日本の国石-ヒスイ女神の美しさとは

糸魚川市のご当地キャラクター「ぬーな」は、「奴奈川姫」の姫キャラで、
出雲の「大国主」との日本最古のラブストーリーでも知られる。

特に『古事記』の「大国主」から「奴奈川姫」へのプロポーズは有名だ。
けれど、高志(越)国側の資料(『天津神社並奴奈川神社』
『西頸城郡郷土誌稿』『北安曇郡郷土誌稿』)の記録はこうだ。

奴奈川姫の結婚は上手くいかず、最終的に、大国主の元を逃れ、
故郷で「自殺」した。(もしくは隠れ住んだ)

ここでの結婚の目的は、きわめて政略的。
大国主は「翡翠の玉」の、人の心を魅了する力を知っていて、
奴奈川姫の統治する翡翠産出の地と、その加工技術を手に入れたかった。

鉄(武力)をもった大国の主の求婚に、
玉(魅力)を産み出す地方の姫がNoを言えるはずもない。

求婚を一晩引き延ばすくらいが、せいぜいである。
このロマンスも結局は、何度となく繰り返されたパワーゲームだ。

けれども、目を向けるべきは、婚姻を受け入れるほどの覚悟の姫が、
大国を逃れ、身を隠してまで何を守りぬきたかったのか。

奴奈川姫伝説を深く知ったものは、ここに行きついて考えるだろう。

翡翠の玉の姫の本当の美しさとは、富や権力や歴史のうねりにも
決して奪われない自己尊重の精神だったのだと思う。

日本の国石でもある翡翠。
日本女性の美しさが、このような「芯のある自己愛」に基づいていると考えれば、体の奥底から力が湧いてくる。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?