墓石に誓う愛
『墓石に誓う愛』
二人用声劇台本(男:女=1:1)
※リップ音あり。
声劇台本置き場…https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/2557
《登場人物》
・乙山 廉(おとやま れん)…死んでしまった。香純が好き。
・池田 香純(いけだ かすみ)…廉(れん)の幼馴染。廉が好き。
《本編》
香純 「いつか…お別れが来ることはわかっていたはずなのに、私はあなたが隣にいることが当たり前になってしまっていた。あなたという存在は消えてなくなってしまったけれど、私の中で思い出として生き続ける。今までもこれからもずっと…愛しています。」
〜回想〜
廉 「3,2,1、あけましておめでとう!今年もよろしく。」
香純 「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」
廉 「なんか改まって言われると、照れくさいな。」
香純 「そう?もう何年もやってるから気にならないけど。」
廉 「来年もこうやって挨拶出来るといいな。」
香純 「なに急にしんみりしてるの?やめてよ、調子狂うじゃんw」
廉 「いや、なんとなくだし。調子狂うってなんだよー!」
香純 (M)この時から私に隠してたの?
廉 「香純、誕生日おめでとう♪」
香純 「ありがとう。」
廉 「今年もなにプレゼントすればいいかわからなかったから、手紙とお菓子詰め合わせ♪」
香純 「なんだかんだで毎年恒例みたいになってるし、廉から貰えるなら何でも嬉しいよ。」
廉 「俺から貰えるなら何でも嬉しいなんて…。さては、香純俺のこと好きだろ?」
香純 「え?好きだよ。」
廉 「…え?!」
香純 「ん?何でそんなに驚くの?」
廉 「だってそれ…告白。」
香純 「はぁ?告白じゃないし。人として好きってこと!」
廉 「人として?なぁーんだ、俺の勘違いかぁ。残念♪」
香純 「残念って…それ、廉も私のこと好きってこと?」
廉 「さぁね?てか、『も』?」
香純 「いい間違えただけだよー!もう、私のことからかって遊ばないで。」
廉 「香純のこと好きだよ?」
香純 「っ?!!!」
廉 「照れてて可愛い。」
香純 「また、そうやってからかうんだもんなぁー。」
廉 「からかってる訳じゃないんだけどなぁー。」
香純 (M)やり取りが出来ることが当たり前になってた。
廉 「かーすーみー。」
香純 「なによ?」
廉 「バレンタインチョコくれないの?」
香純 「は?」
廉 「だってほら、毎年くれるじゃん。俺、香純がくれたやつが一番嬉しいんだよねー♪」
香純 「もう、調子いいんだから。」
廉 「それで、くれるの?くれないの?」
香純 「今年も渡すために用意してあるってば!」
廉 「よっしゃー!ありがとな。」
香純 (M)私からのが一番嬉しい…なんて、嬉しかったなぁ。
廉 「はい、これ。」
香純 「なにこれ?」
廉 「バレンタインデーのお返し。今日ホワイトデーだろ?」
香純 「そっか、今日ホワイトデーだったね。」
廉 「お礼はちゃんとするタイプだからなぁー、俺。」
香純 「毎年ありがとう。」
廉 「毎年バレンタインでチョコくれてるから、お返ししてるんだし俺の方こそありがとう。」
香純 (M)バレンタインデーなんて私の自己満足なのに、毎年お返しくれて嬉しかった。
廉 「か・す・み♪」
香純 「なに?」
廉 「今日は何の日でしょうかっ!」
香純 「んー?何だったっけ?」
廉 「え?香純それ本気で言ってる?」
香純 「何が?」
廉 「マジかぁ…。」
香純 「もう、はいこれ。」
廉 「これ…って。」
香純 「廉、誕生日おめでとう。」
廉 「俺の誕生日忘れられちゃったのかと思ったー。」
香純 「私が廉の誕生日忘れるわけないでしょ?毎年お祝いしてるんだから。」
廉 「それはそうだけどさぁ…。」
香純 (M)もう一緒に誕生日お祝いすることも出来ないんだもんね。
廉 「おい、そんな顔すんなよ。」
香純 「(泣いてる)だって…。」
廉 「前からわかってたことなんだ。香純にはなかなか言えなかったけど、何も伝えられずにいきなり別れることになったら後悔すると思ったから。」
香純 「後悔?」
廉 「もうすぐ死んじまう俺がこれを伝えることで、香純を苦しめることになるのはわかってる。でも…伝えられずに死にたくないんだ。」
香純 「え?」
廉 「俺、香純のこと好きだ。小さいときから…ずっと。」
香純 「私のこと好き?…廉が?」
廉 「そうだよ。俺が香純のこと好きなの。」
香純 「冗談…じゃないよね?」
廉 「流石の俺でもこの状況で冗談言ったりしないよ。」
香純 「そうだよね…。」
廉 「……ごめん。」
香純 「どうして謝るの?」
廉 「俺、もうすぐ死ぬのに…好きなんて言われたら忘れられなくなるだろ?」
香純 「そうだね…。」
廉 「気持ち伝えたかったのもあるけど、香純に忘れられたくなかったんだ。こんな形でしか気持ち伝えられなくてごめん。」
香純 「ううん。好きって言ってくれてありがとう。」
廉 「……。」
香純 「…私も廉が好き。」
廉 「あははっ、『人として』だろ?」
香純 「違うよ?」
廉 「えっ…、前にそう言ってたろ?」
香純 「あの時は…恥ずかしかったから、はぐらかしたの!」
廉「 マジか…。」
香純 「だから、おあいこ。」
廉 「あぁー。両思いだったのかぁ、俺達。」
香純 「そうだったみたい。」
廉 「もっと早くに気 ち伝えられてたら、デートしたり色々出来たのになぁ…。」
香純 「『色々』って何考えてんの?」
廉 「え?そんなの決まってんじゃん?」
香純 「サイテー。」
廉 「香純、なに想像してんの?」
香純 「はぁ?知らない!」
廉 「あのさ。」
香純 「ん?」
廉 「明日もこうやって話ししに来てくれるか?」
香純 「当たり前じゃん!来るなって言われても来るんだからね!」
廉 「あはははっ!ありがとう」
香純 「じゃあ、帰るね。」
廉 「あっ、香純。」
香純 「なに?」
廉 「キス、したい。」
香純 「いきなりどうしたの?」
廉 「こんなこと考えたくないけど、今日死んじまうかもしれないから…。」
香純 そんなこと…言わないでよ。」
廉 「ごめん。」
香純 「じゃあ、廉からキスして。」
廉 「えっ……。(リップ音)」
香純 「……。」
廉 「…。」
香純 「なんか言ってよ…。」
廉 「明日も明後日も、香純のこと大好きだ。」
香純 「ちょっ…。私もずっと大好きだよ。」
廉 「また明日会おうな。」
香純 「うん、また明日来るね。」
廉 「気をつけて帰れよ。」
香純 (M)この時が廉との最後の会話だった。
〜回想終〜
香純 「廉とお別れしてから、毎日悲しくて寂しくて。それでも時間は今までと変わらず過ぎていくことが、残酷だと…何度も思った。でも私は、この素敵な思い出に抱かれたまま…。いつかまた会った時に、私の経験した楽しい事を沢山お話しよう。大好きだよ…廉(れん)。」
END
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