2023/10/9(Mon.)すみいき活動レポート
久々の更新です!
みなさん、2023年度の夏は良い自然体験活動に触れることができたでしょうか?
今回は澄川に活動拠点を置く、澄川精進緑化美化の会のみなさまが主催する、精進川サクラマス鑑賞会に隊員の皆さまと参加してきました。
同じ澄川に活動拠点を置く団体との交流も含め、澄川×ホタルに起点を置く本隊の活動を見直す良いきっかけとなりました。
以下、活動レポートご覧ください。
精進川の歴史を学ぶ(座学)
中の島・平岸・澄川を縦断して流れる澄川の歴史は戦前1930年ごろに遡ります。
このタイミングで豊平川の改修が完了し、豊平川分流が現在の精進川として独立した河川となりました。
当時、精進川への取水は転倒ゲート(壁のようなもの)で行っており、住民にとっては「排水路」として利活用されていた過去があるようです(冬期間勝手に住民が雪を捨てたりする場所でもあった。。。)
1971年には豊平川への放水路(コーチャンフォーミュンヘン大橋付近)の建設、下流域の護岸工事を経て、1992年に精進川は多自然型工法を用いた河川再改修となりました。
1997年に転倒ゲートでの取水から、自然取水に切り替え、2000年にさしかかるタイミングで精進川河畔公園が整備されていきました。
水が枯れてしまう時期もあった精進川には、生き物の影を見ることができませんでした。しかし、中の島の団体の方々が取り組まれたヤマメの放流事業から、少しずつ様相が変わります。
最初は放流から始まったこの取り組みですが、地域の皆さまたちの活動に支えられ、今のような多様な生き物に出会える場となっています。
生き物との触れ合いはどうしても“今”に焦点が当たりがちです。今見たい、今触りたい、今写真に撮りたいなどなど。
自然観望をする前にこういった背景をインプットしておくことで、色々な部分に想像が働くようになります。
フィールドワーク(精進の滝)
毎年、ヤマメの放流事業が行われている精進川河畔公園にもたくさんのサクラマスが戻ってきています。
春に海洋から戻ってきた個体は、河川域で摂食しないそうです。海洋で蓄えた栄養を振り絞りながら、この秋の産卵時期まで自分が生まれた河川に戻り、良い産卵場所を探しているのですね。
体にたくさんの傷を負ったサクラマスが、次世代を繋ぐために必死に生きている姿からは、生命の連続性を強く感じることができます。また、息絶えたサクラマスを食べるカラスの姿も見られ、食物連鎖のリアルを感じることもできました。
フィールドワーク(精進川取水口)
精進川の取水口はビッグハウス平岸店の裏側にあります。上述の転倒ゲートで取水していたものを自然取水に変更した話を思い出しながら、担当の方の話を聞くことができました。
「水流速の小さな精進川には小さな土砂が溜まり、高低差が減って自然取水が難しくなっている」
というお話しは、精進川存続にかなり重要な指摘でした。川底の土砂を除去すれば良いものですが、こちらにも莫大な費用が生じてしまいます。
フィールドワーク(精進川→豊平川放水路)
放水路を上流側から下流側に移動すると、サクラマスの遡上を阻害する大きな関門があります。サクラマスは運動能力が非常に高く、2m程度の高さの滝であれば登ることができるそう。
ただ、それをはるかに超える滝はサクラマスが精進川には戻ることを妨げています。
こういった工事の後は日本にもたくさん見られるようなのですが、魚道を設置することで課題をクリアしているよう(ただしこれにも数億円単位の予算が必要。。。)。
豊平川との合流地点にも少なからず関門はあって、登りたいのに登れないサクラマスが合流口でウロウロしている姿がたくさん目に入りました。
里山的視点でどれぐらいものごとを捉えられるか
いつもは自然観望・生き物採集をして活動を終えるすみいきでしたが、今回参加させていただいたプログラムは人が自然と関わっていけば良いのかを強く考えさせていただく大事な機会となりました。
「サクラマスの環境を整える」ということに対して、限られた予算の中で、どれだけ力を注げるのか。また、その用途について納得してもらえる説明ができるのか。みなが等しく当事者である”環境分野“が抱える1つの課題がここにあるのだと改めて認識しました。
こういった想いを一旦受け止めながら、どうやって解釈していったら良いかを考えていくのが市民活動なのかもしれません。
Living in Harmony with SUMIKAWA Nature.
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