ユリーシャ殿下、お言葉。

 私は、深く星間国家間の情勢とガミラスの現状とを振返り、非常の措置によっていまの局面を収拾しようと考え、ここに忠実かつ善良なあなた方ガミラスの人々に申し伝えます。

 私は、ガミラス新政府に対してガミラス帝国隷属下にあるそれぞれの国家および軍に対して、和平宣言を発布するように命じました。

 そもそも、ガミラスの人々の平穏無事を確保し、あまねく星々の知的生命体を救済し、すべての星間国家の繁栄の喜びを分かち合うことは、イスカンダル代々が大切にしてきた教えであり、私が常々心の中で強く抱き続けているものです。

 先のガミラス総統が他の星間国家諸国に宣戦したのも、まさにイスカンダルの考えを忠実に履行し、自国の自立とあまねく星々の安定を心から願ってのことであり、他国の主権を排除して領土を侵すようなことは、もとより本意ではなものと考えます。

 しかしながら、交戦状態も長きにわたり、将兵の勇敢な戦いや全官僚たちの懸命な働き、そして人々の身を捧げての尽力、それぞれ最善を尽くしてくれたにもかかわらず、戦局は必ずしも好転せず、情勢もまたガミラスに有利とは言えません。

 それなのに、なお戦争を継続すれば、ついにはガミラスの人々の滅亡を招くだけでなく、さらには他の文明をも破滅させるに違いありません。

 そのようなことになれば、私はいかなる手段でガミラスの人々を守り、イスカンダルの使命を遂行しえるでしょうか?。

 これこそ私がガミラス新政府に対し和平宣言を発布させるに至った理由です。

 私はあなた方ガミラスと共に終始、あまねく星々の救済に協力してくれた諸国に対して、遺憾の意を表さざるを得ません。

 ガミラスの人々であって戦場で没し、職責のために亡くなり、戦災で命を失った人々とその遺族に思いをはせれば、我が身が引き裂かれる思いです。

 さらに、戦傷を負い、戦禍をこうむり、職業や財産を失った人々の生活の再建については、私は深く心を痛めています。

 考えてみれば、今後ガミラスの受けるであろう苦難は、言うまでもなく並大抵のものではありません。

 あなた方ガミラスの人々の本当の気持ちも、私はよく分かっています。

 しかし、私は時の巡り合わせに従い、堪え難くまた忍び難い思いをこらえ、永遠に続く未来のために大いなる平和な世を切り開こうと思います。

 私は、ここにこうして、この国のかたちを維持することができ、忠実で善良なあなた方の真心を信頼し、常にあなた方と共に過ごすことができます。

 一時の感情の高ぶりから節度なく争いごとを繰り返したり、あるいは仲間を陥れたりして互いに世情を乱し、そのために人としての道を踏み誤り、世の中から信用を失ったりするような事態は、私が最も強く戒めるところです。

 まさに国を挙げて一家として団結し、子孫に受け継ぎ、イスカンダルとガミラスの不滅を固く信じ、任務は重く道のりは遠いと自覚し、総力を将来の建設のために傾け、踏むべき人の道を外れず、揺るぎない志をしっかりと持って、必ず国のあるべき姿の真価を広く示し、進展する世の中の動静には遅れまいとする覚悟を決めなければなりません。

 あなた方は、私の意をよく理解して行動していただきたいとおもいます。