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テーブルマナー

『テーブルマナー』
二人用声劇台本(男:女=1:1)
※リップ音有り。
※行為を彷彿とさせる表現や、事後を示唆する表現があります。
声劇台本置き場…https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/2571

《登場人物》
・アレン…レナの幼馴染。レナに思いを寄せている。レナの家の風習を知り、レナを家から連れ出すと決め、実行する。
・レナ…それなりにお金のある家庭に生まれ育った。アレンと家を出た後に、家の風習(18を迎えた娘は婚約者又は許嫁とまぐわう前に実父とまぐわう。)に対して徐々に嫌悪感を募らせていく。


《本編》

レナ 「私が 14 歳の時。」

アレン 「俺は君を連れ去った。」

【薄暗い部屋の中に動く影。】

アレン 「いい加減諦めたら?」

レナ 「そんなこと言われたって…。」

アレン 「誰もレナのこと探してすらいないんだって、この一年の間何度も言ってるだろ?」

レナ 「それでも、こんなの良くないもの…。私は堂々と一緒にいたいの。」

アレン 「俺は…あんな場所にいつまでもレナを置いておきたくない。…歪みすぎてるだろ?あんなの。」

レナ 「歪んでるの?小さい頃から言われていたから、普通だと思っているのだけど。」

アレン 「ありえないことなんだって、わからないくらい小さい時から言われてたのか…。」

レナ 「詳しくは覚えていないけど、その話をする時はいつもお父様と二人きりで『このことは誰にも話してはいけないよ。何かあれば私に相談しなさい。』って言われていたから、まずお父様に相談してお母様に聞いたりしていたわね。」

アレン 「(小声)…そこがまずおかしいんだよ。」

アレン 「…だからこそ、俺はレナを連れ出したんだ。だから、あの家のことは忘れて生きていこう。」

レナ 「アレンが私を連れ出した理由がわからないわ…。」

アレン 「できるなら、理由がわからないままでいてほしいんだけどな。」

レナ 「……?」

アレン 「俺はレナを傷つけたくて連れ出したんじゃないから。…だから、今は俺を信じて一緒にいてほしい…としか言えないんだ。ごめんな。」

レナ 「どうして謝るの?アレンは私のことを思って行動してくれたんでしょ?」

アレン 「もちろん!!!」

レナ 「それなら、謝らないで?」

―3 年後-

レナ 「アレン、おはよう。今日も外に出てはいけないのかしら?」

アレン 「…ごめん。まだ、我慢してくれ。」

レナ 「あとどれくらいしたら、外に出られるの?」

アレン 「レナ、俺はもう君を家に帰すつもりはないよ。」

アレン (M)帰せるわけがない…血のつながった娘を凌辱しようとする父親のいるあんな場所に。

レナ 「ん?アレン?顔色がよくないけど、どうかしたの?。今日は横になっていて、私が食事も用意するわ。」

アレン 「最近とくに寝らてなかったからな…。お言葉に甘えさせてもらうよ。何かあれば起こしてくれる?」

レナ 「えぇ、わかってるわ。」

アレン 「おやすみ。」

レナ 「おやすみなさい。」

アレン 「(寝息)………。」

レナ 「(小声)少しだけなら外を散歩してもいいわよね。」

レナ  アレンを起こさないように静かに外に通じる扉を開ける。

レナ 「ふぁ〜。風が気持ちいい。どうしてアレンは外に出ちゃ駄目だなんて言うのかしら?別に今更家に帰ろうだなんて思っていないのに…。」

【外の風に当たっていると、後ろからアレンが手を掴む。】

アレン 「っ…!レナ!!!なんで外に出たんだ!早く!早く中に戻るよ!」

レナ 「え?アレン?…ちょっ…痛い。わかったから、そんなに強く握らないで。」

アレン 「ごめん。手、大丈夫?」

レナ 「うん。今は平気。」

アレン 「…。」

レナ 「アレン、どうして外に出ないようにって言ってたの?別に危険ではなかったわよ?」

アレン 「そっ…それは…。」

レナ 「……。」

アレン 「レナは家に帰りたいんじゃないかって、でもあんな所に帰ってほしくなくて…。助けたつもりでもレナにとって俺は…ただの誘拐犯だから。」

レナ 「私ね、家に帰る気はもうないのよ?」

アレン 「え…?」

レナ 「だって、大好きなアレンと一緒に暮らしてるんだもの。」

アレン 「レナ…。ごめん。」

レナ 「どうして謝るの?私を連れ出したあの日からずっとそうよね。」

アレン 「いや、俺はレナの意思を無視した。それでよかったのかって考えてしまうんだ…。」

レナ 「私を思ってしてくれたんだって、わかってるから大丈夫よ。」

アレン 「ごめん。俺は…レナと離れたくないんだ。お願いだから、何も言わずに俺のそばを離れないでくれ。」

レナ 「もう一人で外に出ようなんてしないわ。外出する時はアレンと一緒がいい。」

アレン 「ありがとう。それと外出する時は日が落ちてからにしよう。」

レナ 「私ね、家でのしきたりのこと…たまに思い出すの。」

アレン 「あれはもう忘れろって何度も言ってるだろ?」

レナ 「(前の台詞に被って)あのね…。あの時アレンが言ってた意味、わかった気がするの。歪だって、言っていたでしょ?」

アレン 「あ、あぁ…。そうだな。」

レナ 「お父様と話してる時の顔を思い出した時に…とても怖くなったの。実の親にこんな感情おかしいと思うけど、気持ちが悪かったの。」

アレン 「レナ!もう思い出さなくていいんだ。忘れろ!あいつらがおかしかっただけだ!そのせいで…。」

レナ 「アレン…。あの時連れ出してもらっていなかったら…今頃私は…。」

アレン 「(前の台詞に被る)やめろ!それは言葉にしちゃだめだ。何もなかったんだろ?それならいいんだ。」

レナ 「アレン、ごめんなさい。」

アレン 「え?なんで謝るんだよ…。」

レナ 「最後まではしていないけど、触られたり触ったりは…してたの。」

アレン 「………!?」

レナ 「それも思い出して…私、汚いなって…。」

アレン 「レナは汚くなんてない。あいつが…あいつのせいなんだから!レナ、大丈夫。俺はレナを汚したりしない。大切にする。ただ一緒にいてくれればそれでいいんだ。」

レナ 「アレン…。お願い、今日から同じ布団で寝てくれない?」

アレン 「えっ?どうして…。」

レナ 「思い出しちゃうの…だから、アレンが近くにいてくれたら落ち着いて寝られるかなって。」

アレン 「……。」

レナ 「ごめんなさい。いきなり…だめよねこんなの。忘れて?」

アレン 「いや、ごめん。俺レナのこと好きだから、一緒の布団だと自分が止められなくなりそうで怖いんだ。だから…ごめん。」

レナ 「じゃあ布団は別で、隣に寝るのはいい?」

アレン 「…。あぁ、わかった。」

レナ 「ありがとう。」

アレン 「じゃあそろそろ寝ようか?」

レナ 「うん、今日はちょっと疲れちゃった。」

アレン 「レナ…おやすみ。」

レナ 「おやすみなさい。」

アレン 「………。レナ、起きてる?」

レナ 「(寝息)………。」

アレン 「ふぅ…考え過ぎだよな。俺もちゃんと寝ないと。」

レナ 「…っ!!!!いやぁぁぁぁぁあー!!!!(泣き叫ぶ)」

アレン 「!!?レナ?どうしたんだ、レナ!」

レナ 「いやっ、やめて!私に触らないで!!近寄らないで!!!」

アレン 「レナ、俺だよ。アレンだよ。しっかりしてくれ!」

レナ 「え…あれ?アレン?ここって…あぁ、そっか。」

アレン 「どうしたんだ?怖い夢でも見たの?」

レナ 「えっ…あ…。うん。」

アレン 「話したくないなら無理に言わなくていいよ。今朝は何か温かいものでも食べようか。」

レナ 「えぇ…。」

アレン 「大丈夫…じゃないよね?一緒に行く?それとも少しの間だけでも一人の方がいい?」

レナ 「あっ…ええっと…。少しだけ…一人になりたい。」

アレン 「わかった。じゃあ、支度ができたら呼びにくるよ。」

レナ 「ありがとう。」

レナ 「何あれ…あんなことされてないのに…。もし、もしもまだあの家にいたら今頃私は…。嫌よ…あんなの。」

【アレン、食事の準備しながら】

アレン 「んー。レナ、どうしたんだろう…。あの悲鳴は只事じゃないと思うんだけど…。やっぱり、俺が連れ出したことでストレスが蓄積されてるんだろうな…。昔のことも最近思い出すようになったって言ってたし。あの時レナを連れ出したこと、後悔はしていないけど…。レナ…。」

【扉ノック音(可能であれば音出してください。)】

アレン 「支度できたぞ。………レナ?」

レナ 「あぁ、ごめんなさい。今行くわ。」

アレン 「……。」

レナ 「アレン?そんなに私の顔見てどうしたの?」

アレン 「あとで散歩にでも行こうか。」

レナ 「えっ…でも、外出する時は日が落ちてからにしようって…。」

アレン 「大丈夫。ここの周りを少しだけなら…。」

レナ 「わかった。」

アレン 「じゃあ、ご飯食べよう。いただきます。」

レナ 「うん、ありがとう。いただきます。」

アレン 「ごちそうさま。」

レナ 「ごちそうさまでした。」

アレン 「片付けしてくるから、レナは散歩の準備しておいで?」

レナ 「ありがとう。」

アレン 「レナ?片付け終わった。準備はできてる?」

レナ 「ありがとう。えぇ、もちろんよ。ほら、アレンの上着も持ってきたの。」

アレン 「あぁ、ありがとう。出てすぐ段差あるから気をつけて。」

レナ 「ふふっ、大丈夫だよ。」

アレン (M)レナ、やっぱり変だ。なんの夢見たのか気になるけど…自分で言わないってことは言いたくないんだろうし…。

レナ 「ねぇ、どうして急に散歩しようって誘ってくれたの?」

アレン 「えっ?気分転換になればいいなと思ったんだけど…気乗りしなかったか?」

レナ 「ううん、嬉しい。ありがとう。」

アレン 「……。」

アレン 「今朝のことなんだけど…。」

レナ 「うん…。」

アレン 「どんな夢見たのか、聞いてもいいか?」

レナ 「えっ…それは。」

アレン 「言いにくいことなんだと思うけど、ずっとレナが苦しんでるの見ているだけしかできないのが辛いんだ。」

レナ 「アレン…。」

アレン 「…。」

レナ 「…。わかった。話すわ。家に…帰りましょ?」

アレン 「わかった。」

レナ (M)夢のこと…話したらアレンは私を嫌いになってしまわないかしら…。こんな…汚れた私を、大切にしたいって言ってくれたけど。私は…大切にされるような資格なんて、あるのかしら。

アレン 「ホットミルク…飲むか?」

レナ 「ううん。いらない。」

アレン 「わかった、…隣座るぞ。」

レナ 「あ…あの…。」

アレン 「うん。」

レナ 「…えっとね。」

アレン 「慌てず、レナのペースで話してくれればいいから。」

レナ 「ありがとう。夢に…お父様が出てきてね…その、シてたの…。」

アレン 「…!!?」

レナ 「実際そんなことしてないのよ?信じて。」

アレン 「っ…あぁ、信じるよ。」

レナ 「凄く嫌だったの…怖かったの。助けてって、私に近づかないでって…。」

アレン 「……。」

レナ 「それでも周りには誰もいなくて…。妙にリアルで…実は私が記憶から消してるだけで、事実なんじゃないかって…。自分がものすごく汚く感じて。」

アレン 「そんなことない。」

レナ 「嫌なの…気持ち悪いの。自分の体が…。」

アレン 「話しくてれてありがとう。言うの辛かっただろ。ごめん。」

レナ 「ううん。」

アレン 「何があったって、俺の気持ちは変わらない。」

レナ 「本当に?こんな私でもいいの?」

アレン 「レナがいい。レナだから好きなんだ。」

レナ 「あのね…お願いがあるの…。」

アレン 「ん?なんだ?」

レナ 「抱いて…くれないかな?」

アレン 「え?…抱くって…何言ってんだ?俺はレナを大切にしたいって言っただろ?」

レナ 「(前の台詞に被って)それなら!………お願い。もうあんな夢見ないくらい、書き換えて…上書きしてほしいの。」

アレン 「……レナ。」

レナ 「ごめんなさい…。嫌よねこんな形でなんて、私もアレンが好きだから…。でも、今のままだともっと酷くなって…出来なくなると思うの…。私が、自分が嫌になってきてるから。」

アレン 「俺の気持ちは絶対変わらない!」

レナ 「それなら、お願い…。」

アレン 「……本当にいいんだな?」

レナ 「うん。」

アレン 「後悔…しない?」

レナ 「絶対しない。」

アレン 「わかった。」

アレン (M)こんな形でレナを抱きたくはないのが本心だ。…でもレナが望むなら。

レナ (M)利用するなんて…本当に私ってどうしようもない。

アレン 「レナ、痛かったり怖かったら言うんだぞ?」

レナ 「…うん。大丈夫だよ。」

アレン 「今日は触るだけにするか?」

レナ 「ううん。最後まで…して?」

アレン 「…っ!わかった。(小声)どこでそんな煽り方覚えたんだよ…。」

レナ 「アレン。」

アレン 「ん?どこか痛む?」

レナ 「ううん、大丈夫。」

アレン 「そっか、よかった。」

レナ 「…もう一回してほしいな。」

アレン 「えっ…それはレナの体が心配なんだけど…。」

レナ 「繋がってる時…凄く安心したの。だから…お願い。」

アレン 「…っ!ちゃんと嫌だったり怖かったり、痛い時は言うんだぞ?」

レナ 「ふふっ。大丈夫よ、ちゃんと言うから。」

アレン (M)結局俺はレナを何度も抱いた。アイツと変わらないどころか…。汚さないと言っておきながら…。糞みたいな人間だ。

レナ 「アレン…。」

アレン 「ん?どうしたんだ?」

レナ 「まだしたいって言ったら…嫌いになる?」

アレン 「え?……嫌いになったりしないけど、したいの?」

レナ 「うん。今度はさっきみたいに優しくしなくていいから…。」

アレン 「…そんなの俺には無理だよ。さっきより優しくする。」

レナ 「え?」

アレン 「戸惑うレナも可愛い。(キス)」

アレン 「おはよう。」

レナ 「……。」

アレン (M)ぐっすり寝てる。もうあんな辛い思いをするような夢、見なくなるといいけど。

レナ (M)夢を見るのが怖くて眠れなかった…。アレンがあんなに優しく何度も抱いてくれたのに。まだどうしても怖い。

アレン 「朝ごはん作ってくるな。(キス)」

レナ (M)ごめんなさい。アレンの気持ちを利用して…。大好きな人と触れ合えたのに、怖い…。もっと、もっともっともっと…私を染めて。もう他の色に染まらないくらいに…。

レナ 「(小さく)ごめんなさい。」

【アレン、二人分の食事を持っている。】

アレン 「レナ、おはよう。朝ごはん持ってきたよ。起きられそう?」

レナ 「おはよう。なんか眠れなくて…。」

アレン 「うーん。じゃあご飯はあとにして一緒に寝ちゃおうか。」

レナ 「えっ?う、うん。」

アレン 「俺いない方が寝られる?」

レナ 「そんなことないっ!一緒にいて。」

アレン 「もちろんだよ。ご飯持ってきておいてよかった。起きたら部屋で一緒に食べよう。」

レナ 「本当に一緒に寝てくれるの?」

アレン 「え?そのつもりだったけど…どうして?」

レナ 「お腹すいてない?」

アレン 「大丈夫。それにレナと一緒に食べたいから。」

レナ 「……んっ。そっか。」

アレン 「ほら、一緒に寝よう?」

レナ 「うん。おやすみなさい。」

アレン 「おやすみ。」

アレン (M)あんな夢を見てしまうくらい精神的に参っていたのに、気付かなかった。夢を見ること眠ることが怖くなってしまってる。俺はただ傍にいるしか出来ない。なんて無力なんだろう。

レナ (M)アレンはとても優しい。それが今の私には苦しい。

レナ 「(目が覚めて)眠れた…夢も見なかった。」

レナ (M)ありがとう。

アレン 「(目が覚めて)んっ…。あれ?レナ、おはよう。そんなに俺の顔見てどうした?もしかして寝られなくてずっと見てたりした?」

レナ 「ううん。寝られたよ。アレンのお陰だね、ありがとう。」

アレン 「別に俺何もしてないよ。ただ一緒に寝てただけ。」

レナ 「それでも…ありがとう。」

アレン 「よしっ!ご飯食べようか。」

レナ 「うん。いただきます。」

アレン 「いただきます。」

レナ 「ごちそうさまでした。」

アレン 「ごちそうさま。」

レナ 「片付け、私も行くわ。」

アレン 「レナ危ないから持つよ。(食器が落ちて割れる)…!!?」

レナ 「きゃっ…!」

アレン 「大丈夫?怪我してない?見せて。」

レナ 「大丈夫だよ。片づけるもの増やしてごめんなさい。」

アレン 「いいよそんなこと。大丈夫そうだね。」

レナ 「……あっ!アレンの指が怪我してるじゃない!(指の血を吸う or 舐める。)」

アレン 「何してんだよ。汚いからやめな。」

レナ 「汚くない。」

アレン (M)なんだろうこのゾクゾクする感覚…。俺の血がレナの中に入って一つになっていくみたいだ。

レナ 「血止まった。傷が深くなくて良かった。」

アレン 「……。」

レナ 「……。」

アレン 「じゃあ俺片づけてくる。レナは危ないから部屋に居てくれる?」

レナ 「……わかった。ありがとう。」

アレン (M)レナ、突然あんなことしてどうしたんだ…。でも、俺の血がレナの中に入ったと思うと興奮するなぁ。もっとレナの中に入りたい。どうすれば…。

アレン 「痛っ…。しまった…ぼーっとしてた。(自分の血を見て)…あっ、料理に入れればいいんだ。」

レナ 「アレンの血が…私の中に。こんなに心が満たされてるなんて、私はやっぱりおかしいのかな…。もっともっと…アレンと一つになりたい。」

アレン 「(ドアのノック音)レナ、戻ったよ。」

レナ 「あっ、怪我大丈夫?」

アレン 「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」

レナ 「それなら良かった。また怪我したら教えてね?手当するから。」

アレン 「そのくらい子供じゃないんだから、自分でできるけど。」

レナ 「私がやりたいの、だめ?」

アレン 「じゃあ近くに居るときはお願いするよ。」

レナ 「ありがとう。わがまま言ってごめんなさい。」

アレン 「大丈夫。気にしなくていい。」

レナ 「(小声)これでまた血が飲めるかな?」

アレン「ん?何か言った?」

レナ 「ううん!なんでもない。」

レナ (M)…聞こえてないよね?

アレン (M)レナ…『血が飲める』って言ってたけど、俺の血が飲みたいってことか?…いや、流石に聞き間違いだろう。どれだけ自分の血を飲んでほしいんだよ。

アレン 「(溜め息)気持ち悪い…。」

レナ 「体調悪いの?大丈夫?」

アレン 「え?大丈夫だよ。」

レナ 「心配だし、今日は休んで?」

アレン 「いやでも…。」

レナ 「もしかして、家事の心配してる?花嫁修業はしてたんだから、大丈夫よ。任せて!」

アレン 「わかった。じゃあ、お願いするよ。」

レナ 「後で部屋来るね。」

アレン 「うん、ありがとう。…(寝息)」

レナ 「ふふっ、もう寝てる。」

レナ 「私のアレンへの気持ちは歪んでる。わかってる。でも今更どうすればいいの…。」

アレン 「(寝息)」

レナ 「好きになってごめんなさい。…好きになってくれてありがとう。」

レナ 「大好きよ。これからもずっと。」

アレン 「んっ…んん。」

レナ 「(寝息)」

アレン 「レナ…、こんなところで寝たら風邪引くぞ。」

レナ 「(寝言)…アレン。」

アレン 「ん?どうした?」

レナ 「(寝息)」

アレン 「なんだ、寝言か。…俺のことばかり心配してるけど、自分のことも大切にしてくれよ。」

レナ 「やめて…。うるさい…うるさい、うるさい!アンタに何がわかるのよ!…今私がこんなにおかしくなってるのはアンタのせいじゃない!…やめてよ。私はアンタとは違う。やめて…。」

アレン 「…ナ、レナ!」

レナ 「……。」

アレン 「レナ?」

レナ 「…ごめん。こんなにおかしくなってるのに、好きなままで…。ごめんなさい、ごめんなさい。」

アレン 「どんな夢見たのかわからないけど、俺はどんなレナでも好きだ。俺のこと好きなままでいてほしい。」

レナ 「…でも。」

アレン 「レナは自分のこと「おかしい」なんて言うけど、そんなことない。俺の方が小さいときから壊れてて歪なのに、レナにはそんなとこ見せたくなくて…。」

レナ 「そんなことない。アレンはずっと優しいよ。」

アレン 「「あはははははっ!優しくなんて無いよ。俺が優しく見えてるんだとしたら、レナに対してだけ。」

レナ 「……。」

アレン 「大切なんだ、自分よりも。失いたくないんだ。」

レナ 「本当にどんな私でも好きでいてくれる?」

アレン 「当たり前だろ。むしろ俺が嫌われそうで怖いくらいなんだから。」

レナ 「…あのね。」

アレン 「うん。」

レナ 「アレンが怪我した時に血を(舐めた、吸った)でしょ?」

アレン 「あぁ。」

レナ 「あの時に「アレンの血を飲みたい」って思っちゃったの。」

アレン 「えっ…。」

レナ 「気持ち悪いよね、ごめんね。」

アレン 「(小声)…飲んで欲しい。」

レナ 「……。」

アレン 「レナに俺の血を飲んでほしい。」

レナ 「本気で言ってるの?」

アレン 「俺がこんなこと冗談で言うわけ無いだろ?」

レナ 「それは…そうなんだけど。」

アレン 「俺もあの後、自分の血をレナに飲んでほしいって思った。でもそんなこと直接言えるわけ無い。だから料理に混ぜてしまおうと思ったんだ。」

レナ 「そんなことしようとしてたの?」

アレン 「ごめん。」

レナ 「……。」

アレン 「俺の方が気持ち悪いことしてるだろ。」

レナ 「ううん、同じ気持ちでいてくれてたことが嬉しい。」

アレン 「そうか?」

レナ 「私は変わらずアレンのことが好きよ。」

アレン 「俺もレナのこと好きだ。」

レナ 「……アレン。」

アレン 「なに?」

レナ 「あのね…アレンの血を、飲みたいの。」

アレン 「いいよ。(指を切る)くっ…。」

レナ 「アレン?!」

アレン 「ほら、飲んでいいよ。」

レナ 「………。」

アレン 「どうしたの?」

レナ 「ごめんなさい。」

アレン 「どうして謝るの?俺がレナに飲んでほしいんだから、嬉しいんだよ。」

レナ 「違うの…。傷、つけなきゃいけないでしょ?痛い思いさせちゃって…ごめんなさい。」

アレン 「なんだ、そこか。全然気にしなくていいのに。言っただろ?俺が、飲んでほしいからやってるんだって。」

レナ 「うん…。」

アレン 「ほら、飲んで。」

レナ 「…ありがとう。(血を飲む)」

レナ 「ごちそうさまでした。…ありがとう。」

アレン 「俺も、ありがとう。」

レナ 「また、飲んでもいい?」

アレン 「今?」

レナ 「流石に違うよ。」

アレン 「ははは、そっか。」

レナ 「…飲んでほしいの?」

アレン 「そんなこと…無いと思うぞ?」

レナ 「そうなの?ふふふっ。また、血ちょーだいね。」

アレン 「いつでもどうぞ。」

レナ 「アレン。」

アレン 「ん?」

レナ 「あの時、私をあの家から連れ出してくれてありがとう。」

アレン 「あれは俺のエゴだよ。」

レナ 「それでも…ありがとう。」

アレン 「ずっと隣にいてくれてありがとう。俺、幸せだ。」

レナ 「私も今、すっごく幸せだよ。ありがとう。」


END

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