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マラカイト

『マラカイト』
二人用声劇台本(男:女=1:1)
※マラカイト…(宝石言葉)危険な愛情
声劇台本置き場…https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/2441

《登場人物》
・日向(ひなた)…寒いのが苦手。零華が好き。若干依存気味なことも自覚あり。
・零華(れいか)…日向が大切。ガッツリ依存しているけど自覚なし。


《本編》

零華 「日向?泣かないで…私は大丈夫だから……。」

日向 「それのどこが大丈夫なんだよ…。」

零華 「え?前にも言ったでしょ?日向ならいいって。」

日向 「それは…。」

零華 「私、最後まで日向といられて幸せだったよ。」

日向 「…零華?」

零華 「………。」

日向 「ほらね、だから言ったでしょ…僕たちは一緒に居ちゃだめだったんだ。あの時お別れしておけば…。」


日向 「寒いね…。」

零華 「そうだね。」

日向 「もっと寒くなったら、何処か暖かいところに逃げたい。」

零華 「逃げる?」

日向 「うん。寒さから逃げる。」

零華 「逃げなきゃだめなの?ここに、二人で一緒ならなんとかなりそうじゃない?」

日向 「……。僕は、ここに居たくない。」

零華 「そっか…。」

日向 「……。」

零華 「じゃあ、逃げちゃおうか。」

日向 「え?」

零華 「ここから、二人で。」

日向 「いいの?」

零華 「…なにが?」

日向 「ここに…いたいんじゃないの?」

零華 「私一人でいたって寂しいでしょ?」

日向 「ありがとう。」

零華 「どこ行く?」

日向 「特に考えてなかった…。」

零華 「寒くないところってなると限られてくるよね。」

日向 「ぶっちゃけ、暖かい室内に引き込もれるなら寒いところでもいいんだ。」

零華 「えー?じゃあ寒いから逃げたいんじゃなくて、この場所から離れたいってこと?」

日向 「…そうなります。」

零華 「回りくどいなぁー。はじめからそう言えばいいじゃない。」

日向 「僕のこと嫌になっちゃわないかなって…この場所は零華の生まれ育ったところだから。」

零華 「そんなことで嫌いになんてなるわけないでしょ?そりゃあ、それなりに好きだよ?でも日向と離れ離れになるくらいなら、そんなもの捨ててやるよ。」

日向 「急にかっこいいこと言わないで。」

零華 「何いってんの?私はいつでもかっこいいでしょ!」

日向 「……。」

零華 「ちょっと!?無言はやめて。せめてなにか言って。」

日向 「いつもかっこいいよ。憧れなんだから当たり前。」

零華 「ちょ…いきなり褒めるのはナシ!」

日向 「じゃあ今から褒めるって言ってからならいいってこと?」

零華 「んー。そういう事になっちゃうよなー。なんていうの?こっ恥ずかしいじゃん。」

日向 「照れてるの可愛いからもっと照れさせたい。」

零華 「はぁ?やめてよね。」

日向 「やらないよ。今まで僕が零華の嫌がることしたことある?」

零華 「確かに…。」

日向 「でしょ?だから安心してください。」

零華 「いつにする?今週末に寒波来るって言ってたよ?」

日向 「じゃあ明日!」

零華 「え?!明日?!!いくらなんでも急すぎない?」

日向 「寒波来る前の方が荷物少なく済みそうじゃん♪」

零華 「そうだけどさぁ…。せめて明日の夜でもいい?」

日向 「えー。夜だと寒いから嫌だ。」

零華 「じゃあ昼過ぎならいいの?」

日向 「いいねー!明日の昼過ぎ出発で決定だね!」

零華 「準備できたら家に迎えに行くよ。その方がいいでしょ?」

日向 「うん。いつもごめんね、ありがとう。」

零華 「大丈夫だよ。じゃあ、また明日ね。」

日向 「ばいばい。」

零華  次の日の昼過ぎ、迎えに行った家に日向の姿はなかった。部屋の隅にある机の上に一枚の手紙が置いてあった。

日向 〜零華へ。この手紙を読んでるってことは、僕は一人で旅に出たんだね。一緒に行こうって約束したのにごめん。離れるのはとても寂しいし心細いけど、これから先僕と一緒にいることで零華に負担をかけ続けることになる。だから僕のわがままだけど一人でここを離れることにしました。寒くなっても、元気でいてください。ずっとずっと大好きだった。これからもずっと零華は僕にとって特別な存在であり続けるよ。〜

零華 「こんなのずるいよ…。言いっ放しじゃん。私だって伝えたいこと沢山あるのに。」

日向 「僕のこと、忘れないでね。」

零華 「え?日向!?……っているわけないか。もう会えないのかな。」

零華 「………。」

零華 「こんなお別れの仕方なんて、絶対させない。」

日向 (M)今頃手紙見て怒ってるかなー。零華と一緒にいたいけど、僕が甘えちゃうから。大好きな人に嫌われるのが怖い。嫌われてしまうくらいなら離れ離れの方が良い。そう思ったから…一人で出てきたのに。

日向 「零華…僕のこと、忘れないでね。」

零華 「日向ぁ!!!」

日向 「え?!」

零華 「(息切れ)あんたねぇ、私をおいて行くなんていい度胸してるじゃない。」

日向 「どうして?なんで追いかけてきたの?!」

零華 「当たり前でしょ?一緒に行くって約束したじゃない。」

日向 「手紙…。」

零華 「読んだよ!何よあれ!許さないんだから!!」

日向 「…。」

零華 「なんか言いなさいよ。まぁ、何言われたって着いていくから。」

日向 「僕の好きと零華の好きは違うから。ずっと傍にいたいけど、零華がいないと生きていけなくなりそうで…そうなる前に距離取ろうと思ったんだ。」

零華 「そう…。私は、日向が私無しじゃ生きていけなくなっても構わないよ?」

日向 「だってそれはっ…!」

零華 「ん?何?」

日向 「僕に依存してるから…。」

零華 「え?依存なんてしてないよー。」

日向 「じゃあどうして僕のこと追いかけてきたの?僕が居なくても生活できるじゃん。」

零華 「そんなの約束したからに決まってるじゃん。」

日向 「じゃあ、約束取り消し。僕は一人で行くよ。」

零華 「……嫌だ。」

日向 「…?」

零華 「日向と離れるなんて嫌だ!!!」

日向 「僕と居続けると、零華が壊れちゃうかもしれないんだよ?そんなの嫌だよ。」

零華 「壊れる?日向と一緒に居られるなら、なんだって構わない。」

日向 「いいの?僕についてきたら本当にもう戻れないよ?」

零華 「日向の居ない場所で生き続けるなんて無理。」

日向 「僕が今より依存したら…零華を傷つける可能性もあるんだよ?」

零華 「日向が苦しむのは嫌だけど、私に傷をつけるのが日向なら私は幸せだよ。」

日向 「零華……。」

零華 「それで、どこに行くつもりだったの?」

日向 「ははっ…。決めてると思う?」

零華 「やっぱりー?じゃあ、なんとなくで進んでみる?」

日向 「零華がそんな風に言うの珍しいね。」

零華 「日向が一緒ならどこだっていいかなーって。」

日向 「(小声)…地獄でも?」

零華 「もー。どうしたの?」

日向 「ううん。何でもない。」

零華 「それならいいけど。」

日向 (M)僕たち一緒にいない方がいいよ。僕はいつか君のことを壊すどころか殺してしまうだろうから。

END


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