないけれど、
見つける度にティッシュで摘んで成仏してもらっている。

1匹やっても、次から次へと蟻たちは姿を現す。
わたしもやっきになって全ての蟻をティッシュでつまむ。
やりたくない、やりたくないけど仕方がない。
もう何百匹の蟻がわたしの部屋で天に召されたことかわからない。

そんなある日、小さな蟻たちに混ざって、
大きな蟻が部屋に入ってきた。
漂うボス感。

これあれだ、トンベリ100匹倒したら、キングトンベリ出てくるやつだ、
とふと思った。

要するに天に召された蟻たちの憎しみを背負ってボスがわたしの元にやってきたのだ。

ごめんなさい。

そう呟いていつもの10倍くらいの大きさのボス蟻をいつも通りティッシュで摘んだ。

ボス蟻を倒したからと言って、
蟻たちが姿を消すはずもなく、
いつもの通り蟻たちはわたしの部屋を縦横無尽に歩き回る。
そしてわたしに見つかっては天に召されてしまうのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?