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肉まん

肉まんが好き。

これは子どもの頃から変わらないことの一つ。


袋をあけると、白い湯気がもうもうと立ち込めて私と肉まんを隔てる。外側の部分は、ふわふわで少し湿っているくらいがいい。指先の熱さを我慢しながら気合いを入れ直して「えいっ」と割ると、お肉の旨味を含んだ湯気が私の鼻をくすぐる。

ここまで来たら後は夢中でかぶりつくのみ。噛めば噛むほどに旨味を増すお肉と、それを包み込む外側の花巻。もう最高だ。いつ食べても思わず笑顔になってしまう。


私が小さい頃、父が毎週のようにスキー場に連れて行ってくれた。そのロッジで食べる肉まんは特別好きだ。スキーで体が芯まで冷えたらロッジに行って一休みするのが我が家のルール。だから幼い私は、肉まんを食べるために何度も「寒~い」と父に言っていた。これじゃあスキーをしに来てるのか、肉まんを食べに来たのか分からない、と父に呆れられたのもいい思い出。


セールをしていたので、久しぶりにコンビニで肉まんを買った。ウキウキしながら歩いていると、肉まんに関する思い出が次々と蘇ってきて楽しくなった。

しかし、袋を開けると拍子抜けした。

小さい。記憶の中の肉まんは、両手いっぱいに広がっていたはず。肉まんとはこんなに小さいものだったろうか。肉まんが小さくなったのか。それとも私が大きくなったのか。




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